読む日々

テーマばらばらの読書日記

大正の后

2014-11-19 | 
植松三十里「大正の后」
 
大正天皇妃、貞明皇后のご生涯。

九条の黒姫様と呼ばれた節子妃が、高円寺の農家で育てられた少女時代から、華族女学校で学び、東宮妃となり、大正時代を経て終戦後亡くなるまでの、まさに一生を書ききった一冊。

大正天皇はおつむが…と聞いたことがあったけど、大人になって色々な本を読む中に「そんな感じじゃないなぁ。気さくで素敵な帝じゃん」と感じていたので、この本はその裏付けがなされたようで嬉しかった。
ご自身が幼い頃より見聞きして感じられた、弱きものへの慈愛、父に託された、会津の「朝敵」との汚名を晴らせとの言葉を守るべく強い意志で次男に会津の姫を娶ったこと、長男との溝と、根底の情愛、戦争反対のお心を天皇家では持ちつつも政治の力には逆らえなかった事など、今までうっすらあちこちで見聞きしてたことがスーッと一本の線に繋がった気がする本でした。

会津の血を引く勢津子妃と秩父宮との間に子供が無かったことが残念だったようですが、いまちゃんと、会津藩士の血を引く紀子様にお子様がいらっしゃること、貞明皇后はきっと武蔵野の御陵にて喜んでおられるのでしょう。と思ったら涙が止まりませんでした。