最近のウイルスネタ。


 二週間ぶりの、こんばんわ。
 なんか、この二週間。公私共に忙しかったので、もうずいぶんと更新をしていないような感じがしています。
 私の悪いところは、ひとつのことに集中すると、他のことに興味がなくなる・・・。B型男の典型かと。
 実は、最近ノートPCを購入しました。SONYのVAIOです。Windows Vistaをちょっといじってみたくなりまして。率直な感想は、「良」の成績。ただ若干、遅い気がします。以前はPentium4の3.0GHzでXP Homeを動かしていましたが、今回はCore 2 Duoの1.66GHzでVista home Premiumですので、仕方ないのかもしれません。また、Vistaの一番の見せ場であるユーザーインターフェースの改良点、AEROについても悪くはありません。ただ、全体的に思うことは、なんかだんだんとMacに近づいてないかい?ってこと。Windows Swicherというウィンドウ切り替え機能は、MacでいうExposeのアイデアそのまま。見た目が違うだけ。まー、お互い良いところを取り入れてくれれば、消費者としては文句はありませんが。

 さて、もうひとつ。我が家では、ここ2年ほどの間に、SONY製品を4点ほど購入していることに気が付きました。HDD Walkmanに始まり、Handycam、α100、そしてVAIO。何故でしょう?(笑) いやいや、身内とか友人にSONY関係者はいないんですよ。ホントたまたまです。コストパフォーマンスがいいのかな?それとも、私がただのミーハー?


 さて、二週間ぶりの更新といっても、アクアネタはありません。我が家のアクアリウムは二週間前とほとんど変わってませんから。ベランダのスイレンの開花報告がまだでしたが。
 で、すみませんが、今回もアクアから脱線して、「ウイルス」ネタで失礼を。

 最近、ニュースなどで「ウイルス」が世間を賑わしていますね。
 私が知る限り、最近の二週間だけでも、JRAを混乱させた馬インフルエンザウイルス。インドネシアのバリ島で2名の死亡者を出した鳥インフルエンザウイルス。肥満の原因のひとつと報告(?)されたアデノウイルス。日本の動物園で飼育されているコアラを襲うコアラレトロウイルス等々。これら以外にも、専門的な記事はありましたが、今回は、一般の方でも興味を持ってもらえるような4つのニュースを取り上げてみたいと思います。

 まずは、鳥インフルエンザウイルスから。
 リゾート地として人気のあるバリ島で鳥インフルエンザウイルス感染によって2名の方が亡くなりました。このニュースが、今日紹介するニュースの中で、最も深刻な話題ですな。単に2名の尊い命が奪われたということよりも、こうした世界有数のバカンス地での感染例の発生は、ウイルスを世界各地に拡散させる可能性が高くなるという観点で、非常に注目しないといけないと思います。
 ちなみに、鳥インフルエンザウイルスの研究では、北海道大学の獣医学部の教授が世界的権威。また、世界のインフルエンザ研究を牽引しているのは、東京大学医科学研究所の研究室。なので、鳥インフルエンザに関しては、日本は最も研究が進んでいるといっても過言ではありません。ですが、だからと言って日本が最も安心かというとそうとも限りませんが(笑)。

 競馬ファンの方にとっては、やはり鳥よりも馬。馬インフルエンザウイルスの方が記憶に残っているとは思いますけど(笑)。私の住む近くに、JRAの栗東トレーニングセンターがありますが、こちらの施設でも感染馬が多数発生しているようです。恥ずかしながら、私は馬インフルエンザウイルスなるものを知りませんでした。現時点では、人には感染しないようですので、ひとまずは、競馬ファンや関係者に影響が限定される模様です。病原性はそれほど高くないようですから、次第に沈静化するものと思います。

 メタボ(メタボリックシンドローム)という単語が他人事ではなくなった私にとっては、肥満の原因のひとつがアデノウイルスって話題にも少々関心。しかし、正直言って、コレ、ホント??って感じです。こちらは現時点ではあまりに情報が少ない(まだ学会発表の段階なので)ので、信憑性については未知数と考えたほうがいいと思います。ちなみに、アデノウイルスは風邪症候群の原因ウイルスのひとつで、また「プール熱」の原因としても有名です。さらに、遺伝子治療の際に、遺伝子を体内に導入する運び屋(ベクター)としても利用されています。

 さて、最後のコアラレトロウイルスの話題。神戸市立王子動物園で飼育されているコアラのうち、検査した8頭すべてからレトロウイルスが検出されたというニュース。レトロウイルスとは、エイズウイルス(HIV)や成人T細胞白血病(HTLV)の仲間。このニュースの以前の研究では、同じウイルスがオーストラリアのある限定された地域のコアラに広く感染していることが判明していました。で、日本には9施設63頭のコアラが飼育されていますが、その内、さきほどのオーストラリアの地域由来のコアラが実に53頭。日本で飼育されているコアラの大多数がコアラレトロウイルスに感染している可能性があり、今後、全国調査が行われるようです。

 一昔、動物のレトロウイルス研究は、ウイルス学の王道といっても過言ではありませんでした。レトロウイルスの中には、癌を引き起こす癌ウイルスも多く、ウイルスの研究を通じて、腫瘍発生の研究にもつながる非常にホットな研究分野でした。しかし、1980年代に入り、同じレトロウイルスからエイズウイルス(HIV)が発見され、レトロウイルス研究者がこぞってHIV研究にシフトしていくにつれて、動物レトロウイルス研究は下火になってきました。なので、このニュースを見たとき、ずいぶんとマニアックな(趣味的な)研究をしているんだなーって思ったんですが、実はこの研究をしている先生、私の知人でした。私の学生時代の助手の先生で、当時からネコレトロウイルス(ネコエイズや白血病の原因ウイルス)を精力的に研究されていました。
 ちなみに、ほとんどの動物からレトロウイルスが見付かっているのですが、いまだにイヌのレトロウイルスは見付かってません。動物レトロウイルス研究者(日本には何人いるんだ?)の最大級の関心事です。

 実は、前フリのつもりで書き始めたウイルスネタ。ただダラダラと書き続けて、ボリューム満点になっちゃったので、独立してエントリーしました(苦笑)。
 アクアな話題は、また早急に。スイレンの開花のご報告を。
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ポリオワクチン。

 今日は、なんとウイルスの話。(え?アクアの話は?)

 今日はまったくアクアとは関係ありましぇん。しかも、かなりマニアックな話。
 読んで得をする(いやー、得はしないかな?)のは、今年30、31、32歳になられる方限定!
 気持ちは青年、周囲からおじさん扱いされている人集まれー。
 (管理者注:嫌な思いをされたら、ごめんなさい。私もおじさんということで許してちょーだい)

 ちょっとまじめな話。
 最近、高病原性鳥インフルエンザウイルスやノロウイルス、狂犬病ウイルス、ブルセラ(ショップではないです感染症です)等々、感染症がニュースで取り上げられる機会が多いように感じています。けど、それでも発展途上国はもちろん他の先進国と比べても、現代の日本では伝染病とか感染症に特別に気を使わなくても、安心して生活していけます。
 日本はこれまで、上下水道などのインフラ整備や医療従事者への教育、地政学的条件(島国、気候や文化など)などなど、感染症が流行しにくいような環境作りに努力をしてきました。しかし、もう一つ、忘れてはいけないのが子供の頃に受けた予防接種、つまりワクチン接種ですよ。

 ワクチンには覚えきれないほど種類があって、小さな子供を抱える親にとっては一苦労ですね。今現在、予防接種が積極的に勧奨されているのは、ポリオ(小児麻痺)、三種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風)、MR(麻疹・風疹)、BCG(結核)です。
 強制ではないけど、受けた方がいいと勧められているのは、日本脳炎、水疱瘡(水ぼうそう)、おたふくかぜ(ムンプス)、インフルエンザ、A型肝炎ウイルスです。
 海外に赴任される方やウイルス研究者、医療従事者には狂犬病ウイルス、ワクシニア(昔は天然痘予防のワクチンでした)、B型肝炎ウイルスなどがあります。

 話が逸れてしまいましたが、本題のポリオワクチンについて。
 今年30歳、31歳、32歳になられる方。つまり昭和50年、51年、52年生まれの方は、ポリオ(小児麻痺の原因ウイルス)に対して免疫がない方が多いようです。
 具体的な数値を上げると、50年生まれの方で57%、51年生まれは37%、52年生まれは64%の人だけしかウイルスの感染を予防する中和抗体というものを持っていません。つまり51年生まれの人は3人に2人はワクチン接種したにも関わらず、ポリオに感染する恐れがあるというわけですよ。ちなみに、それ以外の年に生まれた方では80-90%の人が保有していると報告されています。(専門者向け:特に1型ウイルスへの中和抗体価が低いようです)

 今の日本では、もちろんポリオの自然流行はないので、日本で通常の生活をしているのなら、今すぐ何かをしろということはないので、ご安心を。でも世界中には、ポリオが流行している地域もあるので、海外赴任される方は要注意ですよ。ちなみに、ポリオは汚染された食事や水を介して口から感染(経口感染)します。
 それと、もう一つ注意しなければならないことがあるんです。
 実は、子供がワクチンを接種した後、その親がポリオに感染するという感染例(これを二次感染といいます)が、過去に十数例ほど報告されています。
 日本でのポリオワクチンは、生ワクチンという病原性を弱めたウイルスを使っていますが、接種した子供の体の中で病原性が強くなり、オムツ換えなどのときに親の口から感染してしまう可能性があります。もし病原性が強くなったとしても、子供は平気であることが多いですし、親も免疫があれば平気なんですが、免疫がない方やワクチンを接種しなかった親は発症する危険性が高くなるようで、大人であっても麻痺の後遺症や死亡例もあります。
 昭和50、51、52年生まれに接種したポリオワクチンに効果がなかったという報告が発表された後、良心的な自治体では追加ワクチン接種をしてくれたところもあるようです(妻の市ではワクチン接種をしてくれたようですが、私の生まれた市は何にもしてくれませんでした)。
 厚生労働省は、昭和50、51、52年生まれの人、またはワクチンを接種しなかった人に対して、ポリオ汚染地域に渡航する場合、もしくは子供がポリオワクチンを接種するときには、自らもワクチン接種をするべきだと推奨しています。もちろん、自費で。
(国が認可したワクチンを接種して効果がなかったにも関わらず、自費で受けなおせってどういうこと!?)。ちなみに、一回15,000円ぐらいだって。
 
 最後に、ワクチンについては、人それぞれ思いが違うと思います。絶対に受けなければならないと言うつもりはありません。ただ知っておいても損はないのかなって思って。
 私はどうするかというと、子供が接種する時期にワクチンを受けに行こうと思います。

 ポリオウイルスに関する詳しい情報は、国立感染症研究所感染症情報センターのホームページをどうぞ。
 一般向けの情報は、googleで「ポリオ 昭和51年」とすれば、ヒットします。私が嘘つきでないか確認してみてちょ。長々とお付き合いありがとうございました。
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日本のHIV感染。

横浜市の男性が狂犬病発症 比で感染、今月2例目(共同通信) - goo ニュース

 今日も、ウイルス関係の話を一つしたいと思います。
11月22日、狂犬病発症者が新たに発生したと報道されました。私自身、これほどまでに短期間に連続して発生していることに驚きを感じています。報道番組でも大きく取り上げられています。私も狂犬病については、もちろん十分注意喚起する必要があると思いますが、実はもっと日本人が注意をしないといけない感染症があると思うのです。その一つは、後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因ウイルスHIVです。

 みなさん、ご存知ですか?先進国の中で、HIV感染者の数が年々増加している国を。それは日本だけです。しかもエイズを発症してからHIV感染に気付く感染者が多いのも特徴です。HIVは、感染直後には風邪と似た症状が出ますが、その後1年から10年間は無症候期と呼ばれる平穏な日々が続きます。しかし体の中では、ウイルスが着実に増殖しており、確実に体を蝕んでいきます。HIVは徐々に免疫機能を抑制していくので、カビや他のウイルスによって簡単に健康を崩すようになります(カリニ肺炎やカポジ肉腫などの日和見感染症)。こういった症状を後天性免疫不全症候群(英語表記Acquired ImmuneDeficiency Syndromeの頭文字からAIDSつまりエイズ)と言います。つまり現在の日本人の多くは、HIVに感染するかもしれないという意識がないので、多少の体調の悪さではエイズを疑うことをせず、症状が悪化してからHIV感染が発覚するんです。
 HIVって、どんな人が感染するのでしょうか?不幸にも血液製剤や輸血によりHIVに感染した方々が多くおられます。現在では、高リスクグループとしてドラックユーザー(麻薬常用者)や同性愛者などが挙げられています。こうした事実が日本では過剰にアナウンスされて、結局は日常生活では感染しない特殊な嗜好をもつ特殊な人だけの感染症というイメージを植えつけてしまった気がします。しかしHIVは血液などの体液を介して感染するウイルスですので、当然異性間性交渉でも十分感染リスクがあることを認識するべきです。人間の最低次の欲求を利用して感染する極めて身近な感染症であるのですから。
 私は、公衆衛生に関係する公務員ではありませんが、ウイルスの基礎研究をする一人のウイルス学者として、今の日本のHIV状況に危機感を感じています。
 ちなみに、「グッピーエイズ」とか「ディスカスエイズ」はHIVとは無関係だと思っています。
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狂犬病について。

京都の男性が狂犬病発症 比で感染、1970年以来(共同通信) - goo ニュース

 今日はもう一つのネタでブログを書きたいと思います。11月16日、日本人が狂犬病を発症したと報道されました。日本では36年間、狂犬病を発症した方がいなかったので、狂犬病は犬だけの病気だと思う方も多いのではないでしょうか。しかし、狂犬病の原因である狂犬病ウイルスは犬だけでなく、人間、リス、コウモリ、猫、、ほとんどの哺乳動物に感染することができます。実際、東南アジアなどの国々では狂犬病で亡くなる方はまだまだ大勢います。まさかと思われるかもしれませんが、欧州やアメリカのような先進国でも狂犬病ウイルスは野生動物の間で確かに存在しています。

 狂犬病ウイルスは動物にかまれたり引っ掻かれたりした場合に感染しますが、まず傷口付近でウイルスが増え、その後中枢神経系(脳)に移行します。神経系が侵され始めると幻影を見たり、水を極端に怖がる(恐水症)などの神経症状を発症します。一度発症してしまうと、ほぼ100%致死的です。有名なエボラウイルス(のザイール株)でも致死率は約90%ですから、狂犬病ウイルスは最も危険なウイルスと言えます(狂犬病ウイルスはP3と呼ばれる実験室で取り扱うことのできる病原体です)。しかし狂犬病には、予防法(ワクチン)と治療法(治療的ワクチン投与)の両者が揃っており、感染しても発症以前なら治療が可能です。
 海外に長期出張される予定の方は、あらかじめ狂犬病汚染地域かどうか確認したうえ、予防のためワクチンを接種してください。また汚染地域を旅行される方で、野生動物と接触して噛まれたり、引っ掻かれたりした場合には、すぐに帰国し治療的ワクチンの接種を強くお勧めします。もう一つ。狂犬病予防法により犬を飼い始めたら役所に報告する義務、狂犬病ワクチンの受けさせる義務が決められています。しかし実際に飼われている犬の数と報告された数が大きく違うようです。万一、日本で狂犬病が流行した場合、可愛いワンコを狂犬病から守るためにも、また家族が危険に晒されないようにするためにも、飼い犬にワクチンを受けさせて頂きたいと思います。
 日頃、役に立たないことばかり書いているので、今回は私の専門のことで、このブログをご覧頂いている方に少しでも参考にして頂ければ幸いです。
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