THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY (S.T.A)

札幌で活動しているブラスロックバンド、STA(The Sapporo Transit Authority)です。

1968年8月29日 シカゴ、民主党大会~流血の日(1968年8月29日)

2013-02-03 04:16:18 | STAのレパートリー

原題 PROLOGUE,AUGUST 29,1968~SOMEDAY(AUGUST 29,1968)

記念すべきシカゴの2枚組(!)デビューアルバム「シカゴの軌跡(THE CHICAGO TRANSIT AUTHORITY)」収録。

1969年発表、全米最高17位、年内にゴールドディスクに認定される(デビュー作のみバンド名はシカゴ・トランジット・オーソリティ)。

その中でもハイライトともいうべきこのメドレーからなる楽曲はニューロック界、ブラスロックにおいても相当実験的、革新的な作品だ。

LPでいえば2枚目のD面1,2曲目、CDでは10,11曲目に収録。

まずはシカゴ育ての親ともいえるプロデューサー、ジェームズ・ウィリアム・ゲルシオ作の「1968年8月29日、シカゴ民主大会」で幕を開ける(0:57)

1968年8月29日、シカゴで行われた民主党大会で当時のハンフリー大統領候補の演説の一節「GOD GIVE US THE BLOOD TO KEEP GOING(神がそれに負けないくらいの勇気を与えてくれるだろう)」と反戦・黒人問題のデモ隊を警官隊が蹴散らした時の群集による合唱シュプレヒコール「THE WHOLE WORLD'S WATCHING(世界中が見守っているぞ)」を録音、2本のテープを繋ぎ合わせて編集したものです。

(ゲルシオはビートルズの擬音効果を活用したレコーディング技術に並々ならぬ刺激をうけブラスロックの元祖とも言えるバッキンガムスの楽曲にすでにそれをプロデュースワークの一環として実験的に導入していました。その発展系としてここに反映されたといえるのかも。)

警官隊の「GET OUT HERE(出て行け!)」が編集部分。

そしてその後のシュプレヒコールがそのまま次の曲「流血の日(1968年8月29日)」の序奏となっていきます・・・・。

作者はロバート・ラム&ジェームズ・パンコウ(4:13)。

初期シカゴはよく反体制的メッセージバンドといわれていましたが実のところ、政治色濃厚な曲は数えるほど。

この「流血の日」のような楽曲におけるインパクトがそうとうに強烈だったのも過激なイメージに拍車をかけたのではないでしょうか。

そのぐらいに思われても決して大げさではないくらいに反戦に対するストレートな歌詞がリスナーの感性に突き刺さってきます。

「君の周りを見渡してごらん。そして何が見えるか言ってくれ。憎しみと恐れに満ちた顔・顔・・・。

何か騒ぎが始まる予感、君が顔を伏せるのはその意味がわかるから?それなら急いで!あいつらが君を捕まえる前に。地面に押し倒された君はその意味がわかるだろう。どれだけ僕等がこの時を待ち望んでいたか。君達にわかってもらうために僕等がどんな風に死んでいったかが・・・。(大意)」

この曲、初期段階ではラブソングだったという事実に驚いてしまいます。

緊張感みなぎるイントロ・・・シンバルの不気味なリズムに引き続き重く重なるベース、フィードバック奏法のギターに不安感を助長するピアノ、ついでヒステリックに覆いかぶさるブラスセクション、一転テンポアップしてからの本編。

最初から最後まで聞く者に息つく暇も与えず完璧ともいえるくらいの完成度を誇る傑作。

ギター・コードも複雑、ベースラインはポール・マッカートニー影響大のピーター独特のライン(リッスンや一体、現実を・・・にも顕著)、ロバートもビートルズを参考にしたともいえる鍵盤捌き(ちょっとひねりも加えています)。

それでいてしっかりとシングルヒット性も加味されているところなんかはさすが(ロバートいわくこの頃ヒット曲を意識的に製作したことはなかったそう。長い夜ではヒット狙いに取り組んだらしいですが)。

ちなみに中間部では再び例のシュプレヒコールが再登場、と場面展開がめまぐるしいくらいに込み入っています。

STAミツはずっとこの曲を演奏するのを夢見ていたほどに惚れ込んでいました。

文句なしにかっこいいもんね。

2013年1月20日クラップスホールでその夢も現実のものとなりました。

ちゃんと事前にリハーサルを入念に行いSEとして「シカゴ民主党大会」もミキサースタッフに依頼して流してももらいました。

(SEはケンがCD-Rに編集して製作)

照明も「戦場風に」と注文。

初期シカゴを当時から聞き込んでいた観客にも好評を得ていましたし、それを知らない人たちも確実に度肝を抜かれていた御様子。

ご本家シカゴもデビュー時から1970年代前半まではライブで好んで演奏していました。

初来日3公演においても2日目、大阪フェスティヴァルホール(1971年6月14日)のみ4曲目で披露しています。

この日に生「流血の日」を体験した人達、羨ましい・・・。(さすがにSEは流していないようです)

尚、最終日の東京日本武道館公演6月16日は当時のライブフォトを観てもわかるとおり(テレビカメラがステージ前方に数台陣取っています)テレビ放映されました。

それを見た人達も羨ましい・・・・今となっては幻の映像です。

最後に、この「流血の日」はここ日本のみシングルカットされています。(4枚目、長い夜の次のシングル。ジャケットはデビューアルバムと同じ)

海外では「一体、現実を把握している者はいるだろうか?」をA面シングルとしてカットし、大ヒット。

ところが日本では「一体、現実を・・・」はB面、「流血の日」をA面、つまりは両面がヒット曲なんですね。

しかもその「流血の日」を大胆に編集していまして2:48に短縮。

ただ単にイントロやエンディングをカットしたわけではなく、いきなりエンディングの一部がイントロに登場するという掟破りなEP(私はシングルを最初に聞いていたので後からアルバムバージョンを聞いたときのショックと言ったら筆舌に耐え難いほどでしたよ)。

もちろん未だに未CD化。

シングルレコードをターンテーブルにのせる時の真ん中の穴がシカゴはこの盤まで三つ又になっていたのでEP用アダプターは必要なかったです・・・・と言っても現代っ子(!!!おお、私語)には何のことやらでしょうね(笑)

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