江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

ろくろ首  128歳の老翁が語った話  渡辺幸庵対話 

2020-02-20 13:48:19 | 怪談
ろくろ首  128歳の老翁が語った話
                                                           2020.2

この話は、「渡辺幸庵対話」にあります。
前書きによると、宝永6年の時点で、128歳だと記されています。
天正10年(1852年)に出生、宝永8年(1711年)に卒す、となっています。
この書は、その人に古事を聞いた、と言う事になっています。
真偽のほどは、わかりませんが、
いつくかの、面白い話があります。


宝永6年八月十五日対話

ろくろ首
駿州(駿河の国今の静岡県)のどこかの山の麓に、山伏が住んでいた。
一人の娘がいたが、ろくろ首であった。
一人娘であったので、婿を取って、家を継がせようとした。
婿を迎えてから、一夜二夜、かの娘に添ったが、着の身着のまま逃げて、二度と戻ってこなかった。
この事で、娘がろくろ首であることが露見してしまった。

その後、かの娘は、流浪して江戸へ下って来て、十七歳にして死んだそうである。

私(渡辺幸庵)は、かの娘が、茶を持運んでいるのを見たことがあった。
その時は、十四歳であったそうである。容儀すぐれたる娘であった。
しかし、首のぬけたのは、見たことがない、
    と渡辺翁は、語った。


                        
同年八月十五日対話

吉野の山奥のロクロ首村

吉野の山奥に、轆轤(ろくろ)首村というのがあった。
その在所の人は、残らず皆ろくろ首であると言う。
いずれも幼少より首巻をしている。
市に売買に出るのにも、そのようであった。

その中の一人の中年の者をなだめすかしてあの首巻を取って見るに、首の廻りに筋が有った。
その筋を指で押してみると、ふわふわとして動いて、ロをあける様であった。

私自身(渡辺幸庵)もそれを見た。