ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

4/28のランニング

2007-04-28 23:16:07 | ジョギング
明日のレースに備えて、今日は軽めの調整を行った。
5キロをジョギング。途中500メートルほどを4分/kmのペースで走った。
明日は15キロのレース。暑くならなければいいのだが・・・。

今日の距離:5キロ

イングランド・イングランド/ジュリアン・バーンズ

2007-04-28 13:32:47 | 
この本を読んでいる最中に、東京ディズニーリゾートに出かけた。
浦安のホテルに泊まってディズニー・シーとディズニー・ランドを訪れた。
アーリーアメリカンを意識した建物や施設の多くは古色蒼然と見せるためにあらゆる工夫をしている。
古くみせるためにわざわざペンキがはがれているように見せかけたり、
錆びているようにみせたり、埃が積もって見えるように演出している。
凝った造りに感心したりするが、これが本当に古くなったらどうするのだろうかと余計な心配をしたりする。

こうした努力があるから我々はゲートをくぐった途端に非日常のノスタルジーに浸れるのである。
ディズニーランドの描く世界はありそうで実はどこにもない世界である。
そのありそうでない非日常を味わうために我々は決して安くない入場料を払ってこのユートピアに入国するのだ。
エンターテイメントに徹したディズニーの哲学はいかにもアメリカ的ではある。

では、同じようなことをイギリス人がやったらどうなるか?
それこそマニアックにカルトに偏執狂的にアイロニカルに現実社会を模倣するのではないか。
イギリス人が作るテーマパークはきっとそういう形で徹底されるのであろう・・・。
そんな物語が本作だ。

ロンドン塔、二階建てバス、マンチェスター・ユナイテッド、紅茶、ウェストミンスター寺院、
ロビン・フッド、ガーデニング、生温かいビール、シェイクスピア、洗濯嫌い、ハロッズ・・・・
大富豪がワイト島をイングランドのレプリカにしてしまおうというプロジェクト。
偽物が本物を凌駕するという、究極のテーマパーク。
偽物だってそっちの方に価値を見出すことが出来れば本物以上に本物になる。
アメリカ人が張りぼてで楽しませるのならイギリス人は徹底して本物にしてしまおうではないか。
そんなアンチテーゼも見え隠れする。

この物語は一方でこのプロジェクトにブレーンとして関わった、マーサという一人の女性の生き方を側面で描いている。
プロローグとエピローグとも言える一部と三部は、
プロジェクトを構築していく痛快な二部とは趣を大きく変えて、マーサの内省に迫っている。
この物語が風刺小説とだけは言えない深さを持っているとすればそれは、
マーサの人生が語られている一部と三部があるからであろう。

そして「イングランド・イングランド」と名づけられたレプリカの繁栄に反比例するかのように凋落の一途をたどる
かつての大英帝国の姿に筆者は何かの思いを込めようとしたのか。
「オールド・イングランド」の行く道は筆者の現代文明に対する批判と言えなくもない。
物質文明の行き着く先はオールド・イングランドなのかも知れない。
でもそれは決して不幸な結末とは言えないのではないか。
あくまでも箱庭的なディズニーランドだって現実社会の上にしか存在しないのだ。