読む日々

テーマばらばらの読書日記

朝のこどもの玩具箱

2011-03-05 | 
「朝のこどもの玩具箱」あさのあつこ

 あさのあつこさんの短編集。図書館で見希望きらめく6つの物語」とあります。

舞台は 街中だったり山村だったり、架空の世界だったり、なんと宇宙だったり。キツネが主役の話もあります。

父親を亡くして若い継母と迎えるお正月を描いた「謹賀新年」。お父さんと若いお母さんとの恋愛模様が短い中にも生き生きと描かれていて、お父さんの死がキツかったです

架空の世界っぽい、または未来なのか、そこでの怪しい新薬の実験に巻き込まれていく少年の勇気を描いた「ぼくの神さま」。
貧しい世界は、小さな幸せを奪ってしまうけど、そんな場所でも自分の使命を少年が自覚するラストシーンが感動的。

たぶん、あさのさんの出身地の岡山が舞台であろう「がんじっこ」。がんじっこて何かと思ったら「頑固者」の事でした。
村中の嫌われ者のがんじっこ、シゲばあさんの昔語りを、役場の若い女性が聞くお話。戦争を通して辛い経験をしたシゲばあさんは、言いたい事が言えなかったせいで長い間後悔し続け、そんな自分はダメだから、がんじっこになりました。若い頃の自分ににている女性へのエールと読めます。このお話が一番よかった短いのに、いっぱい泣きました。


キツネの世界を描いた「孫の恋愛」。傍若無人に山里を荒らしていく人間達の世界を、人間にまぎれて暮らすキツネのエリート達が操っていこうとする中、おばあさん狐に相談を持ちかける、孫の狐。人間界で暮らすうちに人間に恋をします。実は昔から人間と狐の恋はあったのかも?と思わせるお話。ファンタジー。

イジメられてるクラス委員長が「助けて」と毎晩願っていたら、枕元の時計のサルが現れ、彼にしっぽを与えます。
そのしっぽで刺された人は彼のいいなりになりますが、刺すたびに彼はサルに近づき、サルが人に・・。
最後は、彼を信じ続けてくれた友達のおかげで元にもどります。小学校高学年でのイジメのやり口が怖いでも友情にじーんときました。

最後は、荒れた地球から脱出した人類の第三世代が、生き延びるために再び地球を目指す物語。
いつかこんな日がくるのかな、と想像したら背筋が寒くなりました。

短いお話ばかりでスラスラ読めました。楽しかったです。

満足度70