遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

現代詩「逗留」(とうりゅう)

2010-08-10 | 現代詩作品
逗留



朝の窓は深い霧にとざされていて
心のなかへと冷気が送り込まれるせいか
この先の予定も曇る
曇るのは昨日までの核心のもろさからか
そらぞらしい空や、そらぞらしい人々から
逃れようというわけではないものを
分厚いコートを羽織って
朝の寒さに
ふっと漏らす吐息のなかで、またも戸惑うのだった

…いつからこんな曖昧な水際を
…呼び込んでしまったのだろう

感動の薄い日々とはいえ
窓の向こうのかすかな潮騒が
瀬戸際の耳の生命力をおしはかり
しらぬ間に見失っていくもののさみしさ
一瞬にさらわれた愛しいひとにまつわる幼い日の空疎感
死者というあらがいのない出来ごとの結果が
まるで空疎なに胸びれにとびこんできて
手帳の中の今日一日の日程に
咳き込んでいた

…死後の世界を想像させる静かなホテルは
…はるかな異国の言葉が眠りいる場所か

カモメの群れが急に飛び立つ
遙か遊泳禁止の海岸線で
ちっぽけなこだわりに咽せていた
自分の顔を想像しながら
冷たい風によりかかってみるが
砂利に足を取られて
(時代は毒のバロメーター、
無様な生き方をなぐさめてくれるかのような地平の果ての
たとえば、死者の視線が気になる

…よどみきった日常の隙間という曖昧な水際を
…いつからため込んでしまったのだろう

港町にきて顔を盗まれたのではない
見失ったのでもない
今日一日の
朝の冷気が旅の予定をせかせるようで
窓の曇りを払えば、
見知らぬ顔が奇妙にゆがんでみえる
等身大の鏡はさみしい、
どこか不確かな顔の記憶に
もう一度熱いシャワーを浴びせていた


今朝の朝焼けは、素晴らしく綺麗です。毎朝みているので巣が、何かちっがって見えました。好いことがありそうだなぁ。