D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Abracadabra('03)/SoftWorks

2006-10-04 22:22:20 | allan holdsworth
本日は、Soft Machine復活を目論みながら、中途半端に花開いてしまった感も拭えない一枚です。

'03年3月リリースのこの作品は、初期メンバーだった故Elton Dean(ts)とHugh Hopper(b)がSofts再結成に向けて動き始めたのが発端となりました。
このPJの実現に際しては、その影にNYのインディーズ・レーベルであるMoon June Recordsのオーナーであり熱烈なSofts信奉者でもあるLeonard Pavkovicの存在があったというのが大きいようです。

メンバーを厳選し要請した結果、Allan Holdsworth(g,synthaxe)とJohn Marshall(d)の快諾は得ながら、Mike Ratridge(kb)にはツアーのオプションが元で断られ、絶対参加しないと表明していたCarl Jenkins(sax,kb)にはSoft Machineのバンド名の使用を拒否されるという有様でした。

そのため当初‘Soft Ware’として始動、'02年6月リハ&レコーディングを開始し11曲出来ながら、Holdsworthの機材トラブルで収録をやむなく中断し、彼のパートを同年10月に追録し翌月ついに完成。
やっとリリースか、という矢先に同名のバンドの存在が判明し、止む無く‘Soft Works’と12月に決定し、翌年のリリースにようやく漕ぎ付けたということです。

改めてメンバーです。
まず、故Elton Dean(ts)・・惜しくも本年2月8日60歳の若さで病没しました。
Holdsworth先生によれば、彼の難解な音楽メソッドを一番理解していた危篤な御仁だったそうです。


彼の他は、影のリーダーであるHugh Hopper(b)、意外と頑張ったJohn Marshall(d)、そして我らがAllan Holdsworth先生(g,synthaxe)という4人組でした。

【LtoR : J.Marshall,Allan Holdsworth,Elton Dean,Hugh Hopper】

このメンバーで'03年8月に来日公演も果たしてます。

#1.Seven Formerly:
イントロのSE・・蜃気楼のようなイメージの音・・シークエンサーで流すシンセかな。
Eltonのテナーは上品で暖かいんですが、完璧にバッキングに徹するHoldsworth先生のSynthaxeが奏でる霧のような空間の中で、余りの温度差にちょっと浮いてます。
意外にもDean-Marshallの共作ですが、ワンコードでゆったりと進行する・・たとえば、夕刻の砂が舞う砂漠を行くキャラバンの様子を巨大なスクリーンで眺めてるようなイメージかな。
Elton主体で進行しているように見えて、実は先生がサウンドを上手くコントロールしてると思います・・Gソロがちょい控えめですねェ。

#2.First Train:
これもスローなHopperの曲・・少しPinkPantherのテーマみたいな雰囲気です
・・あのテーマが!なんてちょっとドキドキしたりして。(笑)
カンタベリー系らしい音というべきでしょうか・・基本はブルースのようですね。
Elton・・ちょっとブローが心もとなく、さすがに老いは隠せない展開なのが残念。
Holdsworth先生のGソロに代わったあたりから空気が完璧に一変してます。
妙に気色が良いブルーノート&オルタードフレーズがたまりません。

#3.Elsewhere:
これも同じくHopperの曲。
Holdsworth先生の深海を漂うような気持ちよいソロギターのイントロに、無理やり割って入るようなEltonのサウンドがちょっとミスマッチかも・・。
しかしながら、幾分アップテンポな6/8の分り易い曲ですね・・先生のGソロが、かなりカッコいいです。
Cパートの4/4に変化したあたりからのEltonもいいですね。

#4.K Licks:
ファズ・・あるいはオーバードライブを強くかけたようなベースとユニゾン気味に、ヘナチョコEltonは今日も行く・・!(笑)
行けども行けどもフェルマータ・・ってMarshallもジタバタ遊んでます。
まるでフリージャズみたいだな・・なんか、だんだんイライラして来るぞ!(怒)
・・こいつを書いたPhil Millerって何者?

#5.Baker's Treat:
Eltonのバラード・・なかなかいい感じです。
Marshallのブラシも、満更捨てたもんじゃありませんね。
攻めあぐねたようなHopperと、ひたすらシンセのように空間を創るHoldsworth先生らをバックに、実に気持ちよさげなEltonです。
先生のGソロが実に美しい・・まさにメロディアスで流れるよう・・これは絶品ソロですよ、一押し!

#6.Willie's Knee:
珍しくファンキーな曲・・Eltonがローズ弾きながら、先生がのっけからノリノリで飛ばしてます。
ちょっとスムース・ジャズ風でしょうか・・意外に気が若いElton爺でした。
アンサンブル的には最も無理が無い曲かも・・ちょっと踊れます。(笑)

#7.Abracadabra:
アルバムジャケットのイメージそのまま・・Hopper-Marshallの一品。
7/8のベース・ラインがミソなのかな。
モーダルな前半とうって変わり、Synthaxeとコーラス利きまくりベースが構築するアラビア~ンな空間が見事です。
Eltonの自由気ままなテナーが上手くはまってますね。

#8.Madame Vintage:
Holdsworth-Marshallの共作・・というよりデュオでフリー・インプロぽく仕上げています。
一応、コード進行はちゃんとあるようです・・どことなく怒りに満ちたようなブチ切れ気味のギターがハードに炸裂しています。
・・すごい歪み方だな・・近年珍しい音ですね・・って初めてチェックしたような感想が情けないなァ。
この曲も、先日目の前で演奏してたんだよね・・Sigh!



なお、アルバムジャケットのアートワークは2種類あるようで、日本以外では以下のものが出回ってる・・っていうか正規盤のようです。


そして、日本公演のあと、例のわがまま病が再発しHoldsworth先生が脱退。
その後を、名手John Etheridge(g)が見事に埋め、Elton抜きで製作された事実上の2nd‘Soft Machine Legacy’ではすばらしいプレイを披露してるそうです・・聴いてませんが。(汗)
・・ライブDVDも出てるようで、興味のある方はどうぞ・・当然Eltonは拝めませんが。

なんか今日は、事実関係だけを意味無く羅列しただけに終わっていまいましたね
・・あーあ・・。(疲)


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2 コメント

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買いましたよ! (s-k-y)
2006-10-09 09:09:11
以前教えて頂いたCDの中からsteely dan/ajaをヤフオクで買いましたよ、700円!

深夜のお酒タイムに合う良い雰囲気の楽曲ばかりで大満足です

またおススメがあったら教えてくださいね!
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s_k_y様 (elmar35)
2006-10-10 21:28:36
コメントありがとうございます。

お役にたてたようで嬉しいです。

とりあえず、先日のリストなら間違いないと思いますよ。

・・ぜひ一聴下さい。(笑)
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