先日大阪に行って来た。
と、昨日もお話しましたが、
大阪の街を歩きながら、
地下鉄に揺られながら、
ほんの少し、
とてもささやかな感慨にふけっておりました。
私が愛読している小説、
高田郁 著 「みをつくし料理帖」シリーズ。
書店に行くとわりと常に平積みされている人気シリーズなのでご存じの方もいるかもしれません。
あらすじは、
時は江戸。
訳あって、上方から江戸へやってきた女料理人の澪(みお)。
慣れない土地で難儀しつつ、
それでも縁あってとある料理屋へ奉公することになり、
その豊かな料理の腕をふるう澪ちゃん。
しかし次々に立ちふさがる壁。
上方と江戸の好みや食材の違い。
女が店で料理をすることへの偏見。
ようやく料理の人気が高まれば、こんどは他の料理店からの嫌がらせ、などなど。
それらの困難を、
持って生まれた才能と、たゆまぬ努力と、そして周囲の人々の人情で切り抜けていくのです。
がんばれ澪ちゃん!
とまぁ。
要は、料理人情小説ですな。
この高田郁さんという方は、
ひたむきな少年少女を書かせたら右に出るものはいないんじゃないかと思うほど、
彼女の書くお話の主人公は皆、
それはそれは、一途で健気でひたむきなんですわ。
正直そういう典型的努力の人型主人公というのは、あまり私の好みじゃないんですけど、
高田郁さんの書く主人公たちには、嫌味が無い。
素直に「がんばれ~」と応援してしまうんですね。
澪ちゃんにしても、
「あ~またトラブル発生。でもきっとまたどうにかして解決していくんだろうなぁ」
と分かっちゃいるんですが、それでも心配して応援して見守ってしまう。
そもそも、
「人情モノ」というジャンルを読もうとは、全く思ったことなかったんですよ。
しかしこの小説を読んで、
読み終わってから、
「あれ。もしかしてこれが人情モノってやつ?」と気づいて、
・・・悪くないじゃない?と思ってしまった。
そして何より、この小説最大の魅力は、
料理の描写がホント美味そう。
食べたいそれ!と何度思ったことでしょう。
特に印象的なのは、心太。
心太とは天草を煮詰めて固めたもの。
んで、心太を凍らせて干したのが寒天なんですね。
本読んで知りました。
で、この小説によると、
上方の心太は、天草で作ったスタンダードなもの。これに黒蜜をかけて食べる。
一方江戸では、寒天から心太を作ったとのこと。
つまり、一旦寒天にした心太を更に又心太に。これにかけるのは酢醤油。
江戸の方が手間をかけている分、見た目も透明で癖のない味に。
上方のは、磯の香りがアクセントに。
で、澪ちゃんが江戸で上方風の心太を作るんです。
磯の香りのする上方風の方が、むしろ江戸風の酢醤油が合うんじゃないかと。
で、出来た心太。
「こんな心太食ったことねぇぞ!」と江戸っ子絶賛。
それめっちゃ美味そう。
実を言いますと私、最近まで心太を食べたことがありませんでした。
別に食わず嫌いとかそういうことでなく、
縁がなくって。
地域的なものなのかうちの親の嗜好なのか分りませんが、
我が家の食卓に心太がのぼったことが無く、
外食で心太を食べる機会もなく。
その存在を知ってはいましたが、特に意識することもなく、
「そういえば私って、食べたことないかも。心太」とふと気付いたのがわりと最近。
その食べたこともない心太にこんなに心ひかれるとは。
で、買って食べました。
近所のスーパーで買ったものが江戸風なのか上方風なのか分りませんが、
磯の香りがして、酢醤油をかける、澪ちゃん風の心太でした。
うまかった。
でですね。
もんのすごく前置き(?)が長くなりましたが、冒頭のフリへ。
大阪ですよ。
そこで私が何を見たかというと。
地下鉄谷町線の駅。
天満橋。
澪ちゃんは大阪生まれです。
江戸に来る以前、奉公していたお店の名前が「天満一兆庵」。
「天満」というのが地名だと、
大阪の地理に明るくない私は、当初分かりませんでした。
しばし後、「天満一兆庵」は天満橋の近くにあるという描写で、
あ、大阪にそういう地名があったんだと知ったのですが、
今もあるんじゃん。
そしてそして、大阪に行く前に地図で見て「おや?」と思ってはいたのです。
梅田の近くの交差点に掲げられた地名。
「小松原町」。
実は、澪ちゃんが恋するお武家様が登場するのですが、
彼の名が「小松原」様。
これがまたいい男なんですよ。
私も惚れそうなくらいいい男なんですよ。
それはさておき。
天満の近くに小松原。
これって偶然?
いやいや、作者さんが知らぬはずは無い。
小松原様の名前は小松原町からとったんじゃないのか?
そんな想像をしながら、
きっと作者さんもこの町を見たんだなぁ、と、密かにふふふと思った大阪旅行。
そういえば、
私がこの小説に出会ったのは、実は数年前の東京旅行がきっかけでした。
出発の電車に乗り込む少し前。
旅のお伴に文庫本でも・・・・と思い、駅ビル内の書店をふらりと覗いた際、見つけたのがこの本。
裏表紙のあらすじを読むと、
江戸は神田のお店が舞台とな。
神田・・・。
実はその時、東京で神田に行く予定だったんです私。
これも何かの縁と、購入した次第。
当時は高田郁さんという作家さんも知りませんでした。
ちょうどシリーズ1作目が出た当初でした。
これが読んでみたら面白いということですっかりハマり、今に至ります。
偶然ながら、小説に描かれた江戸と大坂、両方の町を見られて、
ささやかな感動。
ちなみに、
小説内で澪ちゃんの作る料理は、文庫の巻末にレシピが載っています。
全て作者さんが実際作ったものだとか。
料理好きな方は試してみてはいかが?
どうでもいいけどかーちゃん、
遊びに行ったり本読んだりしてばっかりだけど、絵ぇ描かないの?
うぐ。
と、昨日もお話しましたが、
大阪の街を歩きながら、
地下鉄に揺られながら、
ほんの少し、
とてもささやかな感慨にふけっておりました。
私が愛読している小説、
高田郁 著 「みをつくし料理帖」シリーズ。
書店に行くとわりと常に平積みされている人気シリーズなのでご存じの方もいるかもしれません。
あらすじは、
時は江戸。
訳あって、上方から江戸へやってきた女料理人の澪(みお)。
慣れない土地で難儀しつつ、
それでも縁あってとある料理屋へ奉公することになり、
その豊かな料理の腕をふるう澪ちゃん。
しかし次々に立ちふさがる壁。
上方と江戸の好みや食材の違い。
女が店で料理をすることへの偏見。
ようやく料理の人気が高まれば、こんどは他の料理店からの嫌がらせ、などなど。
それらの困難を、
持って生まれた才能と、たゆまぬ努力と、そして周囲の人々の人情で切り抜けていくのです。
がんばれ澪ちゃん!
とまぁ。
要は、料理人情小説ですな。
この高田郁さんという方は、
ひたむきな少年少女を書かせたら右に出るものはいないんじゃないかと思うほど、
彼女の書くお話の主人公は皆、
それはそれは、一途で健気でひたむきなんですわ。
正直そういう典型的努力の人型主人公というのは、あまり私の好みじゃないんですけど、
高田郁さんの書く主人公たちには、嫌味が無い。
素直に「がんばれ~」と応援してしまうんですね。
澪ちゃんにしても、
「あ~またトラブル発生。でもきっとまたどうにかして解決していくんだろうなぁ」
と分かっちゃいるんですが、それでも心配して応援して見守ってしまう。
そもそも、
「人情モノ」というジャンルを読もうとは、全く思ったことなかったんですよ。
しかしこの小説を読んで、
読み終わってから、
「あれ。もしかしてこれが人情モノってやつ?」と気づいて、
・・・悪くないじゃない?と思ってしまった。
そして何より、この小説最大の魅力は、
料理の描写がホント美味そう。
食べたいそれ!と何度思ったことでしょう。
特に印象的なのは、心太。
心太とは天草を煮詰めて固めたもの。
んで、心太を凍らせて干したのが寒天なんですね。
本読んで知りました。
で、この小説によると、
上方の心太は、天草で作ったスタンダードなもの。これに黒蜜をかけて食べる。
一方江戸では、寒天から心太を作ったとのこと。
つまり、一旦寒天にした心太を更に又心太に。これにかけるのは酢醤油。
江戸の方が手間をかけている分、見た目も透明で癖のない味に。
上方のは、磯の香りがアクセントに。
で、澪ちゃんが江戸で上方風の心太を作るんです。
磯の香りのする上方風の方が、むしろ江戸風の酢醤油が合うんじゃないかと。
で、出来た心太。
「こんな心太食ったことねぇぞ!」と江戸っ子絶賛。
それめっちゃ美味そう。
実を言いますと私、最近まで心太を食べたことがありませんでした。
別に食わず嫌いとかそういうことでなく、
縁がなくって。
地域的なものなのかうちの親の嗜好なのか分りませんが、
我が家の食卓に心太がのぼったことが無く、
外食で心太を食べる機会もなく。
その存在を知ってはいましたが、特に意識することもなく、
「そういえば私って、食べたことないかも。心太」とふと気付いたのがわりと最近。
その食べたこともない心太にこんなに心ひかれるとは。
で、買って食べました。
近所のスーパーで買ったものが江戸風なのか上方風なのか分りませんが、
磯の香りがして、酢醤油をかける、澪ちゃん風の心太でした。
うまかった。
でですね。
もんのすごく前置き(?)が長くなりましたが、冒頭のフリへ。
大阪ですよ。
そこで私が何を見たかというと。
地下鉄谷町線の駅。
天満橋。
澪ちゃんは大阪生まれです。
江戸に来る以前、奉公していたお店の名前が「天満一兆庵」。
「天満」というのが地名だと、
大阪の地理に明るくない私は、当初分かりませんでした。
しばし後、「天満一兆庵」は天満橋の近くにあるという描写で、
あ、大阪にそういう地名があったんだと知ったのですが、
今もあるんじゃん。
そしてそして、大阪に行く前に地図で見て「おや?」と思ってはいたのです。
梅田の近くの交差点に掲げられた地名。
「小松原町」。
実は、澪ちゃんが恋するお武家様が登場するのですが、
彼の名が「小松原」様。
これがまたいい男なんですよ。
私も惚れそうなくらいいい男なんですよ。
それはさておき。
天満の近くに小松原。
これって偶然?
いやいや、作者さんが知らぬはずは無い。
小松原様の名前は小松原町からとったんじゃないのか?
そんな想像をしながら、
きっと作者さんもこの町を見たんだなぁ、と、密かにふふふと思った大阪旅行。
そういえば、
私がこの小説に出会ったのは、実は数年前の東京旅行がきっかけでした。
出発の電車に乗り込む少し前。
旅のお伴に文庫本でも・・・・と思い、駅ビル内の書店をふらりと覗いた際、見つけたのがこの本。
裏表紙のあらすじを読むと、
江戸は神田のお店が舞台とな。
神田・・・。
実はその時、東京で神田に行く予定だったんです私。
これも何かの縁と、購入した次第。
当時は高田郁さんという作家さんも知りませんでした。
ちょうどシリーズ1作目が出た当初でした。
これが読んでみたら面白いということですっかりハマり、今に至ります。
偶然ながら、小説に描かれた江戸と大坂、両方の町を見られて、
ささやかな感動。
ちなみに、
小説内で澪ちゃんの作る料理は、文庫の巻末にレシピが載っています。
全て作者さんが実際作ったものだとか。
料理好きな方は試してみてはいかが?
どうでもいいけどかーちゃん、
遊びに行ったり本読んだりしてばっかりだけど、絵ぇ描かないの?
うぐ。