東芝が進める半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐり、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)は14日夜(日本時間15日午前)、売却手続きの差し止めを求める訴えを、米カリフォルニア州の上級裁判所に起こしたと発表した。
WDが求めたのは日本の仮処分にあたる命令。
WDは5月に国際仲裁裁判所に売却の中止を申し立てているが、仲裁判断が出るまでには時間がかかり、それまでの間に東芝が売却手続きを進めるのを差し止めるよう求めている。
WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者は同日、「東芝がWDの契約上の権利を理解せず、他に選択肢がなかった」とのコメントを出した。
東芝は債務超過を解消して上場を維持するため、今年度中に2兆円超で東芝メモリを売却する方針。
今月28日の株主総会までに優先交渉先を決める考えだが、訴えが認められれば手続きを中止せざるを得ない可能性がある。
経営再建に大きな影響が出そうだ。
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東芝は来週中にも売却先が決まらなければ、かなりまずい状況に置かれます。
既に仮処分に相当する緊急仲裁を申し立てていると思っていましたが、そうではなかったようです。
今回の申し立てが「仮処分」に相当し、7月中旬までには結論が出るようです。
国際仲裁裁判所の判断が出るのに数年かかりますが、その間に東芝がメモリ事業を売却しないように差し止める訴えです。
もしウェスタン・デジタルの訴えが、認められますと東芝はメモリ事業を国際仲裁裁判所の判断が出るまで売却できません。
数年かかりますので、2018年3月期末の債務超過から抜けられず、2年連続の債務超過となり、上場廃止が決まります。
銀行からの借り入れも返済不能となり、資金ショートから倒産するかもしれない。
にも拘わらず東芝は、今月の28日までに売却の正式契約を結ぶ意向です。
というかそれ以外の選択肢がない。
売却交渉に影響はないと強がっていますが、朝日が書いているように地裁の判断次第では、甚大な影響が出ます。
もし万が一にでもWDの訴えが認められれば、東芝のメモリ事業は、2兆円どころかWDに安く買いたたかれる可能性が高くなる。
控訴すれば、それだけ時間が経過するわけであり、時間のない東芝は、恐らく控訴も上告もできないと思われますが、指を咥えてみているわけにもいかず、結局は控訴し、法廷闘争で時間をロスしていくと思われます。
2018年3月期までの債務超過脱却は、増々難しくなる。
半導体事業の売却を前提に銀行は1兆4000億円もの巨額な融資をしていたわけであり、半分はメインバンクであり、後の半分は地銀等が融資していたはずです。
売却できないとなれば、地銀や信金辺りから逃げ出していくのではないか。
来月中旬には、今後の東芝の行く末がかなりの確率で予想できるようになると思っています。