エコ・ニュージーランド Eco New Zealand

ニュージーランド発。エコライフ、環境保護、山、森、動物、アウトドア、山歩き、猫についてのブログ。

ねむりねこよりみなさんへ

エコ・ニュージーランドへようこそ!! その時の気分で、過去の旅行の話になったり、庭、環境保全、トレッキング等々、話が飛んでいます。ジャンル別にお読みになりたい方は、左のカテゴリーからどうぞ!! また、本文中のトレッキング(トランピング)関連の用語の説明は、同じくカテゴリー欄から「ニュージーランドのトランピング用語集」をご参照ください (^o^)

環境に優しく、効率の良い暖房を

2009年08月07日 | エコ
 ねむりねこです。「エコ・ニュージーランド」なのに、エコ関連の話題が少ないな、と気が付いたので、今回は冬らしく暖房のお話を。暑い夏の季節を過ごしている方々は、思わずスルーしたくなるかもしれないけど、ここニュージーランドでは文字通りのホットな話題なのでどうぞご勘弁。

 ニュージーランドも日本と同じく、南北に長い島国なので北と南では随分気候が異なる。ねむりねこたちの住むクイーンズタウンは、南島の南の方の内陸で盆地に位置しているので、日本だと長野あたり、と言えば分かりやすいだろうか。年間降水量が840mmと関東地方の約半分なので、町中では積雪はほとんどないが、晴れた日の夜は放射冷却で冷え込みが厳しい。

 日本で暮らしていたころ、旅行ガイドを見たら、クイーンズタウンの冬場の平均最低気温は-2℃程度で最高平均気温は8℃くらい、とあったので、「きっと、家屋はセントラルヒーティングが導入されててポカポカだろう」と勝手に解釈をしていた。だから、こちらに来て住むところを探したとき、建物の造りを見て心底おったまげてしまった。壁は薄く、大きな窓が、日の入らない湖に向かって(←冬は日差しの全く入らない方角)ドーンと広がっている。全部が全部、以下の写真ほどの極端な間取りはしてないけれど、だいたいこんなイメージです。







 そして、日差しの入る「北側」(南半球では反対なのです)には窓はあっても小さく、どの窓も二重構造ではないことが多い。暖房は薪ストーブか、効率の悪そうな電気ストーブで、ガスボンベ式のガスストーブがあったらいい方と、少々頼りない。

 確かに、湖側の大きな窓からは山と湖のこんな素晴らしい景色が楽しめて、解放感は抜群だろうけど、





 でも、冬の寒さを考えるとどうしたものかしら…… などと思ってたら、高校の古典の授業で習った徒然草の「家の造りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなるところにも住まる」という一節が、いきなり頭によみがえって笑いこけてしまった。ニュージーランド人が、兼好法師のような風流人ぞろいとは思えない。

 実は、ニュージーランドの家屋の暖房効率の悪さは、この国では誰もが知るところ。冬場の室内の平均気温は15℃、ひどい家だと、寝る前にベッドの横に置いておいたコップの水が、朝になったら凍っていた、なんてことが冗談でなくて「本当」に起こるのだ。で、これはいかんと、家の中の暖房をフル稼働させて、室内温度を18℃とか20℃に上げようとすると、今度はフトコロが寒~くなってしまう だから、着るもので調節するのがこの土地に暮らす者の常識。モコモコと着ぶくれたら動きにくいので、アウトドア用の保暖下着を上下で着て、その上にフリース地の上下、足元は厚手の靴下がスタンダード。「住めば都」とはよく言ったもので、聞くからに寒々しいクイーンズタウンの冬も、慣れてしまえばそう悪くはない。 ……と思ったりする「やせ我慢」も寒さを乗り切る賢い知恵です(笑)。

 今年の7月から、ニュージーランド政府は2000年以前に建てられた家を対象に、家屋の(熱が放出される)屋根裏に断熱材を入れたり、環境に優しく効率の良い暖房設備を導入する際には、補助金を支給することになった。



 薪ストーブはニュージーランドでは冬の風物詩だけど、古いものだと大気に大量の煙を放出して、風の流れが少ない地域ではそれが溜まってスモッグになってしまうし、灰の始末や煙突の掃除など手間もかかるのが珠にキズ。そこで、最近はヒートポンプ(Heat Pump)と呼ばれる、エアコン型の電気暖房器具が、「熱効率が良く、環境に優しく、他の暖房器具と比べると暖房代が安い」の3点から大人気。メーカーは富士通、三菱やパナソニックなど、日本製が圧倒的に多くて人気なのは、日本人として誇りに思うところ。新築物件では二重窓の使用が、この2~3年でようやく標準化されてきて、冬の室内が徐々に「温暖化」するのはすこぶるいい傾向だぁっ

 今はまだ貸家に住む夫婦も、将来家を買うときは、冬に暖かいことを条件に選ぼうと思っている。