『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

禁じられた「じゃんがら」

2006年07月30日 | 歴史
「じゃんがら」について、
大須賀筠軒(1941年~1912年)は
『磐城誌料歳時民俗記』のなかで、次のようにも述べている。

此ぢやんがら念仏ハ、独リ盂蘭盆ノ節ノミナラズ、
各神社仏閣ノ宵祭リニモ躍ル。
或ハ開帳、入仏供養、大般若会等ニモ躍ル。
領主ノ法事執行ノ時モ、其菩提寺ニ来リ、堂前ニテ躍ル。
当坐ニ酒肴ヲ賜フ。但、盆中ト宵祭ノ外ハ、
男女粧ヲ異ニスル如キ醜態ハナカリシ。
県治以来、其弊害アルヲ察シ、禁ゼラレタリ。
今ヤ稍々旧ニ復スル模様ナリトゾ。

これを現代的な表現に改めると、次のようになるかと思う。

「じゃんがら」はお盆の時だけに踊られるのではなく、
神社仏閣の宵祭りや開帳、入仏供養、
大般若会などの時にも踊られることがある。
また、領主の法事の際などにも、その菩提寺で踊られ、
「じゃんがら」の一行に酒や御馳走が振る舞われる。
しかし、踊りの輪に加わる者たちが男装をしたり、
女装をするなどのパフォーマンスの限りを尽くすのは、
お盆と宵祭りの時だけである。
明治6年(1873)、「じゃんがら」は公序良俗に害をなすとか、
近代化した文明社会に相応しくない
との理由から禁止されてしまった。
しかし、一旦禁止された「じゃんがら」ではあったが、
現在(明治25年(1892)頃)では、
以前のようなかたちのものに戻りつつある。
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