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特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

台の上にバネとゴム紐に接続された小球と台の水平運動(2)

2019-09-07 05:18:36 | 力学

1. まえがき
 前回より複雑な事例を述べる。

2. 問題
 図のように、水平な床上に質量Mの台Qがある。台Qの水平な上面にはばね定数kのばねを、左
 側に、ばね定数2kのゴムひもを右側につけた質量mの物体Pがある。ばねとゴムひもの他端は
 台Qに固定されてる。このとき、ばねとゴム紐は自然長である。

 ばねが自然長の時の物体Pの位置を原点x=0として、台Qに固定した右向きのx軸をとる。はじ
 め物体Pはx=2dの位置でつりあっていた。装置各部の摩擦や空気抵抗、物体Pの大きさ、ばね
 とゴムひもの質量は無視でき、たるんだゴムひもがPや台Qの運動を妨げることはないとする。

 (1) 台Qを床に固定したまま物体Pをx=3dの位置までずらして静かに放すと、Pはつりあいの位
  置を中心とする振幅dの単振動を行なった。この単振動の周期をもとめよ。

 (2) 台Qを床に固定したまま物体Pをx=0の位置までずらして静かに放すと、Pは往復運動を行な
  った。
  (a) 物体Pの速さの最大値を求めよ。
  (b) 物体Pのx座標の最大値を求めよ。
  (c) 物体Pが再びx=0の位置に戻ってくるまでの時間を求めよ。

 (3) 台Qを自由に動けるようにした。台Qが静止してる時、x=2dの位置にある物体Pに右向きの
  初速を与えた所、PはQに対して周期運動をおこない、Pのx座標の最大値はx=4dとなった。
  (a) 物体Pに与えた初速を求めよ。
  (b) 物体Pのx座標の最小値を求めよ。
  (c) 物体Pに与えた初速をv₀、運動の周期をT₀とする。一周期間での台Qの右向きの変位を
   v₀、T₀を用いて表せ。



3. 解

 (1) ゴムひもが自然長の時、その左端の位置(x=0からの)をLとすると、釣合の式から
  k2d=2k(L-2d)、したがって、
     L=3d                ・・・・・①
  Pの運動方程式は
     mx''=-kx+2k(L-x)=-3kx+6kd (x<L=3d)・・・・②
     mx''=-kx (x>L=3d)          ・・・・③
  設定から、振動は x<L=3d なので➁を満たす。この解はよく知られており角周波数は
     w=√(3k/m)             ・・・・・④
  となる。したがって、周期は
     T=2π/w=2π√(m/3k)
  となる。

 (2)(a)
  ②は mx''=-3k(x-2d) と変形できて、これを解くと、x=2d+Acoswt+Bsinwt となる。 
  x(0)=x'(0)=0 として
     x=2d(1-coswt) , v=x'=2dw sinwt  ・・・・・⑤
  を得る。

  Pの最大速度v₁は、wt=π/2の時で、⑤から x=2d (<L=3d)
     v₁=2dw={2√(3k/m)}d
  を得る。

 (b)
  最大の座標 x₂は ⑤から、x=4d となる。つまり、ゴムひもは垂るみ、②の条件を満たさ
  ず、③を解かねばならない。そこで、境界、x=3dの速度v₂は⑤から
     3d=2d(1-coswt) → coswt=-1/2 → wt=π/3・・・・⑥
     v₂=2dwsin(π/3)=dw√3={3√(k/m)}d
  となる。

  時刻をt=0にして、③を解くと
     x=Acosw't+Bsinw't , w'=√(k/m)
  となるが、⑥の結果の初期条件    
     x(0)=3d , x'(0)=v₂={3√(k/m)}d
  から、A=B=3d となり
     x=3d(cosw't+sinw't)=(3√2)d cos(w't-π/4) ・・・・⑦
  を得る。したがって、最大座標は x₂=(3√2)d , w' t=π/4 となる。

 (c)
  ゴム紐がたるんだ時、x≧L=3dでの往復時間は、⑦で、x≧3d となる時間だから、
  w' t=π/4 を挟んだ w' t=0~π/2 の間である。つまり、その時間T'は
     T'=π/(2w')=(π/2)√(m/k)
  となる。

  つぎに、ゴム紐がたるんでいないときの⑤の 0≦x≦L=3d の運動時間は⑥から
  t=(π/3)/w=(π/3)√(m/3k)となる。原点に戻る時間を加えるとこの2倍になるから、
  上のT'を足して、求める時間T₃は
     T₃=(π/2)√(m/k)+2(π/3)√(m/3k)=(π/2)√(m/k){1+4/(3√3)}
  となる。

 (3)(a)
  初速をv₀とする。始めのバネとゴムのエネルギーは k(2d)²/2=2kd², 2k(L-2d)²/2=kd²
  また、mが 4dで停止したとき(ゴムはたるんでいる)、Mとmの速度は同じだから、運動
  量保存により
    (M+m)v=mv₀ → v=mv₀/(M+m)・・・・・・⑧
  となる。エネルギー保存から
    2kd²+kd²+mv₀²/2=k(4d)²/2+(M+m)v²/2=8kd²+{m²/(M+m)}v₀²/2・・・⑨
    v₀=[√{10k(M+m)/mM}]d={√(10k/μ)}d・・・・⑩
  ここで、μは換算質量
    μ=mM/(m+M)
  である。

 (b)
  Pの最小座標xは反対方向で、M,mの速度が等しくなったところだから、エネルギー保存は
  ⑨の右辺を変更して
    2kd²+kd²+mv₀²/2=kx²/2+2k(3d-x)²/2+(M+m)v²/2
  ⑧⑩を使って整理すると
    (3/2)x²-6dx+d²=0 → x={2-√(10/3)}d (小さい方を取る)
  となる。

 (c)
  地べたの慣性系を基準にすると、mと台の座標をそれぞれx,yとする。すると運動量保存に
  より、
    mx'+My'=mv₀、積分して、mx+My=mv₀t → (mx+My)/(m+M)=mv₀t/(m+M)
  この左辺はm,Mの重心の座標と等距離にある座標である。つまり、重心の座標は等速運動
  をする。mの運動の1周期T₀をとれば、その分の変位は合計0となる。したがって、T₀の間
  に台が移動する距離は
    mv₀T₀/(m+M)
  となる。

以上


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バネばかりに落下した物体が次の反動で浮き上がる条件

2019-08-18 20:23:27 | 力学

1. まえがき

 下記の問題が載っていた。はじめ、問題の意図や意味も汲み取れなかった。

2. 問題

 図のように質量の無視できるバネの下端が床に固定され、上端は水平に保たれた固くて厚さの無
 視できる薄い板(質量2m)の重心に取り付けられている。この時、バネの自然の長さからd縮ん
 で静止した。この時の板の位置を最初の釣合の位置とする。板の重心鉛直上方の高さHの位置か
 ら大きさの無視できる小物体(質量m)を初速度なしで落とし、板に衝突させた。衝突後小物体
 は跳ね返らずに板と一体になって動き始め、床に到達する前に最も低くなる位置に到達した。そ
 の後、ともに鉛直上向きに運動してから、小物体は板から離れ、鉛直上方に飛び出た。バネは鉛
 直方向にのみ伸び縮みし、バネ定数は一定であり、空気の抵抗は無視できるものとする。重力加
 速度の大きさをgとし、以下の問に答えなさい。

 問 衝突後、小物体がバネの運動により、板から離れて飛び出るために必要な高さHを求めよ。


3. 解法

 始め意味が分からなかったのは幾つかの不明点があった。

 ・ 小物体が離れることの意味・・・・離れる条件として、バネは単振動をしており、最大上部
   に達したとき、下向きに最大(最小?)の加速度をもちます。この加速度が -g より小さけ
   れば、mの -gによる落下は、2mの台の下降についていけず、浮き上がる。という方針で計
   算した。
 ・ 板と小物体の衝突の条件・・・・運動量保存則がなりたつ。
 ・ バネ定数が与えられていない・・・板の質量2mと初めの静止位置dから求まる。

 3.1 条件定数の計算

  まず、2mとバネの釣合で、

    kd=2mg → k=2mg/d・・・・・・①
  とバネ定数がわかる。

  mと2mの衝突で運動量保存が成り立つと仮定すれば、mの衝突前の速度は落下の位置エネルギ
  ーに相当するので -√(2gH) だから、衝突後の(m+2m)の速度v₀は

    -m√(2gH)=3mv₀ → v₀=-(√(2gH))/3・・・・・②

 3.2 運動方程式

  運動方程式は上下方向を y軸に取って
    3my''=-ky-3mg → y=-3mg/k+Acos wt+Bsin wt 、w=√(k/3m)・・・・・・③
    y(0)=-d , y'(0)=v₀
  だから
    y=-3mg/k+(3mg/k-d)cos wt +(v₀/w)sin wt
  したがって、
    y''=-w²{(3mg/k-d)cos wt +(v₀/w)sin wt}

  この最上部の加速度は cos/sin の係数の2乗和の平方根 -w²√{(3mg/k-d)²+(v₀/w)²} であ
  り、これが、-gより小さければ浮き上がる。

    -w²√{(3mg/k-d)²+(v₀/w)²}<-g・・・・・④

  ここで、①②③を使って
    (3mg/k-d)²=(3d/2-d)²=d²/4 , (v₀/w)²=(2gH/9)3m/k=(2gH/9)3d/(2g)=Hd/3
    w²=k/3m=2g/(3d)

  これを④に入れて
    (2g/3d)√(d²/4+Hd/3)>g → d²/4+Hd/3>(9d²/4g²)g² → H/3>9d/4-d/4=2d
     → H>6d
  を得る。

4. 別解

 別解としてエネルギーを使った解法があった、計算は簡単で結果も一致する。バネが自然長に
 なったところでエネルギーの比較しているのだが、回りくどく、ゴチャゴチャしてハッキリし
 ない。さらに、小物体が離れる論理がどうもわからない。


 手順が簡単で結果も一致するので、なんとか考えた結果、以下のように理解できた。結局、離
 れる論理は上のものと同じ、「バネの最上部での加速度が -gより小さくなればよい」となる。

 すると上の運動方程式③で y''=-g とすると、y=0、つまり、バネの自然長のとき、-g となる。
 したがって、この自然長以上の振幅になればmは離れることになる。この時は、速度が0で、バ

 ネも自然長だから、位置エネルギーしかない。

 位置エネルギーの基準を始めの釣合位置、y=-d にすると、この自然長でのエネルギーは位置
 エネルギーのみで、
   3mgd  ・・・・・・・・・・⑤
 となる。衝突直後のエネルギーはバネのエネルギー
   kd²/2=mgd    ・・・・・⑥ (①式を代入)
 と、(m+2m)は②式の速度を持つから運動エネルギー 

   (3m)v₀²/2=mgH/3・・・・・⑦
 の和となる。結局、エネルギーが保存によって、⑥+⑦のエネルギーによって、最上部に達す
 る。そして、このエネルギーが⑤より大きければ、バネの自然長を超え、バネが縮むとき、-g
 より小さくなって、小物体は浮き上がる。つまり
   mgd+mgH/3>3mgd → H>6d
 となる。

以上


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回転座標系のベクトル時間微分 dA/dt=δA'/δt+ω×A の意味

2019-03-30 10:39:57 | 力学

1.まえがき

 慣性系S(x,y,z)と回転座標系S'(x',y',z')について、ベクトルAおよび角速度ベクトルωを使って
    dA/dt=δA'/δt+ω×A   ・・・・・・・・・・・・・・①
 という時間微分の関係式がある。しかし、この式が一般に図を使って導かれることからAω
 一体どの慣性系の量であるか明確でない。さらに、δ/δt(d'/dt, (d/dt)' とか)という記号の意
 味も明確でない。

 これらについて考察するが、簡単のため、S、S'系の原点が一致する場合とする。なお、δ(d')は
 変分・解析力学や熱力学でも不明確なまま使用されている。



2.ベクトルの時間微分

 慣性系SのベクトルAは基本単位ベクトル(ex,ey,ez)を使って、
    A=Axex+Ayey+Azez      ・・・・・・・・・・・・・・②
 と書ける。このベクトルAは回転系の基本単位ベクトル(ex',ey',ez')を使って、
    A=A'=Ax'ex'+Ay'ey'+Az'ez'  ・・・・・・・・・・・・・・③
 となる。ここで、「'」は基底ベクトルを明示する記号となる。

 このベクトルの時間微分は
    dA/dt=dA'/dt={(dAx'/dt)ex'+(dAy'/dt)ey'+(dAz'/dt)ez'}
            +Ax'dex'/dt+Ay'dey'/dt+Az'dez'/dt・・・・・④
 となる。このとき、S'系の基本ベクトルの微分もS'系のベクトルとして
    dei'/dt=ωix'ex'+ωiy'ey'+ωiz'ez' (i=x,y,z) ・・・・・・・・・⑤
 と表される。このとき、直交関係 ei'・ej'=δij (i,j=x,y,z)を微分すると
 (dei'/dt)・ej'+ei'・(dej'/dt)=0 が得られので
    ωii'=0 , ωij'=-ωji'
 の関係がある。つまり、ωij' のうち、有効なパラメータは3つであり、ω'を
    ω'=ωyz'ex'+ωzx'ey'+ωxy'ez'     ・・・・・・・・・・・⑥
 と定義すると、⑤は
    dei'/dt=ωei' ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・⑦
 となる。これを④に入れると
    dA/dt=dA'/dt=δA'/δt+ωA'          ・・・・・⑧
 を得る。ここで
    δA'/δt=(dAx'/dt)ex'+(dAy'/dt)ey'+(dAz'/dt)ez'  ・・・・・⑨
 であり、δ/δtは(時間微分に関係した)演算子であり、決して時間微分ではない。その意味
 をみると、S'系に固定してみた(基本単位ベクトルが時間変化しないと考えた)時の時間微
 分
になっているこのため、時間微分のような演算子記号を使う意味がある

 ベクトルω'はS'系の基本単位ベクトルを使っているが、S系のものを使ってもかまわない。
 それをωとすると ω=ω'であるから、上のA=A'も使って、⑧を書き換えると
    dA/dt=dA'/dt=δA'/δt+ω×A          ・・・・・⑧'
 となる。ここで、定義⑨から δA'/δt→δA/δt とできないことを注意しておく。

 つぎに、ベクトルAは任意だから⑧において Aωとすると
    dω/dt=dω'/dt=δω'/δt+ωω'=δω'/δt ・・・・・・・・・⑩
 となり、よく知られた結果を得る。このときωが定ベクトルならω'もそうなる。以上で表題
 の関係式が導出過程とともに求められた。

3.ωの物理的な意味

 以上の議論は数学的な形式論のため、元々形式的なω'における基底ベクトルを変えたωが何
 を意味しているか今一つはっきりしない。そこで、簡単のため、ωが一定、AをS'系に固定さ
 れた(S'系で一定の)ベクトルとしたとき、AのS系での挙動を調べる。すると δA'/δt=0
 だから、⑧'は

    dA/dt=ω×A   ・・・・・・・⑩
 つぎに、図2のようにAωに平行な成分A₁と垂直な成分A₂に分ける。つまり、A=A₁+A₂、
 ω×A₁=0 だ
から、⑩は dA₁/dt+dA₂/dt=ω×A₂ となる。A₁の方向は変わらないので、
 dA₁/dt の方
向もωとなる。そして、ω×A₂の方向はωに垂直な成分だけだから、dA₁/dt=0
 である。


 結局、⑩は dA₂/dt=ω×A₂ となる。 すると、これを使って
    d(A₂・A₂)/dt=2A₂・dA₂/dt=2A₂・(ω×A₂)=2ω・(A₂×A₂)=0
 となり、A₂の大きさが変化しない。したがって、ベクトルA、すなわち、それが固定された
 S'系はS系に対して、角速度ωで回転していることがわかる。つまり、回転系S' におけるベ
 クトル
ω'の慣性系S系への射影ωはS系に対するS'系の角速度ベクトルとなり、逆もそうなる。

4.加速度の変換式

 回転座標の運動方程式を求めるため、加速度の変換をするとき⑧を使って A=r として2回
 微分すると
    dr/dt=δr'/δt+ωr'
    d2r/dt2=(d/dt)(δr'/δt+ωr')=(δ/δt)(δr'/δt+ωr')+ω'×(δr'/δt+ωr')
         =δ2r'/δt2ω'/δt×r'+ω'×δr'/δt+ω'×δr'/δt+ω'×(ωr')
         =δ2r'/δt2ω'/δt×r'+2ω'×δr'/δt+ω'×(ωr') ・・・・・⑪
 となる。ここで、δ/δt は、ベクトル(ex',ey',ez')を定数とみた微分なので、通常のベクトル
 微分公式を使った。最後に、⑨と前に述べたように右辺の基本ベクトルを変換すれば
    d2r/dt22r'/δt2+dω/dt×r+2ω×δr'/δt+ω×(ω×r) ・・・・・・⑪'
 となるが、異なる基底ベクトルが混在しているので⑧' 以上に注意が必要となる。

 簡単なのは、ωが一定の場合で、方向をz軸に取り、rがx-y平面にある場合である。このとき、
 dω/dt=0、 ω×(ω×r)=(ωr)ω2r=-ω2r となり、
    d2r/dt22r'/δt2+2ω×δr'/δt-ω2r ・・・・・・・・・・・・・⑫
 を得る。勿論、右辺の最後のrは基本ベクトルを変更してr' でもよい。

 以上をまとめるとベクトル式において A, dA/dt は基底べクトルを変更して A ⇔ A', dA/dt
 ⇔ dA'/dt としてもかまわないが、δA'/δt は基底ベクトルが固定されたものだから δA/δtに
 変更することはできない。 ただし、ωについては⑩が成立つ

以上


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2種類の力が働くときの質点の運動

2019-03-02 08:09:28 | 力学

1. まえがき

 あるサイトに、次の2種類の力が働くときの質点の運動を求める問題があった。まともに
 解くと複雑だったがエネルギー式を使うとある程度簡単になった。

 位置ベクトルを r=(x,y,z) として、質点mに働く力が F₁=ar , F₂=(b,0,0) のとき、原点
 にあった質点の速さが、t=0 で |r'(0)|=V であった。 しばらくして、質点の速さが 0に
 なった。この時のx座標、x₁を求めよ。ここで、a,b≠0 は定数で「'」は時間微分とする。

2. 計算

   r'=(x',y',z'), V=√{x'(0)²+y'(0)²+z'(0)²}
   mx''=ax+b, my''=ay, mz''=az
 となるが、x軸を回転して、y軸を(0,y'(0),z'(0))の方向に設定すれば

   x'(0)=Vx, y'(0)=Vy, z'(0)=0 , V=√(Vx²+Vy²)≠0・・・①
 としても一般性は失わない。

 すると、z(0)=0, z'(0)=0だから、z成分は変化せず無視でき、
   mx''=ax+b, my''=ay・・・・②
 を解けばよい。

 また、速さ|r'|=0は x'=y'=0 のことである。

3.

 ②の前者に x'を掛けて積分すればエネルギー方程式
   (m/2)(x'²)'=(a/2)(x²)'+bx' ⇒ mx'²=ax²+2bx+C
 を得る。x(0)=0, x'(0)=Vx からCが決まり

   mx'²=ax²+2bx+mVx²・・・・③
 を得る。x'=0となるxは ax²+2bx+mVx²=0の解
   x₁={-b±√(b²-amVx²)}/a・・・・④

 同様に、➁の後者、yについては
   my'²=ay²+mVy² となるが、a>0のとき、y'=0 となるのは
 y=Vy=0 のときであり、y方向の運動は無い。・・・・⑤

4. a<0 のとき

 ②の後者、y の解は
   y=Acos(wt)+Bsin(wt) , w=√(-a/m)
   y'(0)=Vy、y(0)=0 から、y=(Vy/w)sin(wt)
 となる。つぎに

 ②の前者、xの解は
   x=Acos(wt)+Bsin(wt)+C となるが、
   x(0)=0, x'(0)=Vx, mx''(0)=ax(0)+b=b
 から
   x=(b/mw²){1-cos(wt)}+(Vx/w)sin(wt)
 となる。

 したがって、|r'|=0 つまり、x'(t)=y'(t)=0 となるのは
   (b/mw)sin(wt)+Vxcos(wt)=0 , Vycos(wt)=0・・・⑥

 (a) Vy≠0 の時、
  ⑥の後者から cos(wt)=0であり、前者に入れると、Vx=0 の時も含め sin(wt)=0 となるが、
  当然、これ満たすtはなく、x'=y'=0 となる時刻は無い(速さは0にならない)。

 (b) Vy=0 の時、
  ⑥の解は存在する。そして、常に、y'=0であり、yの運動は無く、V=|Vx|である。
  この時は、④において、(b²-amVx²)>0 かつ √(b²-amVx²)>|b|
  であり、Vxの符号と x₁の符号は一致するから(始めは、Vxの方向に移動する)

  (b1) Vx>0 のとき、
     x₁={b+√(b²-amVx²)}/(-a) >0
  (b2) Vx<0 のとき、
     x₁={b-√(b²-amVx²)}/(-a) <0

5. a>0 のとき

 ⑤により、この場合は、xの運動のみとなる。4項と同様に
 ④において、b²>amVx² が必要であり(これを満たさないと、x'=0 とならない)、かつ
  √(b²-amVx²)<|b| であり、Vxの符号と x₁の符号は一致するから(始めは、Vxの方向に
 移動する)

 (1) Vx>0 のとき、
   b<0 であり(b>0のときは、x'=0とならない)、原点に近い方をとって、
     x₁={-b-√(b²-amVx²)}/a >0
 (2) Vx<0 のとき、
   b>0 であり(b<0のときは、x'=0とならない)、原点に近い方をとって、
     x₁={-b+√(b²-amVx²)}/a <0
 (3) Vx=0のときは、
   t=0の始め以外、x'=0とならないことは自明。

6.

 以上まとめると a,b,V≠0 として

 (1) a<0 のとき、Vy=0 が必要で
  ・ Vx>0 のとき、x₁={b+√(b²-amVx²)}/(-a) >0
  ・ Vx<0 のとき、x₁={b-√(b²-amVx²)}/(-a) <0

 (2) a>0 のとき、Vy=0 かつ b²>amVx² が必要で
  ・ Vx>0 かつ b<0 のとき、x₁={-b-√(b²-amVx²)}/a >0
  ・ Vx<0 かつ b>0 のとき、x₁={-b+√(b²-amVx²)}/a <0

 これ以外の条件では、x'=y'=0 にならない。

以上


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