梅の香庵~うめのかあん~

梅の香堂別館喫茶スペース*梅の香庵*
とりとめないことをとりとめなく・・・

生摺師!

2018-04-30 09:59:16 | 日記
はいどうもゴールデンなウィークですね。

というわけで一応出かけて来ようということで、おなじみ水墨美術館へ行ってきました。
近場!

お目当てはこちらです。

「江戸の遊び絵づくし」
はいはい飽きもせずまたしても浮世絵展ですね。

が、
実のところ、本当のお目当ては展示よりも別にありました。
なんと、この連休中、ほんまもんの摺師さんの実演が見れるとのこと!

世間の女子がネズミーランドやらユニバーサルやらアウトレットやら海やら山やらに向かうであろう黄金週間に摺師を見に行くこの渋さったら。
そんな自分、いいね!

というわけで見てきましたよ。生摺師!

開始時間にちょっと遅れて到着すると、すでに数人の見物人に囲まれて作業が始まっていました。
まだお若い摺師さん。
今回制作するのは北斎の神奈川沖浪裏のようです。

ちょっと見えにくいのですが、画面左側、すでに線画と船の黄色が刷られてますね。

手前に見えるのは完成見本。

絵具を入れている湯呑みたいな器。てか湯呑なのか?
木製の道具箱。
ばれん。ブラシのような刷毛。
水を張った木桶。手ぬぐい。
うーんカッコいい。

浪の薄い水色が入りました。
当たり前かもしれないけれど今気づいた。色の濃淡て、摺師さんが版木の上で調整して作るのね。
はー。そりゃー責任重大だわ。

色は基本的に、薄い→濃いと刷っていくそうです。
まず、版木の色を載せる部分を刷毛で濡らして、
その上に絵具と糊(粘度を加えるためだそうな)をちょいちょいっと乗せて、伸ばします。

一回目の摺りは、版木に色が馴染んでいないので一番難しいのだとか。

いよいよ紙を乗せて、

バレンで摺る!

ぴらっとめくれば薄黄色の雲が。


いやそれにしても、本当にぴったり位置がずれない!
職人技と言われればそれまでだけどほんとにすごい。

そしてよくみると胡坐で作業するんですね。
私、椿が膝に乗ってきた状態、すなわち「国芳スタイル」で作業するとき、胡坐なんですけど、
椿の寝やすいベッド(私の足)の形が胡坐なので。
これって作業姿勢としてどうなんだろう・・・と思っていましたが、伝統的にオッケーってことか!

浪の濃い青を乗せるとぐぐっと完成に近づいて、


最後は空のぼかしをいれると、

完成!!

おお~!とどよめきがあがりました。

たぶん、たぶんだけど、きっとこのぴらっとめくる瞬間が気持ちいいんだろうなー、摺師さん。
このぼかしは、摺師さんの腕の見せ所なんだろうなー。
そうそう、ぼかしって、緊張するけどわくわくするよねー。

写真では端折ってありますが、この浮世絵は10回摺って完成です。
これは少ない方なのだそうな。
しかし見ていると、そんな薄い色も?とか、そんなちっさい部分も!?と思うような摺りもあって、
そのために、わざわざ一枚版木彫って、摺って、ていう手間をかけるのか~!と思うと、
完成度を高めようというこだわりが感じられて感動でした。江戸の版画技術まじすごいっす。
浪の青い色も、実は2色重ねてあるんですよー。

浮世絵は庶民の娯楽ですから、制作コストを下げるために、版木は表裏使ったり、空いてる部分を他の摺りに使ったりしたそうです。
ちなみに今回拝見した版木は現代の彫師さんが制作されたもののようです。マジックで名前が書いてあった

それにしても見ていて感じたのは、これってかなり頭使う画法だなーてこと。
下絵が出来たらきっと、版木を作るにあたってけっこう綿密な段取りが必要だよね。

こことこことここは同じ色だから一枚の版木な(彫)
いやちょっと待て、ここも同じ色じゃないか?(摺)
違う違う!ここは微妙に濃さが違うんだよ!(絵)
・・・・一緒でいんじゃないか?(彫)
でもここを先に摺ったら、その後のこの色が重ねにくいから、やっぱ別じゃね?(摺)
摺る順番は、これ→これ→これ、かな。(摺)
でもそうするとここの重なりが逆になっちまう。(絵)
じゃあやっぱここも別の版木にしないと。(彫)
おいおい、版木は節約してもらわなにゃ困るよ。(版元)
う~ん(みんな)

てな打合せがないと、みんなで共同作業が出来る状態にもっていけないと思うんだけどどう?
かーなりシステマチックに段取りが組み立てられていることは間違いないですよ。
いやー、すごいなニッポン。

黄金週間に摺師見物。
めちゃめちゃいいもの見ましたよ。



あ、肝心の「江戸の遊び絵」も面白かったです!
我らが国芳師匠とその門下大活躍。

一番感動したのは、江戸末期からもう明治くらいかな?
自分で切り抜いて組み立てられるおもちゃの浮世絵があったんですよー。なるほどそういう発想かー!
この完成度がすごいの!
ミニミニお雛様とか、ちっちゃい凧とか。
ミニ凧は炉端の上昇気流で揚げるんだとか。楽しそう!!
あと、キレイな小箱が作れるのもあって、ちゃんとのりしろもあるんですが、
その箱がすごい。ちゃんと蓋も作れるし、四角形だけでなく、ひし形、六角形、十字型、なんと星型、しかも五芒星じゃなくてもっといっぱいあるやつ!
これが切り抜いて組み立てられるのですが、子供が挫けそうなほどハイレベル!
作ってみたーい!

前にNHKの歴史番組で、日本人に肩こりが広まったのは明治維新からだってやってました。
原因の一つは、ずばりストレス。
もちろん生活環境の変化もそうだけど、それに加えて、富国強兵、競争社会、分刻みの時間、などなど。
江戸の時間概念はか~なりゆる~くおおざっぱだったそうです。
それから100年以上経っても未だストレス社会は続いてるってことは、慣れは問題ではないってことですよ。
そう考えると江戸ってノンストレス?
たぶん、武士たちはストレスいっぱいあったと思うけど、
あの可愛いおもちゃや気合の入った浮世絵見てると、庶民は楽しそうだなーって思ってしまうな。そりゃー暮らしは大変だっただろうけど。
一回行ってみたかった。



ART BOOK OF SELECTED ILLUSTRATION WA MODERN 和モダン

2018-04-17 23:04:18 | お仕事
はい。宣伝です。

「ART BOOK OF SELECTED ILLUSTRATION WA MODERN 和モダン2018」
に掲載されました。
5月12日書店にて発売。
amazonでは予約受付してます

よろしくお願いします!!



と、
これだけで終わるものなんなんで最近思っていたこと。

最近のコナンのオープニングアニメ、胸キュンじゃないですか?私毎回、きゃー!!ってゆってしまうんですけど!

高校生の真一と蘭がケンカして、でもその後海辺で待ち合わせるんだけど、
実はそれはコナンの作戦だった、っていうストーリー。
その最後にね、真一が蘭ちゃんの手をね!きゃー!!

今まで蘭ちゃんと真一が会えないっていうコンセプトが多かったけど、普通に二人がラブラブなのってむしろ新鮮で、
初めて見たとき、おおーって思っちゃいましたね。
いやー。蘭ちゃんよかったね。

それにしても、
私はそれ程コナンが好きなわけでもないのに、なんだかコナンを見続けてるのなんでだろ。
それこそが長寿アニメの底力なのか・・・。

あ、アニメと言えばNHKの3月ライオン、続編信じて待ってます!

というわけで
「ART BOOK OF SELECTED ILLUSTRATION WA MODERN 和モダン2018」
よろしくお願いします




現場監督再び

2018-04-08 09:08:40 | 日記
4月。

今年は3月から季節外れの好天が続き、観測史上最速でわーっと桜が開花したかと思ったらあっと言う間に満開になり、えっ、もう!?って言ってる間に散っていった。
そして桜を散らすと同時に高気圧はどこかへ行き、例年通りに、この時期ってまだちょっと寒いんだよねーっていう4月上旬・・・。
皆さまお花見はされましたでしょうか。私はさっぱりです。


さて、最近どうにも、新作の更新が出来ず申し訳ございません。
いるのかどうか分かりませんが、楽しみにしてくださっている稀有な方には心苦しいばかりです。
こいつ絵描いてねーんじゃねーの?とお思いかもしれませんが、一応描いてます。
描いてますが、ここのところ、お仕事以外の絵が描けておりません。
お仕事の絵は大人の事情で公開できないことが多いもので、いかんせん、ホームページが一向に更新されないという事態になっております。
ごめんなさい。

ちゃんと描いてるという証拠に、作画風景をお見せしましょう。


基本、アナログ作画ですが、ラフを描く時や、納品前の仕上げは私もペンタブを使います。

え?ペンタブの脇になにかいる?

我が家の現場監督ですが何か?

うむ。その調子にゃ。

あの、監督・・・・ちょっと重いのですが・・・。あと、右手動かしづらいのですが・・・。

タブレットの上に乗らにゃいだけありがたいと思え。

・・・・・そうですね。


どうでしょうこの監督っぷり。
視線が鋭い!

椿の上にタブレットが乗っからないよう気を使いつつ、右手動かしづらい上にたまにペンを攻撃されますが、一生懸命描いております!

ちなみに、タブレットの下に敷いているのは、椿用に買ったニトリの食パンクッションです。
膝→食パン→ペンタブって置くと調度いい高さなのです。低反発の硬さも絶妙!
食パンの上には猫よりペンタブですな!
猫も乗ってるけど!


このように、水面下で画業は行われています。
そのうちお見せ出来る日をお楽しみに。


おまけ。

先日のやたらとあったかい日曜日。
窓辺でおくつろぎの椿さん。おくつろぎ過ぎて乙女にあるまじきかっこうに。


ぱっかーん

どんだけ気持ちいいのでしょうか。

その数分後。

お分かりでしょうか。
ベッドが違う。

わざわざベッドをハシゴして昼寝をしております。
陽当り具合は同じなんですよ。

なんて贅沢なお昼寝っぷり。
来世はやっぱ猫だな。