かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 16

2023-03-27 20:17:23 | 短歌の鑑賞
    2023年度版 渡辺松男研究3
      (13年3月)【地下に還せり】
      『寒気氾濫』(1997年)12~
       参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
       司会と記録:鹿取 未放


16 一本の樹が瞑想を開始して倒さるるまで立ちておりたり

    (当日意見)
★倒されるのが近いから樹は瞑想を開始したという崎尾さんの意見
 には反対です。(曽我)
★そうですね、目がある樹なら瞑想しようと考える樹もあるだろう
 し、人間のように悟りを開きたいと考える樹もあるかもしれな
 い。あるいは悟りを得たいなどの損得勘定?も抜きにして、ただ
 瞑想したい樹だってあるだろう。樹が動かないということに作者
 は深い思い入れがあるようで、この樹は瞑想したくなったから瞑
 想していた、それだけ。たまたまその樹を人間が勝手に伐ってし
 まった。でも、だから人間はひどいというのではないのだろう。
   (鹿取)


    (後日意見)(2020年5月)
 木の瞑想という共通項だけを取り出せば馬場あき子にも次のような歌がある。
木の深い瞑想の中にあつたのだが木蓮はだまつて雨の朝咲く
『世紀』(2001年刊)



コメント
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