最近読んだおすすめ書籍です。
「密室大坂城」安部龍太郎著
この本、書店をぶらぶらしている時にふと目に付いて、ふ~ん面白そう、
ってことでお買い上げ。
予備知識なし、作者も存じ上げない、偶然の出会いでしたが、
これがなかなかのアタリでございました。
タイトルでお分かりのように豊臣家のお話ですが、
どのへんかというと、大坂冬の陣から夏の陣、てとこですかね。
なので、秀吉はすでに亡く、秀頼と淀殿の時代です。
で、問題は、「誰目線か」ということ。
ここがこの本の最重要ポイントなんですね~。
いわゆる戦国時代、
誰を主役にしてもドラマになりますよね。
実際、大河ドラマを見てみても、いろーんな人目線で何度も何度もこの時代を繰り返し語ってますが、
それでもなお面白い。
しかしですよ。
この人目線で語ったお話って、ちょっと思い出せない。
その人物こそ、
誰あろう、豊臣秀頼です。
言うまでもなく、天下人秀吉の一粒種ですが、
彼って、なーんか存在感薄くないですか。
秀吉没後はおっかないおかーちゃんがガンガンのさばって、家康と喧嘩して、結局負けちゃって嗚呼自害。
しょせん、お飾りのお殿様で、ぽやーっとしてるうちに豊臣家滅亡しちゃった、ってイメージじゃないですか?
なーんにもしなかったおぼっちゃま。
私もそう思ってました。
ところがですよ。
この本を読んで、秀頼のイメージが180度変わっちゃいました!
秀頼って、いいやつじゃん!!
いやね、もちろん、あくまでこれは小説だって分かってますよ。
どう転んだってフィクションです。
実際の彼がどんな人物だったかなんて結局我々にはわかりません。
でもね、考えてもみてくださいよ。
確かに彼は超がつくほどのおぼっちゃまです。
生まれた時から天下人決定。
ていうか、物心ついた時にはすでに天下人。
これって、うらやましいっていうか、とんでもないプレッシャーじゃないですか?
幼くしてその背には、
莫大なる財産と、天下人という輝かしい地位。
そして、強大な敵。
重い。重すぎる。
あ、あと、重いついでに、やまかしいおかーちゃん。
これが一番やっかいかもね。
秀頼がほんとのバカ殿だったなら、このプレッシャーもほよよんと受け流したかもしれないけれど、
あいにく彼はまっとうな感覚の持ち主だった。
そしてまっとうな殿なりに、主君としてお家の存続を必死に模索したのですよ。
秀頼は、淀のあやつり人形じゃなかった!
バカ殿になってもおかしくない環境で、ちゃんとまっとうな殿として奔走した。
相当のストレスをかかえたことでしょう。
胃の痛い人生を送ったと思いますよ。
秀頼ってば常識人。
秀吉と淀の間にこんな常識人が生まれるとは。
しかも大坂の陣当時、秀頼はまだ二十歳そこそこですよ。
そんな若さでこの苦境・・・・。
苦労したなーほんと。
さてそんな、生粋も生粋の超おぼっちゃまながら、思慮深く自分の責任をなんとか果たそうと悩みもがく秀頼。
私の中の秀頼株急上昇。
さらに、
小説に登場する彼の正室・千姫。
姫がねー、可愛いいんですよ。
千姫もねー、これまた超お嬢様なわけですけど、
驕ることなく楚々としたお姫様なんですよねー。
あー可愛い。
千姫もけっこうな苦労人ですよ。
超絶お姫様とは言え、幼くして嫁がされ、
しかも、日本史上最も姑にしたくないトップスリーに確実に入るであろう淀殿を姑に持ち、
よりによって実家と嫁ぎ先が戦になる。
夫は理解あるものの、淀殿ちょ~こえ~し。
大坂城に居場所なかっただろうな~。
まぁ小説を読んでて、
あーこれって、世の殿方が「こんな子がいたらいいなー」ていう理想と妄想なんだろうなーって思わないこともないんですけど、
女から見ても千姫は可愛いです。
すれてないお姫様って感じ。
秀頼と千姫はラブラブ夫婦なんですけどね、
秀頼が千姫のことを「千」って呼ぶんですよね。
なんかね、なんかそれいいなー!って、私も妄想おばさんですね。
「千」といえば、
「千と千尋の神隠し」でも、主人公千尋ちゃんの名前が「千」にされちゃいますが、
あれを見てて、「千(セン)」っていう響きがなんだか無機質に感じて、
いまいち語呂がよくないなーって気がしてたんですよ。
でもね、
この小説で、秀頼が千姫のことを「千」って呼ぶのを聞いてると、
あ、もちろん聞こえないですけど、私の脳内朗読の音声だとね、ほんと妄想ですね、
「千」て呼び方が、やさしいひらがなの響きで、
あ、「せん」て呼び名、なんかいいな、って思ったんです。
なんでそんなこといちいち思うかというと、
実は私の名前も湯婆婆んとこ連れてかれたら「千」になるんですよね。
なので前は「セン」かよーって思ってたけど、
秀頼様のおかげで、いいな「千」って!思っちゃいましたよ。
ちなみに千姫は、
秀頼亡き後、実家の徳川家に戻りますが、
秀頼の娘の命を救ったそうですね。
というのは、
秀頼と千姫の間に子供はなく、
側室との間に一男一女が。
しかし戦国時代、敗者の一族は皆殺しがセオリー。
大坂城落城後、男児は殺され、女児も・・・というところで、千姫が必死の助命嘆願でその命を救ったそうです。
秀頼と仲むつまじかったという千姫。
他の女との子供なんか・・・・という思いよりも、
秀頼様の血筋を残したい、
という思いが勝ったということか。
千姫が秀頼と死別したのは、まだ18か19かっていう歳ですよ。
そんな若さでその分別。
千姫、あんたええ子や!
ふと思うのは、
もしも秀頼と千姫の間に子供がいたらどうなっていたんだろう・・・。
豊臣の子とはいえ、徳川家康のひ孫。
そう簡単には殺せなかっただろうなぁ・・・・・。
まぁ歴史のifは野暮ですけど、
しかしこれは言っちゃいたいのは、
淀殿がいなかったら、豊臣家は続いていた気がしてならない・・・・。
余談ですけど、
「軍師官平衛」の茶々の「この女・・・」と思わずにはいられない態度を見てると、
その後の茶々の所業って、
浅井の娘として、そして織田の姪として、
豊臣家に対する壮大な復讐だったりして・・・・とか考えてみたり・・・
などと、
妄想に拍車がかかるのも、
この小説、ものすごく思い切りよくはしょってるんですよねー。
史実を題材にしているので、
この後はこういう出来後があった、とかいうのは大概の人が分かるんですけど、
そういう、言わずとも知ってるでしょって部分を潔く書いていない。
あくまでも、秀頼の目線で語り、大坂冬の陣、夏の陣できっぱりと筆を置いている。
そのへんも気持ちよく読めました。
この小説が普及して、私同様、秀頼贔屓が増えることを望みます!
秀頼さま~。
「密室大坂城」安部龍太郎著
この本、書店をぶらぶらしている時にふと目に付いて、ふ~ん面白そう、
ってことでお買い上げ。
予備知識なし、作者も存じ上げない、偶然の出会いでしたが、
これがなかなかのアタリでございました。
タイトルでお分かりのように豊臣家のお話ですが、
どのへんかというと、大坂冬の陣から夏の陣、てとこですかね。
なので、秀吉はすでに亡く、秀頼と淀殿の時代です。
で、問題は、「誰目線か」ということ。
ここがこの本の最重要ポイントなんですね~。
いわゆる戦国時代、
誰を主役にしてもドラマになりますよね。
実際、大河ドラマを見てみても、いろーんな人目線で何度も何度もこの時代を繰り返し語ってますが、
それでもなお面白い。
しかしですよ。
この人目線で語ったお話って、ちょっと思い出せない。
その人物こそ、
誰あろう、豊臣秀頼です。
言うまでもなく、天下人秀吉の一粒種ですが、
彼って、なーんか存在感薄くないですか。
秀吉没後はおっかないおかーちゃんがガンガンのさばって、家康と喧嘩して、結局負けちゃって嗚呼自害。
しょせん、お飾りのお殿様で、ぽやーっとしてるうちに豊臣家滅亡しちゃった、ってイメージじゃないですか?
なーんにもしなかったおぼっちゃま。
私もそう思ってました。
ところがですよ。
この本を読んで、秀頼のイメージが180度変わっちゃいました!
秀頼って、いいやつじゃん!!
いやね、もちろん、あくまでこれは小説だって分かってますよ。
どう転んだってフィクションです。
実際の彼がどんな人物だったかなんて結局我々にはわかりません。
でもね、考えてもみてくださいよ。
確かに彼は超がつくほどのおぼっちゃまです。
生まれた時から天下人決定。
ていうか、物心ついた時にはすでに天下人。
これって、うらやましいっていうか、とんでもないプレッシャーじゃないですか?
幼くしてその背には、
莫大なる財産と、天下人という輝かしい地位。
そして、強大な敵。
重い。重すぎる。
あ、あと、重いついでに、やまかしいおかーちゃん。
これが一番やっかいかもね。
秀頼がほんとのバカ殿だったなら、このプレッシャーもほよよんと受け流したかもしれないけれど、
あいにく彼はまっとうな感覚の持ち主だった。
そしてまっとうな殿なりに、主君としてお家の存続を必死に模索したのですよ。
秀頼は、淀のあやつり人形じゃなかった!
バカ殿になってもおかしくない環境で、ちゃんとまっとうな殿として奔走した。
相当のストレスをかかえたことでしょう。
胃の痛い人生を送ったと思いますよ。
秀頼ってば常識人。
秀吉と淀の間にこんな常識人が生まれるとは。
しかも大坂の陣当時、秀頼はまだ二十歳そこそこですよ。
そんな若さでこの苦境・・・・。
苦労したなーほんと。
さてそんな、生粋も生粋の超おぼっちゃまながら、思慮深く自分の責任をなんとか果たそうと悩みもがく秀頼。
私の中の秀頼株急上昇。
さらに、
小説に登場する彼の正室・千姫。
姫がねー、可愛いいんですよ。
千姫もねー、これまた超お嬢様なわけですけど、
驕ることなく楚々としたお姫様なんですよねー。
あー可愛い。
千姫もけっこうな苦労人ですよ。
超絶お姫様とは言え、幼くして嫁がされ、
しかも、日本史上最も姑にしたくないトップスリーに確実に入るであろう淀殿を姑に持ち、
よりによって実家と嫁ぎ先が戦になる。
夫は理解あるものの、淀殿ちょ~こえ~し。
大坂城に居場所なかっただろうな~。
まぁ小説を読んでて、
あーこれって、世の殿方が「こんな子がいたらいいなー」ていう理想と妄想なんだろうなーって思わないこともないんですけど、
女から見ても千姫は可愛いです。
すれてないお姫様って感じ。
秀頼と千姫はラブラブ夫婦なんですけどね、
秀頼が千姫のことを「千」って呼ぶんですよね。
なんかね、なんかそれいいなー!って、私も妄想おばさんですね。
「千」といえば、
「千と千尋の神隠し」でも、主人公千尋ちゃんの名前が「千」にされちゃいますが、
あれを見てて、「千(セン)」っていう響きがなんだか無機質に感じて、
いまいち語呂がよくないなーって気がしてたんですよ。
でもね、
この小説で、秀頼が千姫のことを「千」って呼ぶのを聞いてると、
あ、もちろん聞こえないですけど、私の脳内朗読の音声だとね、ほんと妄想ですね、
「千」て呼び方が、やさしいひらがなの響きで、
あ、「せん」て呼び名、なんかいいな、って思ったんです。
なんでそんなこといちいち思うかというと、
実は私の名前も湯婆婆んとこ連れてかれたら「千」になるんですよね。
なので前は「セン」かよーって思ってたけど、
秀頼様のおかげで、いいな「千」って!思っちゃいましたよ。
ちなみに千姫は、
秀頼亡き後、実家の徳川家に戻りますが、
秀頼の娘の命を救ったそうですね。
というのは、
秀頼と千姫の間に子供はなく、
側室との間に一男一女が。
しかし戦国時代、敗者の一族は皆殺しがセオリー。
大坂城落城後、男児は殺され、女児も・・・というところで、千姫が必死の助命嘆願でその命を救ったそうです。
秀頼と仲むつまじかったという千姫。
他の女との子供なんか・・・・という思いよりも、
秀頼様の血筋を残したい、
という思いが勝ったということか。
千姫が秀頼と死別したのは、まだ18か19かっていう歳ですよ。
そんな若さでその分別。
千姫、あんたええ子や!
ふと思うのは、
もしも秀頼と千姫の間に子供がいたらどうなっていたんだろう・・・。
豊臣の子とはいえ、徳川家康のひ孫。
そう簡単には殺せなかっただろうなぁ・・・・・。
まぁ歴史のifは野暮ですけど、
しかしこれは言っちゃいたいのは、
淀殿がいなかったら、豊臣家は続いていた気がしてならない・・・・。
余談ですけど、
「軍師官平衛」の茶々の「この女・・・」と思わずにはいられない態度を見てると、
その後の茶々の所業って、
浅井の娘として、そして織田の姪として、
豊臣家に対する壮大な復讐だったりして・・・・とか考えてみたり・・・
などと、
妄想に拍車がかかるのも、
この小説、ものすごく思い切りよくはしょってるんですよねー。
史実を題材にしているので、
この後はこういう出来後があった、とかいうのは大概の人が分かるんですけど、
そういう、言わずとも知ってるでしょって部分を潔く書いていない。
あくまでも、秀頼の目線で語り、大坂冬の陣、夏の陣できっぱりと筆を置いている。
そのへんも気持ちよく読めました。
この小説が普及して、私同様、秀頼贔屓が増えることを望みます!
秀頼さま~。
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