遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

現代詩「沼まで」

2010-10-01 | 現代詩作品
沼まで



沼はうっすらと水を湛えて
静かに沈んでいる
水鳥の足跡が僅かに残っているあたりから
見えない地下への階段があることを
しめしていて、その深さも
行きつく先も
想像するしかないのだけれど
沼のほとりから
いまだにかえららないひとがいることも
事実だと聞いた


ロンドンの地下鉄
ピカデリー線サーカス駅の階段は
どこまで行っても
乗車口に着かないほどの
深い沼だ
不確かな記憶には
やさしい朝の陽射しもとどかず
沼のほとりに立って
永遠に届かない
あしたの光!
を、
待つ鼠もいる