『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

「じゃんがら」はパフォーマンスの渦

2006年07月29日 | 歴史
「じゃんがら」について、
大須賀筠軒(1941年~1912年)は
『磐城誌料歳時民俗記』のなかで、
次のようにも述べている。

其中、男ニシテ、女粧スル者アリ。
女ニシテ、男粧スル者アリ。
或ハ、裸体ニシテ犢鼻褌ヲ尾垂シ、其端ヲ後者ノ犢鼻ニ結ビ、
後者モ亦端ヲ尾垂スルアリ。
或ハ、菰莚ヲ鎧トシ、蓮葉ヲ兜トシ、
箒、檑木等ヲ以テ大小刀トシ、仮面ヲ蒙リ、武者ニ扮スル者アリ。
務テ新ヲ競ヒ、笑ヲ釣ル。
其醜態、目スルニ忍ビザルモノアリ。

これを現代的な表現に改めると、次のようになるかと思う。

「じゃんがら」の踊りの輪の中には、
女装している男もおり、また、男装の女もいる。
また、裸になり、自分の褌と他人の褌と結び、
一緒に「じゃんがら」を踊っている者もいる。
さらには、鎧の代わりに菰や莚を身につけ、
蓮の葉を兜に見立て、箒や擂り粉木棒を大小の刀の代わりにし、
仮面をかぶり、武者に扮装して踊る者もいる。
このようにして人々はパフォーマンスの斬新さを競い、
笑いを誘うことに躍起となる。
なかには度を超してしまい、
見るに忍びないような有り様の者たちもいる。

コメント (1)
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