Darkness Before the Daylight Blog

鋼の錬金術師、黒子のバスケにまつわる人々、漫画やアニメ、日々の楽しみ、その他つれづれ。

論考(3)-1 鋼世界における錬金術2

2011-02-20 03:19:31 | 考えてみました

2/20  10:00 少し加筆しました。(核融合と賢者の石での錬成について)

錬金術の三つの段階の、分解と再構築について考えるには、作品中で語られている

錬金術の法則をまずは確認する必要がある。

「質量一のものからは質量一のものしか錬成できない」は「質量保存の法則」である。

「水属性のものからは水属性のものしか錬成できない」は、特に何の法則とは明示

されていないが、仮に「属性継承の法則」とでも呼称しておくとする。

現実世界では物質が化学反応する時にもう一つ重要な法則が存在するが、

鋼世界で錬金術が発動する時、あたかもそれは存在しないかのように無視され、

説明も描写もされていない。

それは「エネルギー保存の法則」である。

巨大な重量の岩石の形を変えたり、金属を変形させたりすることが、ほとんど腕力も

熱も使わずにできるとは、通常では考えられないことである。

つまり物質を「理解」はともかく「分解・再構築」する過程では大きなエネルギーが必要と

されるのに、そのエネルギーの供給がどこから行われているのかはっきりしなかった。

これを終盤の展開から推測すると、「錬金術とは、地殻の下を流れている無限に供給

されるエネルギーを、錬成陣によっていわば召喚し、自由に物質の分解や再構築に使用

する技術」であるということになる。

言い換えれば、錬金術は、エネルギー保存の法則を、見た目上、ひっくり返すことの

できる技術なのだ。

そして錬金術を使用しない場合は、鋼世界でもエネルギー保存の法則は見た目上も

不変であるから、そこがこの作品のファンタジーであるといえると思う。

前回、金の錬成について少し触れたが、金は化合物ではなく元素のかたまりなので、

他の金属を錬成して本物の金をつくることは、通常の錬成では禁止されていなくても

おそらく無理であろう。しかし分子レベルではなく原子核まで分解・再構築すれば、

金属の原子そのものの組み替えを行うことができるので、その場合は不可能ではない。

だがそのためには核融合を人為的に起こす必要があり、莫大なエネルギーを要する

ため、それを可能にするものがあるとすれば、賢者の石であろう。

賢者の石で何かを錬成する時、周囲からすさまじい風が術者に向けて吹き込むのは、

周囲の空気をかきあつめて、その成分(窒素、酸素、二酸化炭素など)を核融合で

目指す物に作り替えているからではないだろうか。

アルが何もないところから自分の足を錬成した時の状況は、そのようにも見ることができた。

錬成された足の重量が仮に5㎏とすると、全く無駄なく錬成できるとしても、空気や土埃など

を5㎏分集めないと、錬成しきれない。瞬間的にそれを可能にするのが、賢者の石である。

生きている人の命は、それほどの力をもつのだと、この作品は暗示しているともいえる。

…書いている立場としては楽しいのですが…

次回は焔の錬金術について少し書きたいと思います。需要は果たしてあるのかどうか。

ご来訪、拍手、メッセージありがとうございます!

2/19    12:07頃 Hさま

いらっしゃいませ!錬金術についてのあれこれに反応ありがとうございます!

読んで考えたことを書いてるだけで、専門知識はないので、きっと突っ込みどころ

満載だと思います。何かお気づきの点がありましたら教えてくださいませ。

エドとアルは小学生の年齢で、高校から大学の化学の内容を身に付けて

いたのかと思うと、彼らの天才性が際立ちますよね。

知識は遺伝しないけど、本が身近にあったとか、ホーエンハイムが書斎で研究

している姿を見て育ったとか、そういう環境が良かったというのはあったでしょうね。

Hさまもぜひ思いついたら、作品にしてみてくださいませ!


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