京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2024年8月 京都童心の会 通信句会結果 【選評】

2024-09-30 12:54:32 | 俳句
2024年8月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】
○金澤ひろあき選
特選 天 1 まっすぐまがっている國の新札 野谷真治
 だんだん国の力が衰えて行くのが顕在化していながら、有効な対策ができていない現在。そして、リーダー達の言動もしまりがない、けじめがない。そのタイミングで新札を発行し気分を変えようとしたのだろうが、さてその効果はどれほど?「まっすぐまがっている」の表現が、今の状況を言い当てている。「國」という大げさな旧字は、これまた皮肉か。
地 65 こだわりの一つづつ減る介護かな 三村須美子
 長いこと介護をやっているとこんな感じになって行くのですね。こだわっていたら生活できなくなっていくことに直面してしまう。私もこれから、一つ一つ手放していく生活になりそうです。
人 17 暑中見舞 癖ある友の文字弱し 松村芳子
 文字の癖ですぐに、あああの人かとわかる。特に親しい人のは。そしてその文字が弱々しいと、大丈夫かなと心配になる。
ちょっとしたことから、心の動きがうかがえることを教えてくれる。
他、印象に残る句。
10 熱さの急流 まっ赤な鶏頭を活け  塩見すず子
 「熱さの急流」。猛暑だった今夏、鶏頭の赤を見ると本当にそう感じられる。表現が素晴らしい。
25 風邪を引き来るべき時か?ただの気管支炎 蔭山辰子
 年をとったり、一人暮らしをしていたら、体が不調になると不安になる。でも、それぐらい気を付ける方が良いのかもと、最近親しい友に死なれてから、強く思うようになった。    
35 「ジビエ食べしかとたくさん話をす うれしき契り悲しい別れ」 遠藤修司
 「しかと」が「確と」と「鹿と」の掛詞。亡くなった友人とジビエ料理を囲んだ思い出。私も心の中に共有している。大切な時間だった。
56 夏帽子今年も被り母想い  野原加代子
 この夏帽子、お母さんの形見でしょうか。それともお母さんが夏帽子をかぶっていたことを思い出しているのでしょうか。ふとした中に、懐かしい人、大切な人のことを思い出したりしますね。
○野原加代子特選
13 独り居の日高き夕げ明日へ生く 松村芳子
 一人暮らしで一生懸命生きておられるのでしょうか。一日を通して食物を食べることの意味が私自身大病をしてからこんなに大切なものなんだと思うようになりました。
 朝一番に部屋のカーテンを開けますが、お日様を浴びれる気持ちは嬉しいものです。朝は生きていることの嬉しさ、今日一日生き延びよ!明日も生きれるように!と毎日思っています。
○蔭山辰子特選
18 人の世の常をまっすぐ鶏頭立つ  松村芳子
 真夏でもパッと咲いてる鶏頭の花。真っ赤でも真っ白くとも、元気をもらえます。
70 理由はとやかく殺し合うなよ原爆忌 三村須美子
 8月は祈りの月です。
73 音響く何処かでやってる遠花火  三村須美子
 マンションの5階の窓から天神祭などの花火を遠くに見えます。花火のあと、4、5秒あとに音が聞こえて来ます。夏の夜のたのしみが分かります。
○野谷真治特選
51 木の階段まあ休みなされ夏の旅 金澤ひろあき
 毎年続く猛暑。今年は、40度の所もあった。
 汗だくの夏の旅路。「まあ休みなされ」が、なんともいい。
 木の階段も、ハッとさせられた。
○遠藤修司特選
17 暑中見舞い癖ある友の文字弱し 松村芳子
友の便りから〝文字弱し〟。筆圧とかも関係あるかも?逆に相手を気遣う心情を句から感じました。
 句作りには想像する力が必要かも!
○松村芳子特選
49 猛暑の蓮 たった一人で逝った友 金澤ひろあき
 淋しい時代に変わりました。笑顔で魂祭りさせてもらいますよう。
○岡畠真理子特選
50 思わず居眠り単線列車の振動音 金澤ひろあき
 単線ということはおそらくローカル電車。この状況良くわかります。速い電車でも寝れますが、ローカル電車での寝心地の良さにはかなわない気がします。
○三村須美子特選
18 人の世の常をまっすぐ鶏頭立つ  松村芳子
 鶏頭は夏の暑さにも負けず、太い茎を力強く立ち伸べ、その先に力強く燃えるような生気あふれる花をつける。鶏の鶏冠の如く赤や黄色等の独特の雰囲気をもった花です。昔から庭、畑の隅に植えられ、お盆に供えたりした。最近は子供の背丈ほどの大型種は見かけなくなりましたがどこか懐かしさを感じる花です。鶏頭の様は親が子に人の世の常をまっすぐと諭しているようです。魅力的な句だと思います。
○塩見すず子特選
1 まっすぐまがっている國の新札 野谷真治
 新札が曲がっていることを「まがっている國」ととらえた作者の批判眼にアッパレです。
17 暑中見舞 癖ある友の文字弱し 松村芳子
 暑中見舞のハガキから友の変化をよわよわしい文字からうまくスケッチできました。
29 よくやった石丸君の新時代 蔭山辰子
 私も石丸さんを応援しました。
63 カラスさえ外出控える暑さかな 三村須美子
 カラスと暑さをうまくとりあわせてあります。

お知らせ
投句 毎月第2週まで 10句前後ですが、少なくても可です。
 84円切手3枚同封下さい。
選評  来月第1週までに頂けるとありがたいです。
京都童心の会  年会費 3000円
月句会参加の方は句会で頂いておりますので、不要です。

●10月句会は27日(日)の予定です。11月初めには、吟行も予定しています。決まり次第お知らせします。

(お便りより)
○鈴木和枝様
 残暑お見舞い申し上げます。
 いつもお世話になり又ご協力ありがとうございます。
「童心」2024年記念号頂き有り難うございました。お礼が遅くなりまして申し訳ありませんでした。
 毎月発行している上、記念号は素晴らしいです。体力も気力も能力も。頭が下がります。
「違いを認めあい共に生きる
 ほっこり遊ぼう自由な短詩、俳句集団です。
 定型、自由律、口語、心のままに、素顔のままに、言葉にしてみましょう。一緒に楽しみましょう。」
 とてもいいフレーズです。金澤さん自身、心から俳句が好きで、そして俳句仲間が好きで全力投球しています。だから会員の皆さんが輪になって助け合っています。
「私達は芭蕉と同じ風景を見ることができないのです。」本当ですね、だから今こそ、今日しかない日を自分を活字にして残してみよう・・・ですね。
 碧梧桐と中学で出会ったこと、金澤さんには会うべき人に会ったのでしょう。
 いつも楽しみに拝読させてもらってます。ありがとうございます。
 まだまだ暑い日がつづきます。どうぞお体に気を付けてご活躍下さい。

[吟行予定]
 9月は残暑厳しく、まだ出歩きたくないですが、気候が良くなる11月初め頃に、吟行を予定しています。
 場所は高槻市にある、今城塚古墳。継体天皇の実際の陵墓ではないかと言われています。復元された埴輪の行列などが見事です。
 来月、詳細はお知らせいたします。よろしくお願いします。

2024年8月 京都童心の会 通信句会結果

2024-09-29 15:46:41 | 俳句
2024年8月 京都童心の会 通信句会結果

時が残ってしまった所
          金澤ひろあき
 世の中に常は無い。多くの別れを体験した後は、身にしみます。それだけに、時が残ってしまった所に行ってみたくなったのです。
 三重県の関という町は、旧東海道の町並みがよく残っていると聞いたので、訪ねてみました。
 知り合いの親切なNさんと二人旅。JR草津線で柘植(つげ)まで。柘植で関西本線に乗り換えます。これも旧東海道のコースとほぼ重なります。もっとも、江戸の人達は歩きですから、私達はずいぶん楽をしています。
 関西本線は単線で電化しておらず、二両のディーゼル車で山の中の線路をたどります。このゆっくり感が良いのです。
 関駅の観光案内所で地図をもらい歩き出したら、まあ何と気づかずに関宿を通り越していました。どんどん山の方へ行く。こりゃおかしいと引き返します。駅からこんな近くにあるじゃないですか。
  地図通り行って迷子の関の宿  ひろあき
町並みに戻り西へ。鈴鹿峠の方向へ向かったのですが、町並みが江戸風にきっちり揃っています。暑いせいか、人もあまりいない。静かに古い町並みを歩くって贅沢ですよ。
 まちなみ資料館に入り、座敷や蔵、井戸や庭等を見て回りました。けっこう広いので、うらやましい。
  木の階段まあ休みなされ夏の旅 ひろあき
 関の郵便局も周りに合わせて作っています。昔の高札場(公の知らせを書いた板を立てた所)跡にあり、場所的にも似合っています。
 玉屋という大きな旅籠だった所が資料館になっています。蔵の中に広重の浮世絵がありますが、撮影はダメ。ちょっと残念。
 お昼はNさんと近くの店でおこわと蕎麦。くつろぎ過ぎていたら、夕立が来そうに。
  夕立を打ち水とする旧街道 ひろあき
皆さんの選です。
 選者 真・・野谷真治  白・・白松いちろう 修・・遠藤修司
  辰・・蔭山辰子  ひ・・金澤ひろあき 須・・三村須美子
    さ・・岡畠さな子 加・・野原加代子 真理・・岡畠真理子
    芳・・松村芳子  す・・塩見すず子

○野谷真治
1 まっすぐまがっている國の新札 (特 ひ)(特 す)
2 神奈川県民蒲団の中の都知事選
(2は誤字がありましたので訂正しておきます。すみません。)
3 蕎麦湯待つ梅雨明け  加 辰 真理
4 無口の人陽炎したたる 修
5 陽射しの切取線猫昼寝 修 須
○塩見すず子
6 トタン屋根熱さに負けぬ猫の恋 加
7 売れ残り 3人句会へ茄子届く 真
8 整理した鶏頭の花墓に挿す 修
9 熱さの急流をのりきり笑うぞ 須
10 熱さの急流 まっ赤な鶏頭を活け ひ 辰
○松村芳子
11 踏み外す事なく去りしはたた神
12 米寿旅吊橋大揺れ運、不運  須 す
13 独り居の日高き夕餉明日へ生く (特 加)真
14 確かなる西瓜の旨さ自作自賞 辰 真理
15 顔作るしわ知る暇日里の盆
16 庫は炎暑コップ酒飲む唇甘し 修
17 暑中見舞 癖ある友の文字弱し (特 ひ)(特 修)辰 真 す
18 人の世の常をまっすぐ鶏頭立つ (特 辰)(特 須)す
19 初茄子や紫紺つやつや人も尚  加 真理 す
20 背を曲げてこぼれし種を白鶏頭
21 着駅は余儀なき未到 鶏頭は白 須
22 支え合う人を真似たく鶏頭活け
○蔭山辰子
23 デイサービスヘルパー利用者みな仲間 加 芳
24 この歳で知り合えた人皆やさし 加 芳 真理
25 風邪を引き来るべき時か?ただの気管支炎 ひ 須
26 あらいやだ娘一家も同じ風邪 修
27 唐がらしパラパラふって夏うどん 加 真
28 とうもろこしプツプツ甘く楽しみて
29 よくやった石丸君の新時代    す
30 若い人生めよ増やせよ今私の願い
31 賢さも美しさもやはり安定も 芳
32 情熱も時にはヒステリックに聞こえたり 須
33 ただ待つだけ9月10月涼しい日 加 真理
○遠藤修司
34 「知りあいは奥様のことを母さんと呼ぶ うらやむ私」 辰
35 「ジビエ食べしかとたくさん話をす うれしき契り悲しい別れ」 ひ 須
36 「星座大好き青島さん 星になったね」辰 真 須
37 「いいですね!その一言が励みでした」辰
38 「他人の事をけなしたり阿呆アホ」と言う「おまえ一番カスやで」
39 「気候変動有り難い雨 一度にたくさん降らないで」 辰 須
40 温度計危険表示の四十度 そのタイミングで「アイス」を出して 真理
○金澤ひろあき
41 ぬいぐるみ捨てると思い出消えそうな 芳 す
42 夕暮れの百合はゆらゆらする未来   加 真 修 芳 須 す
43 僕を知る人なくなって行く代筆のペン字 修 須
44 病院の椅子の固さ 時間が止まる 真 芳
45 若ければ熱い議論の酒だった   芳
46 傘越しにこの世の声をそっと聴く 真 芳
47 大きなハテナ今日もキラキラ光る目が 須
48 空家とともに消えた灯萩の花   加 修 芳 す
49 猛暑の蓮 たった一人で逝った友 (特 芳)加 真 修 須
50 思わず居眠り単線列車の振動音  (特 真理)加
51 木の階段まあ休みなされ夏の旅 (特 真)芳 真理
52 熱中症アラートぼんやりついているテレビ
53 スケッチのモデルの茄子の光る肌 真 修 須
54 百年の恋の紅鶏頭花 加 芳
○野原加代子
55 蝉鳴きて孫と歩きて耳澄まし 真理
56 夏帽子今年も被り母想い  ひ 辰
57 食卓に食べて嬉しや初茄子を 真理
58 夏菊を供え仏壇に命日や  辰
59 大暑かな水浴びる子ら笑顔出し
60 アイスティ喫茶店にて一人飲み 真
61 風涼し日陰探して木の下や 真理
○三村須美子
62 新入りの赤子猫にもご挨拶 芳 ひ
63 カラスさえ外出控える暑さかな 真 修 芳 真理 す
64 冷房の止まって暑き夜明け前
65 こだわりの一つづつ減る介護かな (特 ひ) 加 真 修 芳
66 ブロック塀の朝顔焦げて枯葉となりにけり
67 握りしめ体いっぱい泣く赤子  辰 真 芳
68 泣く赤子の声の分かりて応う母 辰 修 ひ
69 醒ヶ井に涼を求めてます料理  辰 
70 理由はとやかく殺し合うなよ原爆忌 辰 す
71 今か今かと雨乞いをするトマトかな 加 真 修 真理
72 鳥より早朝いちじくのつまみ食い 修
73 音響く何処かでやってる遠花火  加 辰 真理

矢車草

2024-09-27 07:59:19 | 俳句
矢車草
   金澤ひろあき
 句会の席題で「矢車草」が出ました。ちょっと引っ掛かることがあったので調べてみると、「矢車草」は二つあるのです。
 一つはユキノシタ科の白い花のもの。
 もう一つはヨーロッパ原産で、「矢車菊」とも呼ばれるもの。藍紫や白、ピンクの花です。
 古くはエジプトのツタンカーメン王の棺の中から出てきたそうな。
  矢車草ツタンカーメン抱き眠る ひろあき
 まずはそのまま書いてみました。
  花魁に矢車草は二、三人
  吾語り君は聞き役矢車草

たまたま

2024-09-26 07:51:40 | 俳句
たまたま
            金澤ひろあき
 久しぶりの休みの土曜日。たまたま晴れて残暑になる。
 たまたま烏丸三条に行く用事ができて出かける。たまたま阪急の豪華列車「京とれいん」が来たので乗る。
 用事を済まし、たまたま近くの京都文化博物館に入る。たまたまセタフィルチェロが演奏会をしていた。パブロ・カルザス「鳥の歌」、井上陽水「少年時代」等を聴く。たまたまの積み重ねで楽しいひととき。神様がプレゼントしてくれたのかな。
 チェロ秋天楽しいひととき短くて ひろあき