お客様との珠玉の時間

昨日の出来事。

昨年５月１６日に９０歳になるご主人を亡くされたO様。息子夫婦や孫、ひ孫に囲まれた暮らしをされている。今週一周忌を迎えるに当たり、気持ちよく法事ができるようにとリフォーム工事を承った。

おじゃますると、O様たいへんな笑顔で迎えてくださって、『しゃちょうさん、甘いの好きだっていったから、あずき煮たんだけど、たべっか？』

それはそれは９０年のいぶし銀、味わい深いあずきだった。『もっとたべっか？』ということで、おかわりまでいただいた（笑）。そして、とつとつとお話しをされた。

『あっというまだよなあ、人生は。。。若い頃、１９歳の息子を交通事故で亡くした時は、ほんとに悲しかった。それと比べたら爺さんが亡くなったのはねえ、仕方ないし。でもねぇ、ひとりで家にいると、いろんなことをおもいだすんだよ。９０にもなって何いってんだって言われるかもしれないけど。。。いろんなことがあったから・・・。』

目にはうっすらと涙が浮かんでいた。そして数々のエピソードをお話ししてくれた。

『でもねぇしゃちょうさん、あたしゃしあわせだよ。息子夫婦がいて、孫がいて、ひ孫までいる。こないだ雨降ったろ、ざーっと。そしたら畑の野菜の葉っぱがぴんぴんしてね。有り難いなぁ、ほんとにありがたい。お天道様があって、雨が降って、風が通って、こうしてしゃちょうさんに話を聞いてもらって、、、、たんぼでは田植えも終わって、カエルがゲぇーこゲぇーこ鳴いてるよ。お金はなくて貧乏だけど、しあわせだよ、しゃちょうさん。ありがたいよ、ほんとに。』

帰り際、『そうだそうだ』といって、ご主人の眠る仏壇の奥にしまってあったものを取り出して持たせてくれた。

『昨日、母の日でもらったんだ。もってけもってけ。』

と、どらやき。ずっしりと重く感じた、（ほんとに重く感じたなぁ）



家づくりの仕事って、ほんとにすばらしい。いい時間でした。

ではまた。

おさむ