京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

贈答の句 久米寺

2017-05-31 08:10:02 | 日記
 贈答の句  久米寺
 大和盆地の南、橿原市にある久米寺は紅葉の盛りです。いちょうは落葉していて、近所のおばちゃんたちが3人、葉を拾い集めています。 
 山門は仁王門です。等身大の仁王様がにらんでおります。その仁王門を入ると、かえでもみじの荘厳の中、塔の跡や多宝塔が並びます。幻の舞台の中を歩んでいるかのようです。
 このお寺の開祖は伝説によると久米仙人だそうです。吉野の龍門山で修行し、飛行する力を得たものの、洗濯する若い女の足を見て欲心がおこり、ハッと目がくらんで墜落。その後、その女性と夫婦になったそうです。飛鳥宮を造る時、木材運搬の通力を取り戻して、その功績によって免税権を持つ田を朝廷よりいただきます。その田を基金にして、造ったのが久米寺だそうです。久米仙人のことは『今昔物語』などに出てきます。             平安時代初期、弘法大師空海が若い頃、法を求めて修行した時、夢の中で久米寺の大塔の下に『大日経』が有る事を教えられ、そこから密教の道に入ったという話も伝わります。そのゆかりで真言宗です。
 空海は偉大すぎて……という感じを受けますが、久米仙人のほうはちょっと間抜けでおもしろく親しみ深いですね。こういう形で女性と知り合い結ばれるというのも、何かの縁なのでしょうね。
  前世を思う指先林檎の香      金澤 ひろあき
  来世に林檎の香り抱いて行く    河本 美子
  久米仙人落ち葉拾いに降りて来よ  ひろあき

はじめてのモデルさん

2017-05-30 08:17:02 | 日記
 贈答の句 はじめてのモデルさん
 最近趣味でスケッチをはじめています。素人芸です。
 十月に神戸句会に行った時、明月の頃というのもあって、須磨寺まで足を伸ばしました。『源氏物語』もですが、芭蕉や放哉を偲ぶなんて、殊勝な気分もあったんですね。
 行ったところが、お月様にはまだ早い。そして須磨寺さんは、俳句の句碑とともに、やはり『平家物語』のお寺という印象を強く出しているんですね。平敦盛の笛や、首塚などが寺宝や境内の名所として強調されています。
 平家の公達あつもり塚を見て、急にその五輪塔をスケッチする気になり、デッサンをしておりました。すると、秋の蚊のやつめが、ぶんぶんと来るではありませんか。風流を解しないやつらです。たまらなくなって、スケッチ途中で逃げ出しました。
 すると、そばで見ていた見知らぬ女の子(東京から来た観光客だそうです)が笑いながら、「記念に私を描いてください」と言われたのにはびっくり。
 「シワをつけないように」と上着をサッと脱いで、蚊の来ない本坊という建物の廊下の上でゴロンと寝ころんで(これまたびっくり。本職の方かな?)、「早く描いて」と言います。これまたドキドキ。手が震えます。なんせ、きれいなモデルさんを描くのははじめて……なもので。いや、実際のモデルさんをまともに描くのがはじめて。
 それを描き終えて、最初の原画のほうを彼女に渡したら、喜んでくれました。家に持って帰って、額に入れて飾ってくれるそうな。(もしホントなら光栄です。)
 「どこの絵の教室の先生ですか。」と言われましたが、うーんちょっと違うんですとも言いづらく、「童心の会」ということにしておきました。
 なお本人は、「本物はもっと細い。腕や足が少し太めに見えるのが……」とおっしゃっております。
  句
 秋晴れの山川谷そしてツボ     金澤 ひろあき
 眼みて春夏秋冬ツボ探し      河本 美子
 空澄みてじっと動かぬ絵のモデル  ひろあき

フリー句自由連句「可もなく」の巻

2017-05-29 08:10:25 | 日記
【フリー句自由連句】 「可もなく」の巻
文月の可もなく不可もないみくじ      金澤 ひろあき
おみくじと占いの間でゆれる心       青島 巡紅
さるすべり塔に赤さを添えている      ひろあき
すべってころんで痛いと思えば彼女の胸   巡紅
雷でしっかり握る彼女の手         ひろあき
猿の手を彼女の手と間違える        巡紅 
肌ざわり言わずとわかる夏ですね      ひろあき
夏だから肌触りこだわれば素ぴん美人    巡紅
素肌から汗の匂いが若かった        ひろあき
汗でわかる年齢若さは特権ですね      巡紅

アンコールワット展

2017-05-28 09:45:57 | 日記
 アンコールワット展
             金澤 ひろあき
緑陰やサンスクリットの願い文      
炎熱の神の首都から日本へ
常夏の乳房を誇っている女神       
石の肌抱けば鼓動がはじまりそう
神の恋手と手はだかの肌寄せる      
石の肌ほてりをさます月光下
常夏の仏教の王瞑目す          
異国の神別れを告ぐる日本の夏
異国文字よみ終え日本の秋の空

 大阪歴史博物館でアンコールワット展がありました。そこで見るヒンズーの神様や仏教の仏様の像は、砂岩で彫っているものが多いのです。砂岩は柔らかく、しかも色あいが良い。「アンコール文明は女神像や女性像が魅力的だ」と言われますが、この砂岩という素材も大きくかかわっているような気がします。そのクリーム色の色あい、彫った後みがいたすべすべとした肌ざわりが、やわらかい女性の体を表現するのに適しています。西洋の石像が大理石で、その白い肌をあらわすのに良いのと同じです。
 そのせいでしょうか、この地にアンコール帝国が成立する以前に、ヒンズーや仏教が入り、その造形がなされたようですが、その時代から砂岩を用いています。
 さて、アンコールの女神たちは、腰にうすいスカートをまとう他は裸です。胸も誇らしげに見せています。このポーズは、アンコール文明のもとになったインドの影響なのでしょうか。それとも、古い時代のクメールの女性たちが、実際にそういう姿で暮らしていたのでしょうか。あるいはそれが「最高の美的表現」だったのでしょうか。一種の「宗教的表現」だったのでしょうか。
 シバ神の妃パールワーテイーも、ビシュヌ神の妃シュリーも、魅力的な上半身をあらわしています。インドの女神は、日本人の目からすると太りぎみで、胸も大きくグラマーですが、アンコールではそれがスリムになり、ほっそりとしています。                
 シュリーは日本に入ると吉祥天となりますが、大陸でセミヌードだった彼女は、日本では唐風の服をまとってお行儀良くなるのも、お国ぶりでしょうか。
 ただし、サラバステイー=弁財天は、日本でもセミヌードのものがあって、国が変わっても、ファッションを押し通す女神様もいらっしゃるようです。

2017-05-26 09:28:45 | 日記
 羅
     金澤ひろあき
朝顔や背たけくらべの一年生        
 「羅」とは「うすもの」。夏の薄い生地。                   
羅や風をまとっている微笑     
また象に乗るタイの地の夏休み
蚊遣り火や身の上話聞く側に    
夕立後誇大広告晴れ上がる
腕組みを解きて端居の足のばす   
露ふくむ白磁かがやくさくらんぼ
まのびする古紙回収車油照