ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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魔法の領域/杉真理

2008-02-26 06:10:50 | 音楽
杉真理もデビュー30周年だそうである。この人も本当に変わらない。
リッケンバッカーを抱えて佇むインナーの写真を見るとロック少年がそのまま30年間やってきましたという感じだ。

デビュー30周年ということで本作は古くからの気のおけない仲間たちと制作されている。
1曲目の「Make Love Not War」から、ビートとメロディーのシャワーの杉真理らしさ全開。
おなじみピカデリー・サーカスの面々や竹内まりや、伊藤銀次、村田和人といったゲストとのコラボレーションも楽しい。

杉真理の音楽に出会ってから25年ぐらいは経っていると思うが、そのテイストはほとんどぶれていないと思う。
そんな変わらない彼の音楽の本質は「優しさ」と「勇気」ではないか。
包み込んでくれるような優しさを持って背中を後押ししてくれる。
そして「明日も頑張ろうよ」という勇気を与えてくれるのが彼の音楽だ。
それも理屈っぽく声高に呼びかけるというスタイルではなくて前向きでポップなメロディと強いビートで
カラッとした世界へと一気に連れて行ってくれるのだ。

50'sロカビリー調の「シャローナに片想い」や堂島孝平のヴォーカルをフィーチャーした
「Good News」といったまさしくゴキゲンなナンバーが変わらない魅力だ。
盟友竹内まりやが書いた昔からの仲間たちの賛歌「僕らの日々」や「Chapel in the sun」は
これまでの人生を振り返りつつ、これからをポジティブに捉えたこのアルバムの性格をよく現した曲だ。

伊藤銀次とボサノヴァタッチでちょっとおどけた感じの「マイルドでいこう」や
村田和人とアコースティックのツインギターでファンタスティックなハーモニーを奏でる
「君にしてあげられること」などは意欲的でヴァラエティに富んでいる。
そして白眉は「Lennon=McCartney」。杉真理の変わらないビートルズへのオマージュ。この人は本当に永遠のマージービート少年だ。

久しぶりのアルバムだが、決して奇を衒っているわけではない。それだけに懐かしい場所に帰ってきたようなほっとするアルバムだと思う。


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