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2006年10月06日 | 保険
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10月6日(金)

● 損保大手6社の18年度上半期の「保険料収入」が公表された。大方の予想通り「損保ジャパンと三井住友海上」が減収となり、その受け皿となった「東京海上日動、あいおい」などが増収となった。
 この傾向は保険料収入のほぼ半分を占める「自動車保険の保険料収入の傾向」と一致する。既に「自動車保険市場」は「パイの食い合い状態」となっているため、このような業務停止処分が即業績に反映する。

● ただ、今後気になる点は、2社以外の「追加保険金不払いによる行政処分の行方」だ。目下のところ、単なる「保険金不払い」だけなら1~2週間程度の「営業停止」になる公算が大きいものの、これから金融庁検査が入り、他の不始末が発覚となると、「三井住友海上」のように「医療保険など第三分野の契約と募集の無期限停止、新商品の認可申請・既存商品の改定の停止1年」などの処分が出る可能性は高くなる。

● ところで、「保険料の分析」は、そう容易くないことは「保険かわら版・第44号」で解説した。つまり、今回の数字は「自賠責効果を含めた」ものであり、いわゆる「正味収入保険料」となると、単体あるいは連結でどのように変わるかを見る必要がある。
 例えば「三井住友海上」を例にとると、子会社の「三井住友きらめき生命」などを加えた連結では、保険料収入がどうなるかだ。当然のことながら、子会社の保険料収入が増大すればプラス材料であるし、逆に横ばいか減収ならマイナス材料だ。
特に、三井住友海上の「医療保険」が販売できない以上、「三井住友きらめき」は
その穴埋めをせざるを得ないが、果たして代理店力がどのベクトルに向かっているかで18年度上半期、18年度決算の評価を変える可能性がある。

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10月5日(木)

● 来年10月の郵政民営化による「かんぽ生命」の肥大化を懸念する声が強まっている、として4日に開かれた政府の郵政民営化委員会の意見聴取についての記事が出ている。
 ひと言で言えば、生保業界(JA共済含む)のかんぽ生命に対する思惑がバラバラであることが改めて明白になっただけだ。

● 主語が「生保業界」とある「医療保険などへの進出については、公的な信用が販売競争で有利に働くから不公平」として反対だが、「米商工会議所は郵便局で生保商品を積極販売するよう要求」また「全共連はJA共済を郵便局でも扱って欲しい」とある。もっとも「JA共済」は、「民間生保の商品の扱いには反対」だ。(「日本経済新聞」参照)

● さて、ここからは「日経金融新聞」からだ。なぜ、医療保険などへのかんぽ生命の参入に反対しているのかの理由がある。「審査の体制が整うのか」という疑念があるからというのだ。
(★注=「日経金融新聞」では『審査』の文字を使っているがこれは『診査』の誤り。そもそも『審査』には、くわしく調べて、価値・優劣・適否などをきめること、という意味があるが、生保の場合「保険に加入できるかどうか」の保険契約そのものを検討するときに使われるもので、当然ながら現在の簡保が”無審査”で契約を受けているわけではない。あくまでも「無診査」(=医者の診査をしない)の意味である。

 つまり、「かんぽ生命」は、独自の販売チャネルでは「診査体制」が整わないだろう。故に既にその体制が整っている生保や共済の保険商品を扱えと言う論法だ。

● これでは「総論反対、各論賛成」だ。まあ、ビジネスの世界ではよくある論法で、特に驚く内容ではないが、おそらく「保険金額の1000万円限度は当分凍結するが、民間生保の委託販売を解禁」くらいが落としどころだろう。
 となると、郵便局で「国債も投信も民間生保の保険も売れる」ということになり、銀行窓販同様「ワンストップチャネル」ができることになる。

● しかし、不甲斐ない意見は、生命保険協会の「民営化前に得た顧客の情報を新会社は流用しないでほしい」などという、何とも寝とぼけた意見だ。流用をどう捉えるかで見方は変わるが、保有している顧客情報を”活用”しない手はないのが本音で、銀行窓販などでも、大いに役立っているのが現実だ。もちろん、それで契約という結果が出れば、委託している生保も悪い話ではないのが偽らざる現実だ。

● もう1点の危惧は「JA共済」が「民間生保の扱いには反対」とのことだが、少なくとも死亡保障商品の「定期付き終身保険」類は、扱わないのは明白のためこの心配は無用だ。
 「大地一成の保険塾=定期付き終身保険=」を読んでいくとわかるが、敢えてバッティング商品を取り扱うような愚はするはずがない。もっとも、「定期付き終身保険」のなんたるかが理解できない経営者なら賛成を表明する可能性がゼロではないが。



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9月28日(木)

● 安倍内閣の全国紙支持率が発表された。

・日本経済新聞  71%
・読売新聞    70.3%
・毎日新聞    67%
・朝日新聞    63%

 内閣支持率なる代物にはほとんど興味がないが、常々「何人の意見を集約したのか」には、少し興味があった。きっかけは朝はラジオを聴きながらの「ながら仕事」をしているが、森永卓郎氏が「支持率にその新聞のカラーが出ている」というような意味のことを言っていたので余計興味を持った。

● つまり、自社のカラーを出すためには、アンケートをとる相手を少々いじれば結果を操作できるのでは?と思った次第だ。結果、「日本経済新聞720件、読売新聞946人、朝日新聞996人、毎日新聞1041人」。(少ない順)
 ウーン、人数で何か操作が可能なんですかねえ。
 もっとも「共同通信社」の支持率は「65%」ですから、シンクロ的な採点法で計算すると、上下の2社を外し、残りを平均すると「67.4%」となる。「毎日新聞」がほぼピッタリというところ。

● しかし、それにしても高い支持率だ。「読売新聞」では、「専業主婦の支持が高い」とあったが、イメージ先行か。にしても、個々の大臣にはすねにキズ持つ人が多い大臣構成だ。
 妙な政治路線に走らなければいいが、不安一杯の「消費者金融内閣」だ。昨日は株価が暴走(暴騰ではない)したが、これで消費者金融株価が暴騰したら「日本経済新聞」は笑いが止まらないか?!「勝ち組の論理とはこういうことだよ」と言う声が聞こえてきそうだ。 


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9月24日(日)

● 「生保、11年ぶり『死亡率』改定」の記事が日本経済新聞に掲載された。図表の作成が野上憲一氏なら間違いない数値と信頼できる。もちろんいくら「死亡率」は下がってもそれをどう使うかは各生保の販売戦略にもなるため、コメントにもあるように実際各生保がどのような保険料設定をしてくるかは現段階では不明だ。

○ 定期保険 → 保険料は下がる
○ 終身保険 → 保険料は上がる
○ 年金保険 → 保険料は上がる
○ 医療保険 → 保険料は上がる

 死亡率だけで考えると、このようになるはずだが、これに各社の思惑が被さるから一概にどの年齢でもどの保険商品でもとはいかない。

● もっとも、最近の金融政策から金利上昇が囃され、いよいよ国内大手生保の逆ザヤ問題も一件落着かと思われていたが、どうも金利上昇がもたつきそうシナリオ通りにはいく雰囲気ではなくなった。
 ということは、まだ当分「死差益」を大量確保する環境に大きな変化はないとも読み取れる。となると、来年はそろりと少々の死亡率による値下げはしておいて、十分な死差益を確保が確定した後にゆっくり次の手を打つのが安全策だろう。
 各生保の腹の探り合いが当分続く。


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9月23日(土)

● 本日の「日本経済新聞」の一面に「企業買収価値」(株式時価総額+有利子負債)の増減上位10社が載っていた。小泉政権の過去5年間の推移だが、1位は「トヨタ自動車」2位は「日産自動車」4位に「ホンダ」と自動社会社が並ぶ。3位が「ヤフー」、5位が「オリックス]。
 ウーン、やはりねえ・・・と、唸りたくなるのは「影で小泉政権を支えてきた面々」だからだ。
 6位以下は「三菱商事、ソフトバンク、キャノン、日本たばこ産業、三井物産」と続く。

● ところで、保険業界はどうかとなるが、ここでは、9月22日の終値による「時価総額」だけを並べるとこうなっている。

1位ーミレア        3兆4584億円
2位ー三井住友海上   2兆1260億円
3位ーT&D        2兆  51億円
4位ー損保ジャパン   1兆4638億円
5位ー日本興亜        7287億円
6位ーあいおい        5709億円
7位ーニッセイ同和      2856億円
8位ー富士          2206億円
9位ー日新          1093億円

● もっとも、安倍政権との仲の良さが取りざたされている「AIG」の時価総額は「20兆8550億円」と桁が違う。株価もジワジワと上がってきている。さて、どうなっていくのか・・・日本もだが、保険会社も!! 
   

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9月21日(木)

● BRICs(ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の4カ国を意味する造語)の中の「インド」についての英フィナンシャル・タイムスの記事が、20日の「日経金融新聞」に掲載されていた。

● 見出しの「証券大手、インド事業拡大」から、中身はおおよそ想像できるものではあったものの、「ゴールドマン・サックス」が「バンガロール」にあるオフィスでは1,200人の従業員を抱え、現在1,500人の東京を近く上回ると言う。となると「ニューヨーク、ロンドン」に次ぐ世界で3番目に大きな拠点となる。

● 2003年10月に「BRICsとともに見る2050年への道」という投資家向けレポートで初めて出してBRICsへの関心を高めた米国の証券会社ゴールドマン・サックスのことだから、この成り行きは当然といえば当然。
 ところが「JPモルガン」に至っては、6,000人を超えるJPモルガン・チュースのインド部門を擁しているという。もちろん「モルガン・スタンレーやメリルリンチ」などもインド事業を拡大しているという。

● こういう記事を見ると、「取り残されていく日本」をイメージさせるが、記事によると「人件費が安い」ことが事業拡大の要因ということで、何となくほっとさせられるところもあるが、一方、サーチアナリストは今年1,300人となり、2005年の800人から500人も増加しているという。
 この流れは、必然的に「人的資源が高度化」していくわけで、将来人口がいずれ中国を抜き10数億人になると言われる「インド」の屋台骨を支えていくことになる。

● このような動きから、保険会社も早く「インド進出すべき」ということになるが、少し気になるのが「生命保険はイスラム戒律違反」というもの。これはインドの名門イスラム大学「ダール・アル・ウルーム・デオバンド」の高位聖職者らが「生命保険制度はイスラム法に違反している」という「ファトワ(宗教的裁決)」を発表したからだ。
 その理由が「イスラム教が禁じる利子を容認し、賭博性もあるため」とされる。ところがインド人口の12%にもなる約1億3000万人はイスラム教徒であることから、単純に「インド進出」を喜ぶとは言えない一面もあることになる。

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9月20日(水)

● 昨日は、立て続けに3件の取材依頼。しかも3件とも取り扱う内容が異なる。それほど保険業界を取り巻く環境は複雑化していると言うことか。確かに最近はおかしい。「契約者の方向を向いた経営か、あるいは収益性を第一義とした経営か」となると、後者選択の経営の雰囲気が強い。

● その中の1つが「損保業界」についての原稿依頼。かの「保険金不払い問題」だ。まあ中身が中身なだけに即答は避けたものの、果たしてこれから続々と続くのかあるいは、「あいおい」で打ち止めか、まだ不明だ。

● ところで「貸金業界」の記事でヒットは今日の「朝日新聞」だ。最近は朝のワイドショーで新聞をそのまま解説するのが当たり前になったが、そこで使われた最終版の14版では、私が見る13版とは異なり、もう少し詳細な記事となっていたが「消費者金融サイドの政治家」についての記事は、その政治家の名前をよく記憶しておきたいところだ。中川秀直氏・甘利明氏それに先日「みのもんたの朝ズバッ!」に出演した保岡こうじ氏・・・まだいるんだろうが。
 

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9月19日(火)

● 「あいおい損保」が「不払い新たに3万件超」となり、計6万件は損害保険会社で最大規模となる。しかし、ここから金融庁検査が入り「実は・・・」となるようでは、しゃれにもならないが「あいおい損保」は、本当にこれで大丈夫か。
 損保協会長時代のあいおい社長の脇の甘さは以前書いたが、このレベルではいつまでも「トヨタ」が面倒見てくれるかかなり危うい話になってきた。

● どうも、「トヨタ」を親方日の丸のように、位置づけて「何でもあり=何でもごり押しが通用する」というような勘違いがあるようだと、これはトヨタの社是にも合わない。危機感欠如です。



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9月15日(金)

● かねてより噂されていた「竹中平蔵総務・郵政民営化担当相」が、小泉内閣総辞職とともに参議院議員を辞職すると発表した。「役割の終焉」といえば辻褄が合うようにも思えるが、どうやらこのまま残ってもいずれ飛んでくる矢の嵐に早々に「逃げ出した」というのが本音のようだ。

● とりわけ「郵政民営化」は、小泉首相から丸投げされその実行隊長だっただけに、これから起きるであろう大嵐に耐えるだけの力量はないことと、今のうちなら米国の大学も好条件で受け入れてくれるであろうことから、まあ、グッドタイミングというところだ。
 
● そもそも「郵政民営化」の当初の目的は「公的金融資産の縮小」であり「民業圧迫の解消」だったはずだ。ところが、小泉政権の政争の具にされる内に、それとは全く逆の「巨大化」の道を歩むことになったのは周知の事実だ。
 果たしてこれから「ゆうちょ銀行とかんぽ生命」はどのような道を進むのか。

● 既に「ゆうちょ銀行」に関しては「全国銀行協会」が、業務拡大を容認する立場を明らかにしたことで、あとはなし崩し的に「超強大銀行」が普通の銀行として誕生することになる。この流れはもう誰にも止められないだろう。
 そしてその伏線として「完全民営化前の郵政2社の買収、資本提携は認めず」という、政府の郵政民営化委員会の田中直樹委員長の発言だ。(12日の「毎日新聞記事」)

● つまり、敢えて今「資本提携は認めず」と答える背景には「それもあり得る」ことを暗に示唆している。もちろん「まさか」と捉えられるシナリオではあるが、安倍政権になりいろいろな口実をもうけて、かの西川善文氏と連動すれば、あながち可能性はゼロではない。
 もちろん表面上はM&Aで”乗っ取られる”のではなく、世界の金融マーケットに通用するノウハウを提携して身につける、といわれるとそれも容認するしかない状況は想定できる話だ。

● 一方「かんぽ生命」は、「定期付き終身保険」の上限枠を拡大するか、あるいは撤廃するだけで、超巨大生保が「日本生命」の遙か彼方に誕生することになる。仮に加入金額をそのままにしたとしても「定期付き終身保険の10倍型」を新規発売するだけで、膨大な「死差益」を手にすることになり、文字通り「配当金競争」では手も足もでない事態が訪れる可能性は高い。

● また「損保事業」も、「自動車保険」を中心に代理販売するとなると、現在の銀行に「個人変額年金」を売って欲しいがために生保の役員を含む担当者が平身低頭するような、売り込み合戦が避けられない。
 もちろん現在、損保の窓口は「東京海上日動火災」である以上、その有利性は誰もが認めるところだ。

● となると、現在の販売チャネルは大きな局面を迎えることになる。少々大胆な言い方をすれば「損保商品」だけとか「医療保険やがん保険」だけとかの代理店営業は、かなり窮屈になるのは避けられまい。
 詰まるところ、長期的に手数料収入が期待でき、しかも1件1件が「手作り設計」するしかない「保障性保険」を組み込んだ生命保険販売の可否が生き残りの条件となる。

● もちろんそのためには「定期付き終身保険」の理解と攻略が大前提なのだが、とりわけ損保系生保の感度は鈍い。もっとも、「ブログ・保険塾」の「②定期付き終身保険」のテキストを申し込まれたほぼ半数が損保(代理店含む)関係者だと思われるが、この最低のノウハウすら学習せずに、いつまでも今のやり方が通用すると考えているとしたら、遅くとも5年後はかなり厳しい状況に陥ることになる。
 


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