読む日々

テーマばらばらの読書日記

美女いくさ

2011-03-31 | 
諸田玲子「美女いくさ」


今度は浅井三姉妹の三女、江(小督)が主人公の物語。

本能寺まではサラリと、前半は最初の夫、佐治一成との関わりを中心に、中盤は秀吉や茶々との関わり、後半は徳川へ嫁いでからの秀忠との繋がりが描かれてます。そして、嫁いだ家で根を張る事が「女の戦い」というテーマが貫かれています。



以前、諸田玲子の「月を吐く」(だったかな)で、新解釈の築山殿を読んで、大興奮した記憶があるので、今回も楽しみにしてました。佐治一成との解釈はまたしても大興奮。史実では婚約しただけで嫁いでない、とか、実は別れる前に女の子が二人いた、とかありますが、今回は豊臣秀勝に嫁いで産んだ完子が、なんと城を抜け出して佐治一成と聚楽第で逢った際にできた子、という 普通に聞いたらびっくりな展開。

でも、前半で細やかに佐治一成との生活・愛情が描かれていたので、違和感なかったですし、この活発な小督の設定なら
それもあり、かなあ、と。

また茶々は、とっても賢く妹想いだけど、感情を表に出さず、神仏に心を寄せ過ぎな人、として表現されていて、
さいご大阪夏の陣での滅亡も、家康との間になんともいえない「好敵手」的な感情が流れ、投降するのはよしとせず、
負けたからには潔く、という、世間で伝えられている「淀殿」とは違う解釈で、これまた納得。

だいたいドラマで描かれるわがままな淀殿は、私もいつも納得できなかった。
過酷な状況を何度も体験した三姉妹の長女で武家の姫が、あんな醜態をさらすかなぁ、って。
諸田玲子さんの歴史の解釈は、様々な史実や伝承をもとに、いろんなシミュレーションをして人物を作り上げているのかな、と
いつも違和感がなくてスッキリします。

とっても読後感も爽やか。オススメです。

満足度90