京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2020年12月京都童心の会 通信句会作品評 【選評】前半

2021-01-12 08:12:47 | 俳句
2020年12月京都童心の会 通信句会作品評
【選評】前半
○裸時特選
62 池の雲を啄ばむ鴨の朝   白松いちろう
池に映った雲という発想が滑稽。捉え方の妙。
○白松いちろう特選 
53 紅葉の山里に抱かれる屋敷跡 蔭山辰子
山あいにある今が見ごろの紅葉に包まれた古民家、まるで一幅の絵を見るような心地になります。もしかして、次に訪れる時は落ち着いた喫茶店に変身して美味しい珈琲が楽しめるでしょう。
○蔭山辰子特選
29 鬼穴に籠りて大江山眠る  中野硯池
 足を延ばして天橋立まで行きたいです。好きな時に仲間たちと、お喋りしながら大笑い。お弁当ほうばり・・・。そんな日が帰って来て欲しい。
 恐ろしい新型コロナ風邪にふり廻わされた日々でした。早く平穏な時代になりますよう、心から祈っております。
○野谷真治特選
64 一円玉の晴天 布団むくむく膨らむ 白松いちろう
 一円玉を取り出して、おがめる。―。
「一円玉の晴天」が気になり、特選にした。「布団むくむく膨らむ」とは、なにか。わからないまま、面白いと感じた。
―晴天に恵まれた日のことを、気象の業界用語では、「1円玉の晴天」というらしい。「崩れれることのない天気」として「晴天」を意味する言葉とのことでした。
○三村須美子特選
111 母は娘を子は母想ひ星月夜 宮崎清枝
都会では星明かりを感じるほどの満天の星空、天の川が美しく輝いて見えるとまではいかないかもしれません。大小様々な星の輝く空を眺めながら母は娘のこと、娘は母ことを想う。ふっくらとした情感が星月夜に呼応して良いと思いました。
○坪谷智恵子特選
113 丑年を重ね今在る初山河  宮崎清枝
 新年ハッピーなえとがめぐってらっしゃる。おめでとうございます。美しい自然のもとに心静かにおすごしの御様子、句作を拝見して心洗われる思いです。
○金澤ひろあき選
111 母は娘を子は母想ひ星月夜 宮崎清枝
 お二人の心の響き合いと、星月夜の美しさがぴったり。ハーモニーですね。
そしてその他の感銘句です。
2 あれえッさざえのうんこは何処から出るの 木下藤庵
 読むなり笑いましたが、でもこれを考えた事も無かったですよ。意表をつく視点ですね。
8 婆さんのあんみつ屋いつも日向ぼこ  野谷真治
 下町かどこかにありそうなお店ですね。ゆとりのある日に、ふらりと入ってみたい気がします。
30 減給の賞与五段抜きの記事  中野硯池 
 コロナで経営が危ない企業が出ている現在の現実を詠んでいます。いつまでこの暗い道が続くのでしょうか。夜明けを期待したいのですが。
33 晩緑は新しい靴買う日です  裸時
 新しい物を買うとき、心が弾みますね。その心の弾みが素直に詩になっていていいですね。
38 どうなるの世の中変えたコロナさん  坪谷智恵子
 今までの日常が突如止まってしまう。まさかと思っていた事が本当に起こってしまいました。いつまでこれが続くのか。もとの日常が戻るのか。先が見えないまま年が暮れようとしています。
57 いつか行く待っているかな居ないかナ 蔭山辰子
 待っていてほしいな。そう思う存在が私にもいくつか。
64  一円玉の晴天 布団むくむく膨らむ  白松いちろう
 「一円玉の晴天」とは、「安定した晴れ間」のような気がします。冬は光が弱いですが、貴重でありがたいです。その日に当てた布団のぬくもり具合。その感じが伝わりますね。
81 大声で喜ぶ漁民=無言で弔う魚群   青島巡紅
 金子みすずの「大漁」という詩の視点と重なります。人間サイドだけでなく、魚の側で見ると・・・。こういう発想が「これからの地球」に大切だと思います。 
95 冬巡礼トイレのスタンプラーリとは 三村須美子
 この間、東福寺で重要文化財のトイレ、東司を見ましたが、現代のトイレもいろいろな企画があるのですね。
100 秋日和猫の横顔気持ち良い    野原加代子
 時折見せる彼らの幸せそうな横顔が良いですね。
○野原加代子特選
107 いま一度逢ひたき人と紅葉晴れ  宮崎清枝
 老いを感じる時、走馬灯のように記憶の中を若い頃や幼少期などの事が頭の中に浮かんできます。散歩をしている時に、山の麓を見て美しく色づき紅葉晴れで良い想い出が思いを馳せます。
 父や母にはいま一度会いたくなる句です。
○木下藤庵特選
100 秋日和猫の横顔気持ち良い    野原加代子
 私は猫が大好きなものですから、この句に引かれました。