とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「ルース・エドガー」(ネタバレ注意)

2020-06-05 23:59:00 | 映画
緊急事態宣言が明けて、2ヶ月ぶりの映画鑑賞。
人気作品でなければ、混雑状況は変わっていない模様。
映画館は換気設備も整っており、営業自粛の必要はあったのかとも思える。
もちろん、コロナウィルスに未知の部分があるかもしれず、リスクゼロということはないが。

ルース・エドガーは、戦火のエリトリアに生まれ、7歳でアメリカに渡ってきて、裕福な白人夫婦の養子になったという設定。
幼少期には、アメリカでの生活に馴染めず苦労したようだが、現在は、文武両道の優等生。
バラク・オバマになぞらえられ、誰からも将来を嘱望される存在である。

一方、ルースの通う高校の世界史教師ハリエット・ウィルソンはルースの出自と彼の書いたレポートを結び付けて、
ルースに暴力的な危険性があるとの懸念を母親のエイミーに伝える。
黒人であるウィルソンの指導には、生徒に自分の固定観念を過度に押し付けるところがあり、生徒によく思われていない。
表面的には気にしていない態度を装っているが、ウィルソン自身も自分の指導が生徒に受け容れられていないことを認識している。

黒人差別というアメリカの社会問題の背景を考えなければ、思春期の青年のアイデンティティ構築の苦悩、
両親や周囲の大人からの自立がテーマで、ある意味、よくある話であろう。

黒人差別を存在しているものとして認め、黒人を支援する社会制度が設計され、それを活用することが当然とされているアメリカ社会。
その制度を活用するために演じる周囲から求められる理想的な人物像と現実の自分の狭間で悩む。
悩むだけでなく、自分を疎外する存在に対して攻撃する。
それは、ウィルソンもルースも同じというところが、この作品から感じる恐さだ。
攻撃の仕方が巧妙すぎて恐ろしい。結末は作品中で示されていないので想像の域を出ないが。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:ルース・エドガー
原題:LUCE
製作年:2019年
製作国:アメリカ
配給:キノフィルムズ、東京テアトル
監督:Julius Onah
主演:Kelvin Harrison Jr.
他出演者:Naomi Watts、Tim Roth、Octavia Spencer
上映時間:109分



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