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英語学習法(13)

2004年12月11日 | 品詞
EG12の続きです。助動詞という品詞について、さらに考察してみます。以下、見ましょう。

(1)We ought to read the book. (私たちはその本を読むべきだ。)

(1)の‘ought’「~ すべきだ」は、‘ought to’のカタチで1つのカタマリと考えるならば、その後に動詞の原形がきていることになりますから、「助動詞‘ought to’+動詞の原形‘read’」という見方が可能で、結果的には、「助動詞+動詞の原形」の公式どおりになっている、と見なすことができます。

(2)‘Ought we to read the book ?’-‘Yes、you ought to.’
   (「私たちはその本を読むべきでしょうか。」-「はい、そうですね。」 )

(3)We ought not to read the book. (私たちはその本を読むべきではない。 )

しかし、(2)の疑問文では、‘ought to’全体が、主語‘we’の前に移動しているのではなく、‘ought’のみが‘we’の前に移動して、‘to’は、もとの位置に残されています。一方、(3)の否定文では、‘ought to not’ではなく、‘ought not to’となっており、‘ought’の直後に‘not’が現れています。

つまり、‘ought to’は、(1)のように、平叙文で見る限り、「助動詞‘ought to’+動詞の原形‘read’」と、あたかも、‘ought to’を、1つのカタマリとして考えていても問題はないのですが、(2)の疑問文や(3)の否定文のカタチになると、‘ought’は‘to’から切り離して、独立させなければならず、常に、‘ought to’を1つのカタマリと見なす立場からは、不都合が生じてしまいます。

こういったことから、本来は、‘ought’が、後に‘to’不定詞を後続させる、と見るのが正しい見方で、区切りの仕方としては、「‘ought to’+動詞の原形」と考えるのではなく、「‘ought’+‘to’不定詞」、という考え方でとらえて、初めて、(1)~(3)を統一的に説明できるようになります。

(4)We had better go home. (もう帰った方がよいね。)

(5)‘Had we better go home ?’-‘Yes、you had better.’
  (「帰った方がよいですか。」-「はい、そうですね。」)

(6)We had better not go home. (帰らない方がよい。)

(4)の‘had better’「~ する方がよい」も、助動詞として扱われることが多く、後に動詞の原形を取ります。しかし、だからと言って、‘had better’を1つのカタマリと見なしていては、(5)の疑問文が説明できません。(5)では、主語‘we’の前に移動しているのは、‘had’のみで、‘better’は、もとの位置に残っています。ただし、一方、(6)の否定文では、(3)の‘ought not to’とは違って、‘had better’の後に‘not’がきています。

この‘had better’のもう1つの特徴は、その‘had’のカタチからして、一見、過去の意味をもつかと思われがちですが、全くそんなことはなく、単純に、「~ する方がよい」の意味で使われている、という点です。もし、過去と結び付けて使うなら、「‘had better’+ ‘have’+過去分詞 (~ した方がよかった)」という、決まったカタチで表現しなければなりません。

(7)John used to walk in this park. (ジョンは、かつて、この公園をよく歩いたものだ。)

(8)‘Did John use to walk in this park ?’-‘Yes、he did.’
   (「ジョンは、この公園をよく歩いたんですか。」-「ええ、そうですとも。」)

(9)John did not use to walk in this park. 
   (ジョンが、この公園をよく歩いたということはなかった。)

(7)の‘used to’「かつては、~ したものだ」、に関しては、助動詞‘did’の力を借りて、(8)の疑問文や、(9)の否定文を表現するのが一般的ですので、「‘use to’+‘did’→‘used to’」と考えるのが普通のようです。 (類似の振る舞い方をする表現に、‘has to’(‘have to’) 「~ しなければならない」、がありますが、EG12、参照。)

そして、‘used to’のもう1つの特徴としては、「~ したものだ」という意味からして、過去形で使われることを前提とした表現である、ということです。ですので、当然のことながら、もともと、‘used to’には、現在形にして、‘use to’「~ することにしている」、というような用法はありません。

ここまで見て明らかなように、一概に、助動詞といっても、その振る舞い方は、細かく見ていくと千差万別で、‘can’や‘may’などの助動詞以外に、今回、見た例までもひっくるめて、全て同じ助動詞という枠で扱っていたならば、実際の定義としては、手の施しようがないというのが現状です。ですので、助動詞に関しては、ある程度のタイプ分けをしておくのが、一応の整理をつける上では有効かと思います。

まず、‘can’や‘may’といった、動詞の原形を取る典型的なタイプの助動詞を、「真の助動詞」として、一方、今回見た、‘ought’や、‘had better’などは、「変則型の助動詞」 (要するに、例外扱い) というように、分類します。そして、助動詞として扱う割には、結局、‘do’、‘does’、‘did’のような助動詞のサポートを受けるタイプを、「擬似助動詞」というように、タイプ分けしておくと整理がつけやすいと思います。

(10)助動詞: will (~ だろう、~ するつもりだ)、would (‘will’の過去形)、can (~ できる)、
         could (‘can’の過去形)、may (~ してもよい)、might (‘may’の過去形)、
         must (~ しなくてはならない)、need (~ する必要がある)、shall (~ でしょう)、
         should (~ すべきだ (‘shall’の過去形でもある))、
         do (does) (サポート専用の助動詞)、did (‘do’、‘does’の過去形)

(11)変則型の助動詞: ought (~ すべきだ)  (‘to’不定詞を取る)、
               had better (~ する方がよい)  (疑問文で‘had’が分離する)、

(12)擬似助動詞: have to (~ しなくてはならない)、need to (~ する必要がある)、
            used to (~ したものだった)

一応、(10)が、最も素直で、典型的な助動詞の振る舞い方をする語群であるということです。つまり、タイプ分けの基準としたのは、①・動詞の原形を取り、かつ、②・疑問文のつくり方、③・疑問文の答え方、④・否定文のつくり方、といった点でのスタンダードになる、ということです。 (助動詞のスタンダードな用法については、EG12、参照。)

(11)は、(10)をクリアする上での基準を、部分的にクリアできない、例外扱いをせざるを得ない助動詞で、‘ought’は‘to’不定詞を取る点を除けば、(10)の仲間入りがOKです。一方、‘had better’は、疑問文で、‘had’が‘better’から分離するという点を除けば、やはり、(10)の仲間入りがOKとなります。

(12)は、前述のとおり、結局は、‘do’、‘does’、‘did’のような助動詞のサポートを受けるタイプで、本質的には、普通の動詞であり、慣用的には、助動詞扱いされていますが、今回のように、3タイプに分類分けするならば、最も助動詞らしくない部類になります。

今回のポイントは、英語の品詞の中でも、助動詞は、よく観察してみると、他の品詞ほどには、ハッキリとした定義にもとづいて分類されているわけではない、ということです。もし、定義があったとすれば、精々、動詞を補助する動詞、といった程度のものですが、それだけでは、実際の使用に関しては、何の役にも立たないでしょう。

というわけで、助動詞は、品詞としては、ある程度の整理が必要であり、もう少し言うべきことがありますので、次回、また扱いたいと思います。

■注1 :今回は、助動詞の振る舞い方を検証するために、あえて、様々なチェックを行っていますが、もともと、‘ought to’や、‘had better’を、疑問文や否定文で使う場合、その容認度の判断には、揺れがあります。特に、‘ought to’は、疑問文、否定文の両方で使うことは、避けた方がよいとされ、一方、‘had better’では、疑問文での使用が好ましくない、と判断される傾向がありますので、今回、上げた例があるからといって、実際に会話などで使うことは、あまりお薦めできません。

■注2 :(2)の疑問文は、その答え方が、‘Yes、you ought to.’となっていて、その‘ought to’が、あたかも、1つのカタマリであることの証拠であるように感じられますが、しかし、‘You are always doing what you want to (do).’「君は、いつも、やりたいことばかりやってるんだね。」、のような例でも、 ‘to’不定詞は、‘to’だけ残して、終わってしまうことがよくあります。これは、同じ動詞 (‘doing’と‘do’) の重複を避けたい場合に用いる文法操作で、「代不定詞」、などと解説されることがよくあります。ですので、(2)の‘Yes、you ought to.’は、むしろ、代不定詞という、独立した他のルールにもとづくものですから、‘ought to’が1つのカタマリである証拠にはなりません。

■注3 :‘used to’「よく ~ したものだ」は、イギリスで使われる場合は、異なる振る舞い方をすることもあります。(8)の疑問文を、‘Used John to walk in the park ?’とすることは、あまりありませんが、一方、(9)の否定文ならば、‘John used not to walk in the park.’とすることは、結構、認められています。


●関連: EG12

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (aiueo)
2005-02-13 23:30:13
>、①・「ネクサス構文」や②・「第5文型」の他、③・「SVOC」、④・「意味上主語・述語の関係」



大学で言語学を専攻してたから、わかるんだけど、

今の受験英語の説明って言語学者用の説明をそのまま使っている。それで、文法の世界への敷居を上げて、

自分たちの権威を保っているに過ぎない。



>できるだけ平たいコトバだけで説明して理解させようと努力している人の方が何倍もアタマを使っているのです。



いわゆる第五文型の説明なんて、

「英語は単純なのが好きで、例えば、

I saw her angry.ってのは、I saw she was angry.ってのが元の形で、いちいち、

I saw she was angry.っていうのがうっとうしいから、I saw her angry.って、言っているんだよ。」

って言って、

「I saw her.って言うだけでは

足りないなぁと思って、angryって付け加えたんだよ。」

こう言えば、十分。

それでも、足りないなら、

「こうなる動詞は、これとこれと・・・だから、

覚えておきなさい。」

と言えばよし。



#ビックファットキャットの本が売れたのも

わかる気がする。
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