2025年5月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】
○金澤ひろあき選
特選 天 7 シャボン玉世界は拡し旅立つ日 松村芳子
シャボン玉が生きていて、自分の意志で飛び立つような表現になっています。「世界拡し」ととらえることで、私達にも希望を与えてくれるような明るさもあっていいですね。
地 59 牡丹の崩れ金魚隠れて一つの死 三村須美子
ドキュメント風に見えます。華やかだった「牡丹の崩れ」と「金魚」の配合、二物衝撃が映像を浮かび上がらせ、印象を鮮明にしています。
人 32 晴時々雨ポケットの風船 野谷真治
「晴時々雨」というのは、微妙な心境や状態を示しているようです。「ポケットの風船」は、何の象徴なのでしょう。考えさせられます。ポケットから取り出して膨らます。何かの可能性を暗示しているかのようです。
他、印象深い句。
24 小さなプライド散りばめ シャボン玉 塩見すず子
空にたくさん浮かぶシャボン玉を見ていると、一つ一つが輝いていて、確かに大切なもの、「プライド」の象徴のように見えることもあります。
この句の見立て、素敵です。
29 若葉です心の中は不安色 遠藤修司
若葉の若々しい緑。その下に陰りを見たりすることもあります。あるいは若さゆえの不安でしょうか。何となく「不安」のような色を感じる心のひだの微妙さを思います。
41 春帽子母の御下がり被りして 野原加代子
こうやって受け継いだもの。古いけれど、思いがこもっているもの。いつまでも大切にしたいものですね。
48 親子丼ごはんすこーし玉ねぎ人参じゃが芋 蔭山辰子
お米が高い。去年の二倍の値段。「ごはんすこーし」がかなしいですね。そのぶん、玉ねぎ、人参、じゃが芋を増やし。暮らしの詩ですね。
56 雲の獅子地には牡丹の咲き乱れ 三村須美子
獅子に牡丹は古典的図柄ですね。5月初め頃の晴れた空。雲の形が獅子。その組み合わせのように、地には牡丹が咲き乱れる。雲を獅子に見立てるのが楽しいです。
1 八重の花学び舎六年高唱す 松村芳子
小学校の卒業式。毎年見る光景ですが、一人一人の子にとって、人生の基礎となる大切な六年間です。「八重の花」を上句に据えるのも、趣を添えますね。
26 シャボン玉飛び 阿・吽の呼吸になる 塩見すず子
吹いた私と飛び立つシャボン玉。「阿吽の呼吸」が、気持ちが合わさっている感をよく出していますね。
44 母子草恩師想いて歩きたし 野原加代子
こうやって想って貰える先生、幸せですね。
62 何もかも舐めて確かむ子の若葉 三村須美子
こういう時期がありますね。目が離せなくて大変ですが。「若葉」に気持ちがこもっていますね。
28 良い知らせオクラレルカの花言葉 遠藤修司
この句を読んでいると、じんわりと愛情を感じます。
○松村芳子特選
11 もう母もいない花冷えのふるさと 金澤ひろあき
初めの「もう」だけで悲しみが強く感じられました。
○野谷真治特選
10 父母を見送る私の中に落ちる花 金澤ひろあき
私は、昨年(二〇二四年)、母親の十三回忌法要を行った。父親は、三年後に、十三回忌をむかえる。父と母を亡くして、久しい。
「私の中に落ちる花」が寂しく、悲しい。
○野原加代子特選
53 ハナミズキ思わず鼻歌青い空 三村須美子
私の好きな花の種類の一つです。市バスから見る花ミズキを今年も見ることが出来ました。心の落ち着く穏やかな花だと思います。思わず一青窈さんのハナミズキをユウチューブで何回も聞いています。
○塩見すず子特選
10 父母を見送る私の中に落ちる花 金澤ひろあき
父母を亡くし見送る時、父母の人生、私の人生をふりかえり、両親への感謝、私の責任、いろんな思い出にひたり。
私の中に落ちる花の色は何色だったんでしょうか。決意はと?
気持ちがつたわります。
2 バラ園のあるようないよう曲がり道 松村芳子
咲きみだれるバラ園の曲がり道もあり、私の人生もあるようなないような不確かな道を想像します。
○三村須美子特選
9 何もいわなくなった母に思い出話する 金澤ひろあき
最近、夫を亡くした私も毎日、今日あった事、困った事など話かけや相談をしています。遺影は笑っていて何も答えてくれません。でも私の心にワンクッションの間をおいて慰めになります。私も同じと思い、選びました。
○遠藤修司特選
10 父母を見送る私の中に落ちる花 金澤ひろあき
何故かわからないけど、ふにおちたので特選にしました。
○蔭山辰子特選
53 ハナミズキ思わず鼻歌青い空 三村須美子
快い初夏の日々、短い間でも楽しみたいです。
61 花は葉に見返り桜何代目 三村須美子
植物は何も云わず、次の年に新芽を出し、花を咲かせます。私も、そうありたいと思いますが、なかなか難しいです。
64 青嵐や暑い日寒い日まだストーブ 三村須美子
あおあらし、梅雨の明けるまで続くでしょうか、猛暑の夏よりいいのでしょうが・・・。
【選評】
○金澤ひろあき選
特選 天 7 シャボン玉世界は拡し旅立つ日 松村芳子
シャボン玉が生きていて、自分の意志で飛び立つような表現になっています。「世界拡し」ととらえることで、私達にも希望を与えてくれるような明るさもあっていいですね。
地 59 牡丹の崩れ金魚隠れて一つの死 三村須美子
ドキュメント風に見えます。華やかだった「牡丹の崩れ」と「金魚」の配合、二物衝撃が映像を浮かび上がらせ、印象を鮮明にしています。
人 32 晴時々雨ポケットの風船 野谷真治
「晴時々雨」というのは、微妙な心境や状態を示しているようです。「ポケットの風船」は、何の象徴なのでしょう。考えさせられます。ポケットから取り出して膨らます。何かの可能性を暗示しているかのようです。
他、印象深い句。
24 小さなプライド散りばめ シャボン玉 塩見すず子
空にたくさん浮かぶシャボン玉を見ていると、一つ一つが輝いていて、確かに大切なもの、「プライド」の象徴のように見えることもあります。
この句の見立て、素敵です。
29 若葉です心の中は不安色 遠藤修司
若葉の若々しい緑。その下に陰りを見たりすることもあります。あるいは若さゆえの不安でしょうか。何となく「不安」のような色を感じる心のひだの微妙さを思います。
41 春帽子母の御下がり被りして 野原加代子
こうやって受け継いだもの。古いけれど、思いがこもっているもの。いつまでも大切にしたいものですね。
48 親子丼ごはんすこーし玉ねぎ人参じゃが芋 蔭山辰子
お米が高い。去年の二倍の値段。「ごはんすこーし」がかなしいですね。そのぶん、玉ねぎ、人参、じゃが芋を増やし。暮らしの詩ですね。
56 雲の獅子地には牡丹の咲き乱れ 三村須美子
獅子に牡丹は古典的図柄ですね。5月初め頃の晴れた空。雲の形が獅子。その組み合わせのように、地には牡丹が咲き乱れる。雲を獅子に見立てるのが楽しいです。
1 八重の花学び舎六年高唱す 松村芳子
小学校の卒業式。毎年見る光景ですが、一人一人の子にとって、人生の基礎となる大切な六年間です。「八重の花」を上句に据えるのも、趣を添えますね。
26 シャボン玉飛び 阿・吽の呼吸になる 塩見すず子
吹いた私と飛び立つシャボン玉。「阿吽の呼吸」が、気持ちが合わさっている感をよく出していますね。
44 母子草恩師想いて歩きたし 野原加代子
こうやって想って貰える先生、幸せですね。
62 何もかも舐めて確かむ子の若葉 三村須美子
こういう時期がありますね。目が離せなくて大変ですが。「若葉」に気持ちがこもっていますね。
28 良い知らせオクラレルカの花言葉 遠藤修司
この句を読んでいると、じんわりと愛情を感じます。
○松村芳子特選
11 もう母もいない花冷えのふるさと 金澤ひろあき
初めの「もう」だけで悲しみが強く感じられました。
○野谷真治特選
10 父母を見送る私の中に落ちる花 金澤ひろあき
私は、昨年(二〇二四年)、母親の十三回忌法要を行った。父親は、三年後に、十三回忌をむかえる。父と母を亡くして、久しい。
「私の中に落ちる花」が寂しく、悲しい。
○野原加代子特選
53 ハナミズキ思わず鼻歌青い空 三村須美子
私の好きな花の種類の一つです。市バスから見る花ミズキを今年も見ることが出来ました。心の落ち着く穏やかな花だと思います。思わず一青窈さんのハナミズキをユウチューブで何回も聞いています。
○塩見すず子特選
10 父母を見送る私の中に落ちる花 金澤ひろあき
父母を亡くし見送る時、父母の人生、私の人生をふりかえり、両親への感謝、私の責任、いろんな思い出にひたり。
私の中に落ちる花の色は何色だったんでしょうか。決意はと?
気持ちがつたわります。
2 バラ園のあるようないよう曲がり道 松村芳子
咲きみだれるバラ園の曲がり道もあり、私の人生もあるようなないような不確かな道を想像します。
○三村須美子特選
9 何もいわなくなった母に思い出話する 金澤ひろあき
最近、夫を亡くした私も毎日、今日あった事、困った事など話かけや相談をしています。遺影は笑っていて何も答えてくれません。でも私の心にワンクッションの間をおいて慰めになります。私も同じと思い、選びました。
○遠藤修司特選
10 父母を見送る私の中に落ちる花 金澤ひろあき
何故かわからないけど、ふにおちたので特選にしました。
○蔭山辰子特選
53 ハナミズキ思わず鼻歌青い空 三村須美子
快い初夏の日々、短い間でも楽しみたいです。
61 花は葉に見返り桜何代目 三村須美子
植物は何も云わず、次の年に新芽を出し、花を咲かせます。私も、そうありたいと思いますが、なかなか難しいです。
64 青嵐や暑い日寒い日まだストーブ 三村須美子
あおあらし、梅雨の明けるまで続くでしょうか、猛暑の夏よりいいのでしょうが・・・。
