2024年3月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】後半
○青島巡紅改めて佐久間照三選
特選 34 冴え返る まだ「思想犯」ある地球 金澤ひろあき
日本にはなくても世界には確かにまだある。自分の思想信条をいつどこでもはつらつと言える星にしたいものですね。この句の季語のように。
並選
2 客の雨傘 梅の花びら一つ二つ 塩見すず子
ぼかしから一点へのフォーカスが効いています。鮮やかです。
13 次世代へのバトンタッチが見えてきた 墓参
老境のポジティブな心境がいいですね。また一つ肩の荷が降りたという安心感も伺えます。
17 猫寝顔ポケットの春がある 野谷真治
気持ちよさそうに眠る猫の顔には木漏れ日が当たっていてポケットに手を入れたような温もりが伝わってきた感じがよく出ています。
38 プーチンの顔から消えたしなやかさ 金澤ひろあき
いつまで悪役を演じているのでしょうか。自国の国益に繋がるからと無益な政策を続けていれば余裕も無くなってきますよね。ソ連時代の亡霊から脱却することがそんなに難しいのでしょうか。
40 名残り雪嫁入り前の雛の家 金澤ひろあき
嫁ぐことが決まった娘と親があれこれやと思い出話に花を咲かせている風景はまるで名残雪のように切なく美しい。明日からはもう雛ではいられない娘。
43 卒業と一緒に消えるなごり雪 金澤ひろあき
事実多くの人は時間と友に記憶の彼方に消えていきます。一期一会です。忘れた頃に降る雪も溶けて流れます。
48 バレンタインねぎらい言葉貰いして 野原加代子
職場で頑張っているねという状況かもしれないし、デイサービスで長生きしてしてねという状況かもしれない。自分の想像で読める句です。
51 春日和友の足追いウォーキング 野原加代子
暖かく穏やかな晴天の日自分より足が早く出る友に負けないぞと自分も足を出す様が目に浮かびます。
56 梅の実や人のうわさも転びづめ 松村芳子
梅の実が転がるように人の噂話も二転三転して収束する。面白い句です。
57 梅粥やバターの堅き二月果つ 松村芳子
冷蔵庫から取り出したバターにはすぐには溶けないぞというような意地がある。まだ2月末、梅粥の湯気にもバターの匂いが混ざって食欲が湧いてくることだろう。
62 鶏を褒めていただく寒卵 三村須美子
一年中で最も栄養価の高い卵を産んでくれる鶏に感謝するのは当然ですね。貴重な生命のお裾分けなのですから。
69 葉牡丹や盛り上がりつつ青みけり 三村須美子
葉牡丹が感じさせる生命力が伺えます。寒さが増すごとに伸びて色づくのですから。
74 弥生の朝夢のつづきの青い空 蔭山辰子
三月、春へと続く月、いい夢を見た朝の清々しい気持ちが繋がる青空。子供頃に戻れる句ですね。
79 自然災害 国会 戦争もう「イヤ」という訳にもいかない 蔭山辰子
作者の言う通りなのである。自分に無関係な状況は世界にはないので、どこかで加担している。例えば、無関心の振りをしているとか、自分には無関係だと割り切ろうとして出来ないでいるとか、そう言う人たちが力を貸してくれたら世界は軌道修正出来ると思いたい。
80 日々生活老体痛みどう生きよう 蔭山辰子
ホームヘルパーの講習会で高齢者の体感を経験したことがあるが、一筋縄では耐えきれないものだった。だけど、寝たきり老人でもパワーリハビリによって歩けるようになったという事例もある。僕も4月で65歳となる。老いに負けない身体づくりに興味を持って前向きに生きたいと思っている。作者も迷いながらも巧妙に辿り着くだろう。
○塩見すず子特選
18 風呂の水換える夕暮と口笛 野谷真治
作者の姿が目に浮かびます。一日きっといいことがあったのでしょう。明るい気持ちがつたわります。
選んだ句 39 恋の猫雅な雛をひとまたぎ 金澤ひろあき
猫のなにげない動作の瞬間をうまくきりとった句です。特選にしょうか迷いました。
【お知らせ】
4月句会
日時 4月28日(日)午後2時
場所 阪急長岡天神駅東口 喫茶 アーバンにて
投句 毎月第2週まで 10句前後ですが、少なくても可です。
84円切手3枚同封下さい。
選評 来月第1週までに頂けるとありがたいです。
京都童心の会 年会費 3000円
月句会参加の方は句会で頂いておりますので、不要です。
【選評】後半
○青島巡紅改めて佐久間照三選
特選 34 冴え返る まだ「思想犯」ある地球 金澤ひろあき
日本にはなくても世界には確かにまだある。自分の思想信条をいつどこでもはつらつと言える星にしたいものですね。この句の季語のように。
並選
2 客の雨傘 梅の花びら一つ二つ 塩見すず子
ぼかしから一点へのフォーカスが効いています。鮮やかです。
13 次世代へのバトンタッチが見えてきた 墓参
老境のポジティブな心境がいいですね。また一つ肩の荷が降りたという安心感も伺えます。
17 猫寝顔ポケットの春がある 野谷真治
気持ちよさそうに眠る猫の顔には木漏れ日が当たっていてポケットに手を入れたような温もりが伝わってきた感じがよく出ています。
38 プーチンの顔から消えたしなやかさ 金澤ひろあき
いつまで悪役を演じているのでしょうか。自国の国益に繋がるからと無益な政策を続けていれば余裕も無くなってきますよね。ソ連時代の亡霊から脱却することがそんなに難しいのでしょうか。
40 名残り雪嫁入り前の雛の家 金澤ひろあき
嫁ぐことが決まった娘と親があれこれやと思い出話に花を咲かせている風景はまるで名残雪のように切なく美しい。明日からはもう雛ではいられない娘。
43 卒業と一緒に消えるなごり雪 金澤ひろあき
事実多くの人は時間と友に記憶の彼方に消えていきます。一期一会です。忘れた頃に降る雪も溶けて流れます。
48 バレンタインねぎらい言葉貰いして 野原加代子
職場で頑張っているねという状況かもしれないし、デイサービスで長生きしてしてねという状況かもしれない。自分の想像で読める句です。
51 春日和友の足追いウォーキング 野原加代子
暖かく穏やかな晴天の日自分より足が早く出る友に負けないぞと自分も足を出す様が目に浮かびます。
56 梅の実や人のうわさも転びづめ 松村芳子
梅の実が転がるように人の噂話も二転三転して収束する。面白い句です。
57 梅粥やバターの堅き二月果つ 松村芳子
冷蔵庫から取り出したバターにはすぐには溶けないぞというような意地がある。まだ2月末、梅粥の湯気にもバターの匂いが混ざって食欲が湧いてくることだろう。
62 鶏を褒めていただく寒卵 三村須美子
一年中で最も栄養価の高い卵を産んでくれる鶏に感謝するのは当然ですね。貴重な生命のお裾分けなのですから。
69 葉牡丹や盛り上がりつつ青みけり 三村須美子
葉牡丹が感じさせる生命力が伺えます。寒さが増すごとに伸びて色づくのですから。
74 弥生の朝夢のつづきの青い空 蔭山辰子
三月、春へと続く月、いい夢を見た朝の清々しい気持ちが繋がる青空。子供頃に戻れる句ですね。
79 自然災害 国会 戦争もう「イヤ」という訳にもいかない 蔭山辰子
作者の言う通りなのである。自分に無関係な状況は世界にはないので、どこかで加担している。例えば、無関心の振りをしているとか、自分には無関係だと割り切ろうとして出来ないでいるとか、そう言う人たちが力を貸してくれたら世界は軌道修正出来ると思いたい。
80 日々生活老体痛みどう生きよう 蔭山辰子
ホームヘルパーの講習会で高齢者の体感を経験したことがあるが、一筋縄では耐えきれないものだった。だけど、寝たきり老人でもパワーリハビリによって歩けるようになったという事例もある。僕も4月で65歳となる。老いに負けない身体づくりに興味を持って前向きに生きたいと思っている。作者も迷いながらも巧妙に辿り着くだろう。
○塩見すず子特選
18 風呂の水換える夕暮と口笛 野谷真治
作者の姿が目に浮かびます。一日きっといいことがあったのでしょう。明るい気持ちがつたわります。
選んだ句 39 恋の猫雅な雛をひとまたぎ 金澤ひろあき
猫のなにげない動作の瞬間をうまくきりとった句です。特選にしょうか迷いました。
【お知らせ】
4月句会
日時 4月28日(日)午後2時
場所 阪急長岡天神駅東口 喫茶 アーバンにて
投句 毎月第2週まで 10句前後ですが、少なくても可です。
84円切手3枚同封下さい。
選評 来月第1週までに頂けるとありがたいです。
京都童心の会 年会費 3000円
月句会参加の方は句会で頂いておりますので、不要です。