遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

夜空の河を遺文は流れる(現代詩)

2017-10-08 | 現代詩作品


今夜も夜空を流れる
さびれ果てた河は誰からも
見向きもされず語るひともなく
かぼそい命の灯りを寄せあうように
流れている(死は、どこに。


はだ寒い地上の
ひとびとの目には見えない
天上を渡る一族の群れ。
その不安な表象の痕跡に
とどめておきたい(死も、みえない。


過去は過去だから、
とっくに忘れ去られているのだろうと、
ひそやかに街の地下を流れる
運河の嘆きなど聞きわけるのは
錯誤にちがいなく(死は、まぼろし。


たぶん見せかけの
人々の懐かしい耳栓が
磁気のように覆っているのだ
ひとりみあげる
昏い夜空では(死が、ふるふる。


あの美しくきらめき流れる河など
見えるはずもなく、大切に伝えようとする
心のありかも言い分も、
汚れたビルの頭上を
巡っている(死は、絶望。


大きな怒りの葡萄が、幸か不幸か
星のめぐりも別離のサインをにじませながら
宇宙の果ての
麗しい絶望の新世代を
呼び込んでいる(死は、ここに。


夜空の河を
祖父母が、両親が、兄弟が流れ、友が流れる
都会の夜空を責めてはいけない
夢の救いさえ呪いに
かわりやすくとも(死は、死。


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