ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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J1第27節 サンフレッチェ広島対FC東京(広島・広島ビッグアーチ)5-2

2006-10-16 22:49:57 | サッカー
サッカーではよく2点差が最も危ない点差といわれる。
3点差あれば気分的にも楽だし何とか逃げ切れる。逆に1点差ではロスタイムだって気が抜けない。
じゃあ2点差はというとこれは状況によりけりなんだと思う。
だからその状況分析をきちんと踏まえた上で、どの段階では3点目をとりに行く、どの局面では守備を固める、
というコンセプトがないと2点差というのは案外簡単に崩壊してしまう。

昨日の東京はまさにそういう2点差の罠に陥ったものと思われる。
東京はセットプレーからジャーンがヘッドであわせて1点目。2点目は梶山の豪快なミドルと早い時間帯に2点をもぎ取る。
ここまでは先週からの流れを引き継いでいい形で入れたと思う。

前半の早い時間帯で2点差にしたということで広島が前がかりになることは容易に想像ができた。
前半のうちに少なくとも1点差にしておきたいと思うはずだ。
だから東京は2点差としたところで一旦ボールを落ち着かせて、しっかりと守備の連携をとりつつ相手をいなすことを考えなければいけなかった。
相手にボールを持たせながらも、最後のところではポイントゲッターのウェズレイ、佐藤をしっかり抑え込む。
前半は何としても2点差を守りきり、後半効果的なカウンターで3点目を奪いに行く。完全に守ることを考えるのは30分過ぎだろう。

しかし、東京は2点差になって広島が攻勢をかけ始めても一向にリズムを変えない。
妙な気の緩みがあってか、受けに廻って「こんなはずではない」という混乱からずるずるとラインを下げてしまう。
そして、当然注意しておかねばならない佐藤にやられてしまう。

取られる人に取られるべくして取られた。しかも佐藤は直前の接触プレーで負傷しながらである。
考えてみると今年の東京にはこういうパターンが実に多いような気がする。
あまりにも真正直。いかにも芸がない。

広島は駒野も負傷退場し俄然意気が上がっただろう。
結局、東京は守りきれなかった2点差の亡霊を引きずってずるずると滑り落ちてしまう。

後半開始から平山に代えてルーカスを投入する。平山の調子は決して悪くなかったと思う。
実際ジャーンが決めた1点目はその直前で平山が高さを活かして相手GKの動きを封じたからだ。
極端に運動量が落ちたわけでもなく、皆がシンプルに平山をターゲットにしていただけにルーカスへのスイッチには首を傾げたくなった。

前半、佐藤がゴールを決めてからは中盤でボールを持たれていたわけだし、両サイドの動きが今ひとつだったことを思えば、
戸田か石川を下げて、今野を守備に専念させた上で、
ルーカスと梶山の二人でできるだけ前でボールを裁いてもらう必要があったのではないか。
試合勘も今ひとつなルーカスを入れてまでワントップにこだわる必要があったのか。

かくして中盤のプレスが効かなくなり始め、結局最終ラインに中盤が吸収される。トップが孤立する展開。
中盤でボールがキープできないからルーカスもずるずると下がってくる。
あっという間に同点そして逆転。一気に崩壊してしまった。

ストラテジもタクティクスもプランもない戦い方。
あとに残る負け方をしてしまったと思う。
胸突き八丁はまだ続く。それはそれで実に興味深い状況に立ち会っているという気はするのだけど・・・・。