2022年度用 渡辺松男研究2の28(2019年10月実施)
Ⅳ〈水〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P138~
参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、菅原あつ子(紙上参加)、鹿取未放
レポーター:岡東和子 司会と記録:鹿取未放
218 しずかなる地雨なれども無縁坂あちらこちらゆ水の手が伸ぶ
(レポート)
作者は雨の中、無縁坂を歩いている。あちらこちらから水の手が伸びてくるというのは人生の岐路にあることの比喩だろうか。初句の「しずかなる」が効果的である。(岡東)
(紙上参加意見)
しとしと雨が、じわじわと沁みてあたりを濡らしてゆく。それだけなのだが、「無縁坂」によって、魔物のように水の手がうごめきだし読者を異界へ誘い出す。(菅原)
(当日発言)
★地雨は、ずっと降り続く雨のこと。(真帆)
★無縁坂は不忍池から岩崎邸に沿って登る道で東京大学に突き当たるそうです。沿道に
無縁寺というのがあったそうです。(岡東)
★毎日雨が降り続いているので、大雨ではないけれども水が染み出てきてあちらこちら
から坂道に筋のように流れ出て来るのですね。情景はよく見えますね。無縁坂なんだ
けど水があちらこちらから手を差し伸べてくる。菅原さんのように魔物が異界へ誘い
出すという解釈もありますが。(鹿取)
★どこにあるかとか何も知らなくても、無縁坂って字面でも分かりますね。(A・K)
★「無縁坂」ってさだまさしの歌ですね。「忍ぶ不忍無縁坂かみしめる様なささやかな
僕の母の人生」。道行文みたいに不忍池から無縁坂と地名を折り込んでいるんです
ね。手を差し伸べているようにも、魔の手を伸ばしているようにもとれますね。
(鹿取)
(後日発言)
無縁坂を久しぶりに訪ねてみた。岩崎邸の煉瓦色の塀に沿った道は思っていたよりも短かった。引き返すときに見たらビルの間にスカイツリーが瞬いていた。(鹿取)
Ⅳ〈水〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P138~
参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、菅原あつ子(紙上参加)、鹿取未放
レポーター:岡東和子 司会と記録:鹿取未放
218 しずかなる地雨なれども無縁坂あちらこちらゆ水の手が伸ぶ
(レポート)
作者は雨の中、無縁坂を歩いている。あちらこちらから水の手が伸びてくるというのは人生の岐路にあることの比喩だろうか。初句の「しずかなる」が効果的である。(岡東)
(紙上参加意見)
しとしと雨が、じわじわと沁みてあたりを濡らしてゆく。それだけなのだが、「無縁坂」によって、魔物のように水の手がうごめきだし読者を異界へ誘い出す。(菅原)
(当日発言)
★地雨は、ずっと降り続く雨のこと。(真帆)
★無縁坂は不忍池から岩崎邸に沿って登る道で東京大学に突き当たるそうです。沿道に
無縁寺というのがあったそうです。(岡東)
★毎日雨が降り続いているので、大雨ではないけれども水が染み出てきてあちらこちら
から坂道に筋のように流れ出て来るのですね。情景はよく見えますね。無縁坂なんだ
けど水があちらこちらから手を差し伸べてくる。菅原さんのように魔物が異界へ誘い
出すという解釈もありますが。(鹿取)
★どこにあるかとか何も知らなくても、無縁坂って字面でも分かりますね。(A・K)
★「無縁坂」ってさだまさしの歌ですね。「忍ぶ不忍無縁坂かみしめる様なささやかな
僕の母の人生」。道行文みたいに不忍池から無縁坂と地名を折り込んでいるんです
ね。手を差し伸べているようにも、魔の手を伸ばしているようにもとれますね。
(鹿取)
(後日発言)
無縁坂を久しぶりに訪ねてみた。岩崎邸の煉瓦色の塀に沿った道は思っていたよりも短かった。引き返すときに見たらビルの間にスカイツリーが瞬いていた。(鹿取)
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