梅の香庵~うめのかあん~

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とりとめないことをとりとめなく・・・

密室大坂城

2014-09-28 23:31:51 | 読書
最近読んだおすすめ書籍です。

「密室大坂城」安部龍太郎著


この本、書店をぶらぶらしている時にふと目に付いて、ふ~ん面白そう、
ってことでお買い上げ。
予備知識なし、作者も存じ上げない、偶然の出会いでしたが、
これがなかなかのアタリでございました。

タイトルでお分かりのように豊臣家のお話ですが、
どのへんかというと、大坂冬の陣から夏の陣、てとこですかね。
なので、秀吉はすでに亡く、秀頼と淀殿の時代です。

で、問題は、「誰目線か」ということ。
ここがこの本の最重要ポイントなんですね~。


いわゆる戦国時代、
誰を主役にしてもドラマになりますよね。
実際、大河ドラマを見てみても、いろーんな人目線で何度も何度もこの時代を繰り返し語ってますが、
それでもなお面白い。

しかしですよ。
この人目線で語ったお話って、ちょっと思い出せない。

その人物こそ、
誰あろう、豊臣秀頼です。


言うまでもなく、天下人秀吉の一粒種ですが、
彼って、なーんか存在感薄くないですか。
秀吉没後はおっかないおかーちゃんがガンガンのさばって、家康と喧嘩して、結局負けちゃって嗚呼自害。
しょせん、お飾りのお殿様で、ぽやーっとしてるうちに豊臣家滅亡しちゃった、ってイメージじゃないですか?
なーんにもしなかったおぼっちゃま。
私もそう思ってました。

ところがですよ。
この本を読んで、秀頼のイメージが180度変わっちゃいました!

秀頼って、いいやつじゃん!!


いやね、もちろん、あくまでこれは小説だって分かってますよ。
どう転んだってフィクションです。
実際の彼がどんな人物だったかなんて結局我々にはわかりません。

でもね、考えてもみてくださいよ。

確かに彼は超がつくほどのおぼっちゃまです。
生まれた時から天下人決定。
ていうか、物心ついた時にはすでに天下人。

これって、うらやましいっていうか、とんでもないプレッシャーじゃないですか?

幼くしてその背には、
莫大なる財産と、天下人という輝かしい地位。
そして、強大な敵。

重い。重すぎる。
あ、あと、重いついでに、やまかしいおかーちゃん。
これが一番やっかいかもね。

秀頼がほんとのバカ殿だったなら、このプレッシャーもほよよんと受け流したかもしれないけれど、
あいにく彼はまっとうな感覚の持ち主だった。
そしてまっとうな殿なりに、主君としてお家の存続を必死に模索したのですよ。

秀頼は、淀のあやつり人形じゃなかった!

バカ殿になってもおかしくない環境で、ちゃんとまっとうな殿として奔走した。
相当のストレスをかかえたことでしょう。
胃の痛い人生を送ったと思いますよ。
秀頼ってば常識人。
秀吉と淀の間にこんな常識人が生まれるとは。
しかも大坂の陣当時、秀頼はまだ二十歳そこそこですよ。
そんな若さでこの苦境・・・・。
苦労したなーほんと。


さてそんな、生粋も生粋の超おぼっちゃまながら、思慮深く自分の責任をなんとか果たそうと悩みもがく秀頼。
私の中の秀頼株急上昇。
さらに、
小説に登場する彼の正室・千姫。
姫がねー、可愛いいんですよ。

千姫もねー、これまた超お嬢様なわけですけど、
驕ることなく楚々としたお姫様なんですよねー。
あー可愛い。

千姫もけっこうな苦労人ですよ。
超絶お姫様とは言え、幼くして嫁がされ、
しかも、日本史上最も姑にしたくないトップスリーに確実に入るであろう淀殿を姑に持ち、
よりによって実家と嫁ぎ先が戦になる。
夫は理解あるものの、淀殿ちょ~こえ~し。
大坂城に居場所なかっただろうな~。

まぁ小説を読んでて、
あーこれって、世の殿方が「こんな子がいたらいいなー」ていう理想と妄想なんだろうなーって思わないこともないんですけど、
女から見ても千姫は可愛いです。

すれてないお姫様って感じ。

秀頼と千姫はラブラブ夫婦なんですけどね、
秀頼が千姫のことを「千」って呼ぶんですよね。
なんかね、なんかそれいいなー!って、私も妄想おばさんですね。

「千」といえば、
「千と千尋の神隠し」でも、主人公千尋ちゃんの名前が「千」にされちゃいますが、
あれを見てて、「千(セン)」っていう響きがなんだか無機質に感じて、
いまいち語呂がよくないなーって気がしてたんですよ。

でもね、
この小説で、秀頼が千姫のことを「千」って呼ぶのを聞いてると、
あ、もちろん聞こえないですけど、私の脳内朗読の音声だとね、ほんと妄想ですね、
「千」て呼び方が、やさしいひらがなの響きで、
あ、「せん」て呼び名、なんかいいな、って思ったんです。

なんでそんなこといちいち思うかというと、
実は私の名前も湯婆婆んとこ連れてかれたら「千」になるんですよね。

なので前は「セン」かよーって思ってたけど、
秀頼様のおかげで、いいな「千」って!思っちゃいましたよ。


ちなみに千姫は、
秀頼亡き後、実家の徳川家に戻りますが、
秀頼の娘の命を救ったそうですね。

というのは、
秀頼と千姫の間に子供はなく、
側室との間に一男一女が。
しかし戦国時代、敗者の一族は皆殺しがセオリー。
大坂城落城後、男児は殺され、女児も・・・というところで、千姫が必死の助命嘆願でその命を救ったそうです。

秀頼と仲むつまじかったという千姫。
他の女との子供なんか・・・・という思いよりも、
秀頼様の血筋を残したい、
という思いが勝ったということか。
千姫が秀頼と死別したのは、まだ18か19かっていう歳ですよ。
そんな若さでその分別。
千姫、あんたええ子や!

ふと思うのは、
もしも秀頼と千姫の間に子供がいたらどうなっていたんだろう・・・。
豊臣の子とはいえ、徳川家康のひ孫。
そう簡単には殺せなかっただろうなぁ・・・・・。

まぁ歴史のifは野暮ですけど、
しかしこれは言っちゃいたいのは、
淀殿がいなかったら、豊臣家は続いていた気がしてならない・・・・。


余談ですけど、
「軍師官平衛」の茶々の「この女・・・」と思わずにはいられない態度を見てると、
その後の茶々の所業って、
浅井の娘として、そして織田の姪として、
豊臣家に対する壮大な復讐だったりして・・・・とか考えてみたり・・・


などと、
妄想に拍車がかかるのも、
この小説、ものすごく思い切りよくはしょってるんですよねー。
史実を題材にしているので、
この後はこういう出来後があった、とかいうのは大概の人が分かるんですけど、
そういう、言わずとも知ってるでしょって部分を潔く書いていない。
あくまでも、秀頼の目線で語り、大坂冬の陣、夏の陣できっぱりと筆を置いている。

そのへんも気持ちよく読めました。

この小説が普及して、私同様、秀頼贔屓が増えることを望みます!
秀頼さま~。




白親子

2014-09-24 00:00:46 | イラスト
梅の香堂のトップイラスト更新しました。


「白親子」


先日のグループ展Tube Colors展「PINK!PINK!PINK!」にて展示していた作品です。
ピンクと言われて最初肉球しか思いつかなかったので、必然的に猫登場。
母さん猫のモデルは椿さんですが、
毎度トラネコにしてもらえない椿。
いつも黒猫か白猫になっちゃいますが、とうとうブチ猫になってしもーた。

ちなみに今回、
行きがかり上、股間を描くことになってしまい、
若干うろたえましたよ・・・。
一応嫁入り前の娘なもので。

おまけでこちら、製作途中に撮影。


実際のところ、こういう段階が一番パワーがある気がするんだよなー。
だから一回は白黒だけで作ってみよう思いつつ、
つい色を入れたくなってしまうんだなー。
作ってると欲張りになっちゃうんだよなー。
引き算の美学は勇気が要るな。


おつかれさまでした

2014-09-23 00:57:03 | 日記
名古屋でのグループ展、Tube Colors展「PINK!PINK!PINK!」、
昨日、あ、もう一昨日、無事閉幕いたしました。

足を運んでいただいた方、ありがとうございました。
そして運営に尽力いただいたメンバーの皆様お世話になりました。


今回初参加でしたが、
初対面のグループメンバーの方々にも、ご挨拶した後の第一声がたいがい
「あ、切り絵の人!」
と言っていただきまして、
ありがたい限り。
絵で覚えてもらえるってうれしいもんだ。

おかげさまで楽しい名古屋二日間となりました。


かわいい差し入れも。


空いた時間に訪れた「徳川美術館」もよかったですわ~。
また美術館かよって感じですけど、
ここはどっちかといえば博物館的な?

さすが徳川家!とうなりっぱなしの展示品がめじろおし。
まさに殿様の宝物がずらりですよ。
利休や光悦、宮本武蔵に松尾芭蕉、果ては清朝の乾隆帝などなど。
歴史上の有名人ゆかりの品の数々に驚きっぱなし。
松尾芭蕉の挿絵入り「奥の細道」、原書ほしいくらいかわいかったな~。

折りしも企画展が「天下統一 ―信長から家康へ―」ということで、
信長、秀吉、家康をはじめ、ビッグネームそろい踏み。
書状や鎧や合戦図や太刀などなど。
誰しもそこそこの知識がある時代ですからね、
自分も含め、みなさん興奮気味で見て回ってましたよ。

信長からねね宛のお手紙が感動だったな~。
たぶん、女性宛だからか、漢字少なめの文章が優しかった。
信長もいいとこあんじゃん!

おっと。
グループ展の話そっちのけでしたな。
そっちのけついでに徳川美術館のお土産。
この紋所が目に入らぬかクリップ。


ふふふふふ。いいでしょう。
なんと言われようと、買ってきた本人は大満足です。

打ち上げで初めて食べたどて煮美味しかったし、
充実の二日間。
名古屋バンザイ。

ま、今日の仕事は眠かったがな!

このタイミングで火曜祝日はまさしく天の采配。
1日休んで次がんばろう。

ひとまずTube Colorsの皆様、おつかれさまでした。


名古屋へGO!

2014-09-20 00:05:04 | 日記
ただいま開催中です!


是非お立ち寄りください。

というわけで、私も明日から名古屋入りします。

そんなわけで今夜の椿さん。

このハコ、椿のベッドに決定にゃ


そこにいると名古屋につれてっちゃうよー。
留守番頼んだよ~。




うちのお殿様

2014-09-15 22:25:20 | 日記
いよいよ明日から!



Tube Colors展「PINK!PINK!PINK!」

よろしくお願いします。


さて、宣伝を頭にのっけたところで今日の本題。

先週の日曜日、ご飯たべつつ「軍師官兵衛」を見ていたら・・・・
はい。先週ね。昨日のでなくね。時差があってすみませんね。
もとい。
先週の大河「軍師官兵衛」を見ていたら、
秀吉が九州の領土を分配する場面で佐々成政という名が聞こえてきて、思わず味噌汁飲んでた顔を上げた。
ん?
佐々成政?
今、さっさなりまさってゆった?
佐々成政って、あの佐々成政?

どの佐々成政かと言うと、富山城の殿様だった佐々成政であります。

確か信長の死後、秀吉に降伏して富山城を乗っ取られたのまでは知っていたけど、
その後九州に行っていたとは!
しかも秀吉とけっこう近しくしてんじゃん。
そこそこのポジションじゃん。
そんなんなってたなんて知らなかった!


佐々成政さんはそもそも上から派遣されてきた殿様で、越中の出身というわけではないとは聞いていた。
そのせいか、地元でもさほど知名度は高く無い。
あ~、そういう名前だったよね、程度。
でもまぁ歴史に少なからず興味があれば「さらさら越え」を知ってるくらいか。
まぁ私は富山出身じゃあないので、生粋の富山県民はもちっと知識があるかもしれないけれど、
それにしたって、いわゆる、新潟にとっての上杉謙信とか、宮城にとっての伊達政宗とか、
そういう地元のヒーローという扱いではない。

故に彼が富山を去った後どうなったかなんて全く知らなかった。

なんとなく勝手に地味な武将だと思い込んでいたけれど、
その佐々さんがこうして(?)秀吉に重用されてはるか九州にまで渡っていたとは。
しかもドラマの佐々さんは私のイメージと違ってなかなかの剛の者。
そうか~、成政さんはあの後こうして戦国の世を生き延びていたのだなぁ。
なんだろう。ちょっとうれしい。

ちょっと興味が湧いたので、佐々成政をウィキで調べてみた。
うんうん、信長の命で富山に派遣されて、
本能寺の後は秀吉と対立。隣の前田はさっさと裏切ったがな!
しかし結局降伏して秀吉に仕え、九州征伐で武功をあげて肥後を与えられたと!
へ~けっこう強い武将だったんだ。
なるほどそれが今ちょうどドラマでやってるところね。
ん?しかし、肥後で一揆が起こり、
あ~それもドラマでやってたな、
・・・・その責任をとらされ、
切・・・・・っぷく・・・・・

せっかく、うちとこの殿様のその後の活躍を知ったところだったのに、
この直後にそんな運命が待ち受けているとは!!

若干「官兵衛」のネタばらしになっちゃいましたけど、史実なのでご勘弁を。

昨日の大河ではまだご存命だったので、
多分、来週あたりでしょうかね・・・・

余談ですけど、成政役の方、最初気づかなかったけど、
よく見たら「相棒」の三浦刑事やってた方ですな(←「相棒」好き)。
この方、「いいお父さん」て感じの方ですけど、
こういうワイルドな役もこなしちゃうんですねー。さすが役者さん。


閑話休題。

しかし、この時代のドラマとか見ててよく思うんですけど、
武士ってほんと、サラリーマンですよね。

本来戦うことが仕事のはずなのに、主君から命ぜられれば、
接待とか、交渉とか、宴会の段取りとか、土木工事の仕切りとか、地方自治を任せられたりとか・・・
なんかそういうことばっかやってるじゃないですか。
そんで上の機嫌を損ねないように色々気を使ってみたり、
同僚と出世争いがあったり、
派閥争いがあったり、
主君と領民の板ばさみにあったり、
いきなり遠い地へとばされてみたり・・・・。
めちゃめちゃサラリーマンですよね。

だから時代モノ見てて面白いのかなぁ。
現代の殿方は知らぬ間に感情移入しているのかも。
武士は哀愁だな。

それにしてもウィキを見てみたら、全然知らなかった成政にまつわる怪談とか載ってて面白かった。
神通川に幽霊が出るとか。
富山出身の友人に聞いたら「知らん」と言っていたが有名なのかな?
地元の歴史を調べるのも面白いもんですな。


そんな話題と関係ありそうで全く無いけれど、
今日は久しぶりの完全オフだったので紋切り型など作ってました。

「丸に青海波」

なつかしくもカッコいい文様。
気分がピシっとしますね。


佐々の殿様は、かの地で最期を迎えるとき、
立山を越えた日のことを懐かしく思い出したりしただろうか。