遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

現代詩「読書の家畜化」

2010-08-18 | 現代詩作品
読書の家畜化



鳥獣人物戯画に描かれている
猿、兎、蛙、など
人間の遊び相手であっても
なぜか家畜として
飼われることはなかった
むろん、たしかめたこともない
……。
家畜化の歴史は
古くて、
メソポタミアで
紀元前八千年頃の牛(原牛)から
はじまったのが最初である
と、鵜呑みにしている


羊、山羊、豚が
最初という説もあって、
我が国では文武天皇の命による大宝律令(七〇二年)に
記録されている(厨倉律など)
家畜については、実際のところ
なにも知らない
……。
牛が売られていくときに
大粒の涙を流すという
隣のリヨ婆さんが
昨日、鶏が車に轢かれたと、
大声で泣きわめいていた、けれど時々
裏の川で羽をむしる姿が甦ってことばもない


家畜化って 
人間だけが野生動物を
飼い慣らしたものと思っていたら、なんと
ダニを家畜化している
蟻がいた(東南アジアの)から、驚いた
蟻の賢さは象を凌ぐだろうか
……。
木村先生の話から
人間の家畜化(ヤプー人ではない)は、
このさい飛び越えて、
ウルトラマン誕生という
経緯をたどって見るのも、いいか
と、脚を鳴らしていたが本当のことは内緒だ


推理小説にしろ
歴史時代小説にしろ
瞞されてこそ、面白い、もっと大袈裟に言えば
瞞されてみることの家畜化が
読書の歓び、だったか
と、孤独が脚をひっぱることもある
……。
家畜も
奴隷も
似たようなものだろうか
そういえば、短詩型のなかでも
いまだに哀切で美しい日本語の韻律が
読者の泪を


引き受けている
おそらく、泡立つ季節には
猿や、兎や、蛙など
こぼれるほどに登場する
余地はまだまだ残されている
と、当てにならない鮮烈な肉声の紙の本もある
……。
木村先生の
講義は
今日、突然打ち切られたが
理由がわからない
本当の理由は誰にもわからないのだ
と、書物のプールでカッパになる



*今朝も晴天で暑くなりそうです。
残暑はまだまだきびしそうですが、
体調に気をつけてください。