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京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2019年7月長岡天神句会の記

2019-07-31 08:01:01 | 俳句
2019年5月長岡天神句会の記
           金澤 ひろあき
 今年の5月より、年号が「令和」になりました。年号の出典が『万葉集』だそうで、書店には『万葉集』が並んでいます。巻頭の雄略天皇の歌からはじまり、詠み手はさまざまです。歌人だけでなく、東国の庶民、中には大津皇子や有馬皇子のような敗者の歌も除外せずに遺しています。
 古代日本語に現れされた生き生きとした想い、それらを読むたびに共鳴します。本当に時を超えます。
 今、私達が書いている詩歌も、その流れの延長線上にある。そんな事を感じます。
 こんな事を考えつつ、皆さんの作品を読んでいます。
筍の根を切り見せて売り自慢   三村 須美子
 筍を売る人の、自信ありげな顔までが浮かんできますね。この切り口をみてごらん。そのあたりで売っているとは違うんだ。ここをしっかり見ておくれ・・・こんな会話が飛び交ったのでしょうか。
  茶袋に詰め放題の古茶を売る   中野 硯池
 新茶が出たとたん、これまでのお茶は古茶に。在庫一掃セールなんですが、「詰め放題」という売り方が、買い手の欲を誘いますね。目一杯つめこんで・・・というシーンが思い浮かびます。
  霧深き幕を引きつつ島見える   岡畠 さな子
 霧が晴れて、淡路島が見えてくる様子を「幕を引きつつ」と表現したところ、わかりやすい比喩ですね。本当にそんな感じの舞子でした。
新緑に山がめざめる5月かな   坪谷 智恵子
 ほんとうに鮮やかな山のみどりです。私も青島さんと、新緑の東山、蹴上の社をたずねました。
足裏も深呼吸の若葉かな     青島 巡紅
 「足裏の深呼吸」に、命の泉が湧いてくるような、気に満ちたすがすがしさを感じます。そして「深呼吸の若葉」に、命のみずみずしさ。人と自然の交流というものも感じます。
  春灯す今あることの楽しさを   金澤 ひろあき
 奈良東大寺の門前の、あたたかな灯火を見て、ふっと口から出た句です。奈良が好きで、10代後半から度々訪れました。それが60代。春が巡り来るたびに、生き得た喜びのようなものを想います。そして、出来うる限り、生を楽しみたいと願います。

タイ料理

2019-07-30 08:01:31 | 俳句
タイ料理
        金澤 ひろあき
 7月も20日以上過ぎ、ようやく梅雨明けという感じの京都です。とたんに、35度になり、またこれまでも湿度が高い中で過ごしていたせいか、体がだるくなりました。
 こういう時、暑い国のお料理がほしくなります。七条大橋に面したタイ料理のお店に、友人と行きました。タイ風春巻きや、サラダ、トムヤンクン、グリーンカレーなど、癖になりそうな料理を楽しみました。鴨川と東山を見ながら、くつろぎの時間をたっぷりと。40代の頃、タイに行って好きになって以来、年に何回かはタイ料理を楽しんでいます。
 帰りに四条で、御神輿と群衆に出会いました。祇園祭も終わりますね。
  三十五度真夏に向けてタイ料理   ひろあき

鈴木和枝様へ

2019-07-29 17:47:49 | 俳句
鈴木和枝様へ
 暑くなりましたね。今年の夏の予報は冷夏と聞いていたのですが、京都はなかなかです。
 さんしょNO、157ありがとうございます。実感の中から出てくる句が、口語俳句らしいです。等身大の感じが好きです。
源流を荒らさないでねリニアさん     松本 克行
 経済効率と引き換えに、日本は大切な物を次々に失ってきました。清く豊かな水とその周囲の環境というのも、その一つでしょう。金や便利のための開発と引き換えに、豊かだった水が涸れてしまった話をたくさん聞きました。リニア新幹線は、日本アルプスに長大なトンネルを掘るそうです。当然、地下水脈を断ち切るでしょう。何万年もかかってできた今の自然の形を、目先の利益のために失って行く愚行を、この句の筆者とともに憂えます。
  この番号天国まで届きますか       石神 君子
 亡くなったお知り合いの方の、携帯の番号でしょうか。私も同じ体験があります。かけると出てきてくれるとうれしいのですが。
ふるさとびとが逝った川の匂いのする男  山川 遊狐
 これも追悼句ですが、「川の匂いのする男」で、その人のおもかげが目の前に思い浮かびます。そしてその人のことを実によく知っているんだなということも伝わってきます。
  パンツゴムゆるんでしまっても夫婦です  伊藤 眞一
 親しみの表現で、とてもいいなと思います。ゆるいんだけれども、とてもしっくりと身になじんでいる。その感じがいいですね。

二〇一九年七月二十九日              金澤 ひろあき

西山寮詩会作品 2019年8月

2019-07-29 08:26:50 | 俳句
【西山寮詩会作品】 2019年8月
幻術よ蓮の葉から酒を吸う       金澤 ひろあき 

朝夕に思いえがく今日この頃      竹村 伊三
七夕に願い事ひとつ元の元気な体に戻る事ばかり 
雨上がり嵐山々深緑しばし見とれる
面会の少なさに親族の少なさにがっかりする日々淋しさますますふくらむ
となり人何を語ってくるかつかれるだけ早く何もない日々を待ちつつ
毎年春くるうぐいす、今だ立派な鳴き声聞けず早春の暖かさ思い浮かぶ

懐かしき無花果頬張り母想い      野原 加代子
ペチュニアに水をやりては孫はしゃぎ
半夏生水もに咲きて涼し感
青竹に願い込めて短冊や

西日さす部屋にすだれの影うつす    奥田 一枝
目ざめして時計が友や天気予報
亡父の植えし五十余年や柚子の花
梅雨入りて一雨いろよき青田かな
障子のきしづく居間の梅雨湿り

夕虹の舟屋出る舟帰る舟        中野 硯池
樹々の白地上の白や夏椿
睡蓮の雨音を聴く水面かな

暗算の用紙で今日も頑張ろう      西田 ナツヱ
老人の心和ます昼食会楽しい一時一瞬にて去る

双蝶の狭庭に離れ離れては       宮﨑 清枝
顔のしみ鏡にしるき梅雨最中
万緑を水に落として嵐山

幽霊の日

2019-07-26 16:29:27 | 俳句
幽霊の日
          金澤 ひろあき
 7月26日は「幽霊の日」だそうです。4代目鶴屋南北が、中村座で『東海道四谷怪談』を初演した日にちなんでということです。でもこれは江戸時代、旧暦ですから、今の太陽暦と違って、秋になるのですね。日本を代表する怪談話の初演の日なので、記念日にしたということなのでしょう。
 そういえば日本の文芸で、霊魂が出てくるものは多いですね。『太平記』だって、霊が語った重要シーンがありますし、能のシテは幽霊だらけ。果たせぬ想いやかなしみを述べてきて行きます。
 たもとよりシテの蓮の現れる    ひろあき