かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  239

2021-06-10 18:08:16 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究29まとめ(2015年7月実施)
   【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)100頁~
    参加者:石井彩子、M・S、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子  司会と記録:鹿取 未放


239 初夏のわれは野に立つ杭となり君の帽子の飛びくるを受く  

          (レポート)
 初夏のすがすがしい時、作者は自己を巨大化せず杭となり、とつつましい。だが、君の帽子の飛びくるを待つではない。下の句は密かな強さと自信の見える「受く」である。又、見逃せないのは初夏にわれではなく「初夏のわれ」のように季節を一人称に被せて、これが思いがけなく新鮮で「野に立つ杭となり」へ自然につづく。杭になりながらつつましさや自信をひそかに織り込んでいる。   (慧子)


       (当日意見)
★いつでもどうぞ、どこへ飛んできてもエラーしないで受けますよという感じが出ている。
   (M・S)
★どっしりとした存在感がある。寺山のような青春歌ですね。(石井)
★気持ちの良い初夏に野原で杭となって君がたわむれに帽子を投げるのを受けている、そん
 な素直な歌として読んでもいいように思うのですが、なぜわざわざ「杭」なんでしょうね。
 何せ一連の題が「陰陽石」ですから、つい余計なことを思ってしまうのですが。フロイト
 流に解釈すると、尖った物は男性性器、丸い物は女性性器ということになるので、まあこ
 の歌も裏にはそういうことを隠し持っているのかなと思います。(鹿取)
★わざわざ杭をもってきて、つつましいわねと思ったんだけど、違っていたのね。(慧子)

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