ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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風の男 白洲次郎/青柳恵介

2006-10-02 21:50:12 | 
再び白洲次郎の本。
実は最初に読んだのはこちらの方だった。
次郎の没後、夫人の白洲正子が彼の生涯を旧知の著者に頼んでまとめてもらったもの。
白洲次郎という人の人となりを知るには非常にコンパクトにまとまっている。
彼にまつわるさまざまなエピソードも網羅されている。

ファッション誌などを中心に彼のことがちょっとしたブームになっているそうである。
あの容姿でお洒落でもあったそうで、日本で始めてジーンズを穿いた人としても知られている。
そうした表面的なところで大きく取り上げられているのだろう。
取っ掛かりはそれでもいいのかもしれない。
戦後日本が廃墟の中からもう一度立ち上がろうとしていたころ、
多くの日本人が自信を失っている中で日本人としての矜持を捨てずに黒子ながら毅然としてGHQと渡り合い、
憲法制定に大きく関わり闘った、彼のような日本人がいたことを知っておくことには意味があると思う。

例えば憲法ひとつを取ってみても、戦後教育を受けた我々はその生い立ちについてよく知らないまま大人になってきた。
私自身、彼を知ることによって憲法に対する考え方も少し変わってきたように思う。
誰かの人生をたどるということの効用は例えばそういうことなのではないかと思う。