だいずせんせいの持続性学入門

自立した持続可能な地域社会をつくるための対話の広場

里山で暮らす時代がはじまる

2009-04-29 14:40:59 | Weblog
 これまで都市住民にとって里山は週末に通ってボランティアや環境教育を体験する場であった。これからはそこに移住し、働き、暮らす時代がやってくるだろう。そのフロンティアを開拓しようとしているのが豊田市足助(あすけ)地区である。山里の暮らしの知恵や技術を「動態保存」している三州足助屋敷や、都市住民と地元住民との交流を重ねる中で、移住者を招き入れた高嶺下(こうろげ)地区などこれまでも先進的な取り組みがあった。

 そして、おととしからは、足助新盛(しんもり)地区菅田和(すげたわ)集落をフィールドとして里山耕(さとやまこう)というプロジェクトが豊田市の事業としてスタートしている。これは7世帯の集落に新たに8世帯分の宅地を市が造成し移住者を募るものである。ただし、単なる不動産事業ではなく、「エコでおしゃれな21世紀の里山暮らし」のモデルをつくりながら、新しい暮らし方をしてもらう人に移住してもらおうというものだ。すでに地元の皆さんは、昨年から新盛里山耕流塾(こうりゅうじゅく)を開き、自分たちの農地や山を提供して都市住民との交流をはじめている。体験農園、市民農園、山遊びと、今年度ももりだくさんの内容でスタートしたところである。地元の皆さんの熱意はたいへんなものだ。
 私を含め、昨年開催された里山耕検討委員会のメンバー有志で今年度からはじめるのが、新盛里山耕流塾「里山デザインコース」である。放置されている森林をどのような姿に甦らせるのか、水力やバイオマスなど地域の自然エネルギーをどう活用するのか、どうしたら若い人が里山で暮らしていけるようになるのか、地元の皆さんと里山への移住や事業展開を真剣に考えている都市住民とがいっしょに学び、考え、将来の地域の姿を具体的にデザインする講座である。今週から地元のみなさんとの企画会議が始まる。地元のみなさんが地域の将来を構想する力をつけることが大切なので、企画段階からこの講座はスタートすることになる。

 そして、里山への移住や事業展開を真剣に考える人を集め育てるのが、「豊森(とよもり)なりわい塾」である。これはトヨタ自動車の社会貢献事業であり、豊田市、トヨタ自動車、NPO法人地域の未来・志援センターからなる実行委員会が主催するものだ。私も実行委員・講師の一員にしていただいている。地元学・聞き書きから始まり、地域の歴史と人を知り、将来の地域の姿をデザインする手法を学んだあと、具体的な事業計画をつくっていくという2年間の講座である。たくさんの応募者があり、それぞれのレポートを読むと、真剣に里山での事業展開、いなかと都市との連携を考えている方が多く、参加者同士の連携によって、この講座の中から具体的な事業がいくつもたちあがっていくことを期待できそうである。その具体的なフィールドが里山耕と重なるならば、この上ない相乗効果があるだろう。

 さらに、このようにさまざまなプロジェクトが走るなかで、月1回、お互いに情報を交換し、自由にのびのびとおしゃべりをする場が足助千年ゼミである。4月3日に開催された第1回では30人ちかくの参加があり、年齢も20代から70代まで、男も女も、地元民も都市住民も集まり、会場は熱気に包まれた(NECOさんのレポートSUMIYAKIさんのレポート)。新しい里山の暮らしは「どきどきしてわくわくする」ようなもの。それを考える場自体がそのようなものである必要がある。初回は時間が短く消化不良のところもあったので、第2回からはグループワークにして、参加者同士がしっかり対話ができるようにしている。このような自由なおしゃべりの中から新しいモノがうまれてくると信じている。次回は以下のとおり。ぜひご参加ください。

足助千年ゼミ・第3回6月5日
足助千年ゼミブログ開設しました。今後の予定、過去の記録が載っています
http://blog.goo.ne.jp/asukesennen

「エコでおしゃれな21世紀の里山暮らし」の可能性について自由に語り合いませんか?

「100年に1度」と言われる経済不況の中で、いなかでの暮らしに関心が高まっています。
でも、これまでは「不便、仕事がない、教育・医療が不備」ということでワカモノが出て行ったいなかです。今のままでいなか暮らしをはじめるのは困難です。
そこで、どきどきしてわくわくするような新しい里山での暮らしのあり方を模索したいと思います。この会では、参加者の自由な対話を通して、新しいアイデアを引き出して行きたいと思います。
里山の暮らしに関心がある方ならどなたでも参加できます。
ただし「これはできないとは言わない、どうしたらできるかを考える」を唯一のルールとしたいと思います。

◆呼びかけ人
高野雅夫(名古屋大学大学院環境学研究科准教授)
山本薫久(NPO法人都市と農山村交流スローライフセンター)
洲崎燈子(豊田市矢作川研究所研究員)
鈴木邦夫(新盛里山耕流塾実行委員会会長)

◆進め方
月1回、豊田市足助新盛地区内の扶桑館を会場に行います。

●第2回:6月5日(金)18:00~22:30 扶桑館にて
※原則毎月第1金曜日の18:00から
※参加費無料(ただし会場費分のカンパをお願いします)、申し込み不要。
※夕食の準備はありませんので、各自すませてくるかお弁当を準備してきてくだ
さい。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
フロンティア (フロンティア)
2009-06-06 15:45:31
総合人材コンサルティング会社
返信する

コメントを投稿