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読む日々

テーマばらばらの読書日記

氷葬

2010-05-14 | 
 諸田玲子著「氷葬」を読みました。2004年に購入し、読んだ本の再読です

この本をきっかけに諸田玲子に嵌り、新刊(文庫ですが)が出るたびに買い求めていたので、ファン歴の原点というべき小説です初読の時のドキドキ感をもう一度味わいたかったのと、図書館行くヒマがなくて手元に未読の本がなかったので引っ張りだしてきました。

やっぱり おもしろい!

下級武士の妻が、夫が江戸へお役目で出ている留守に夫を訪ねてきた怪しい浪人風の男に凌辱されてしまい、さらにその男を殺して沼に沈めてしまうところから始まります。史実の明和事件をバックに忍びの集団やら隠密公儀やらが登場して、最後は主人公は元の生活に戻ります。

公儀の十右衛門がかっこいい。彼と主人公の、惹かれあってる様子がとってもいいんです。惹かれあっていてもどうにもならない、でも忍びとの戦いのラスト近くで、主人公を十右衛門が一瞬抱き寄せる・・その場面がキューンとします。

十年たって偶然道端で再会した二人が、主人公のケガの後を気にするそぶりに対してケガをした手をそっと上に挙げて見せておしまい、となる、そのラストも切ない。

大変な事件の中で進むお話ですが、自由がなかった時代の、恋心も自由に表現できないその中での精一杯の表現にドキドキしました。かなりオススメの小説です。

満足度100