読む日々

テーマばらばらの読書日記

終の住処

2010-06-30 | 
磯崎憲一郎「終の住処」

芥川賞受賞作、らしい。帯に書かれた「妻はそれきり11年、口を利かなかった」がおもしろそうで借りました。

感想は・・・・これって、ホラー小説?

怖かったです。ただとにかく怖かった。大して愛のない結婚と、そこに続く人生が。子どもが巣立ったあと、自宅で妻と二人だけで余生を過ごすという意味での「終の住処」なんでしょうが、考えてみたらフツウは「終の棲家」ですもんね。「住処」かぁ。なるほどね、って感じです、読み終わった今となっては。

うちも夫との間に愛はないので(たぶん)、子どもが巣立った後は正直怖いです。

とにかく、何も怖いモノは出てこないけど、すごく怖かったです。もう読みたくない・・

満足度10

あまり怖いから、お散歩中に撮影した、大好きなネジクサの画像をお清めで貼ってみます。。。
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北緯四十三度の神話

2010-06-28 | 
浅倉卓弥「北緯四十三度の神話」。

(多分)札幌の大学の研究室で助手をする姉と、地元ラジオ局でDJをする一つ年下の妹のお話。

姉が中学・高校と仲が良かった男子生徒が、数年後妹の婚約者となりますが、事故で墜落死してしまいます。中学時代には姉妹の両親が事故死しており、両親の死と、彼の死が姉妹の間に難しい空気を作り出します。

彼は姉の方を、中学高校時代に好きだったんですが、妹はそれを知っていて苦しみ続けてるし、姉の方は後ろめたい思いを抱えています。

最後の方で誤解が解けて和解しますが、姉妹(というか主人公として内面が語られているのは姉のほう)の心の動きがとってもよくわかるし、その心に感応して思わず涙がでちゃった箇所もいくつかありました。

姉の研究は遺伝子学らしく、それも両親の死が影響しているんだけど、遺伝子の説明はちんぷんかんぷんなので、ちょっと飛ばし読みもしちゃいました。

でも おもしろかったです。

満足度80
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ドラママチ

2010-06-27 | 
角田光代「ドラママチ」

帯には「中央線沿線のマチを舞台に小さな変化を待つヒロインたちの8つの物語」とあります。

8つとは
コドモマチ ヤルキマチ ワタシマチ ツウカマチ ゴールマチ ドラママチ ワカレマチ ショウカマチ

なんだかどれも感情移入できないオンナ達だなーと思いつつ読み進めていくと・・
やっと出ました、共感できたヒロインがドラママチです。

大学生の頃、持てて目立っていた同級生と30近くで再会して6年間付き合うったり一緒に住んだりするうちに、なれ合いになって、ときめかなくなったヒロイン。だまし打ちのように実家に連れていかれ、いつのまにか結婚することになってでも式も旅行も写真もなしとか勝手に彼は決めていて・・・。別れようかな、とかチラっと思うけど、でもそれもきっとしないんだろうと思う自分がいて。ラストは下見にいった新居の大家(おばあさん)の行動に救われて、前を向けるようになるお話。

うちの場合は結婚前には思わなかったけど、結婚13年目にして、今まさに、こんな気持ちです・・・。夫には言わないけど、友人や身内に「離婚」を口走ったりしてでもきっとしないんでしょうけどね。知り合った頃のドキドキ感とか、いったいどこへ消えちゃったんだか。生活って過酷です。

平安時代みたいに「通い婚」とかだと、いつまでも新鮮なのかなぁ、とか、おバカな妄想したりしてます・・。

この次のワカレマチも良かったです。強烈なお姑さんのせいで、夫婦共に子供は望んでなかったのに、その姑がきっかけでヒロインは最後に子供が欲しくなるお話。

あと、どのお話にも、中央線沿線のマチの「喫茶店」が出てきます。なのでどの話を読んでいても「同じ町」感があって、ご近所の秘密を覗いているような気分にもなりました。

満足度70
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夏を拾いに

2010-06-25 | 
森 浩美「夏を拾いに」を読みました。

以前「家族の言い訳」を読んでよかった記憶があったので、期待して借りました。
結果は・・またもや良かった

平成の父親が、塾とゲーム以外興味がない息子に、自分の小学生時代の夏のエピソードを語る、という設定で、(重松清にも似たような設定があって、導入部分は真似っ子に感じたけど)ほとんどが父親の子供時代にページが割かれてます。

最後平成に戻った時に息子が「夏休み、おじいちゃんの家に行ったら、お父さんのエピソードの場所が見れるのか」訊ね、男二人で行く約束=夏を拾いにいく というお話です。

昭和の時代の空気みたいなものが感じられて、私は男子ではないけど、でもあの頃の男子ってこうだったよね、って懐かしかったです。

そして、少年時代の友情や、祖父母とのいい関係や両親の見えざる愛情みたいなものの書き方がすごーく気持ちよかった。

森浩美さんは作詞家です。「抱きしめてtonught」や「愛されるより愛したい」や「タイミング」などの作詞をされてるようですね。
作詞家さんの小説、結構あたりが多いと思います。麻生圭子さん(浅香唯や工藤静香に提供)や、来生えつこさん(来生たかおさんの姉。この姉弟は大好きです特にたかおさんの歌声が)の小説を読んだことがありますが、ストーリーが無理がなくて気持ちよく読めた記憶があります。細かい内容は覚えてません・・。だって、その為に始めたブログだし

ともあれ、満足度85
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一朝の夢

2010-06-22 | 
梶よう子「一朝の夢」

おもしろかった。
うだつの上がらない八丁堀の両組御姓名掛りという地味~な役職の 中根興三郎。
朝顔を育てることが唯一の生きがいのこの同心が、朝顔を縁に大商人や謎の浪人、そして宗観という茶人と知り合い、事件に巻き込まれていきますが、その事件が「桜田門外の変」。

偶然近所の飯屋でおかみをしていた幼馴染の里恵とその息子の小太郎との話がサイドストーリーのように描かれていきます。この関係と本筋の関係も複雑に絡んでいて、先が知りたくて知りたくて一気読みしちゃいました。

井伊直弼(実は宗観)の評価って書く人によって随分分かれますが、この本はとにかく大義に生きる清廉潔白な素晴らしい人でしたでもちっともいやじゃなかったし、慶喜が大政奉還の主人公だったから何となく後世での評価が井伊直弼に厳しい気がしますが、もしかしていい人だったのかも・・。

里恵が無慚な死を遂げたところだけが残念と言えば残念ですが、その伏線がないと後がおかしくなるから仕方ないのかな。

満足度95
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