クラヴィコード徒然草ーLife with Clavichord

チェンバロ、クラヴィコード製作家 高橋靖志のブログ
製作にまつわるあれこれや猫との暮らし、趣味のオーディオについて

ALTEC Model 19 ネットワーク(共振回路の調整)

2017-04-04 18:11:44 | Audio

アプリを使った測定で1000Hzにピークがあることがわかったが 聴いていても高音にピークがあるような気はしていたのでネットワークを調整してみた
802-8G側に入った共振回路はディップフィルターとして2500Hzあたりを下げる設定になっていたが1.3mHのインダクタはそのままでコンデンサだけを18μFに変更した(容量の算出はこちらのサイトのお世話になっています)

その結果がこちら


1000Hzのピークはキレイに消えて試聴でもピークは感じなくなった(^^)
その代わり2000Hzから4000Hzのあいだが少し持ち上がったが聴感上問題はなさそう
今までなら手探りでやっていたネットワークの調整が無料のアプリを使ったお手軽測定で的確に修正出来るのだからいい時代になったものだ(^^)


ALTEC Model 19 ネットワーク(周波数特性の測定)

2017-04-03 22:49:25 | Audio

iPadで音響測定をするアプリがあるはずと思いついて無料のものをダウンロードして試してみた
ピンクノイズのファイルをパソコンに入れて再生した音をiPadの内蔵マイクで拾ってアプリで解析した結果がこれ


RTAは横軸が1/3オクターブ間隔と表示が荒いが平均で表示できるのに対して FFTは1/24オクターブで細かいが無料バージョンでは平均が選べなかった それでもだいたいの傾向はつかめているようだ
RTAでは1000HzにピークがあるがFFTではピークは左程大きくないようにも見える
2wayとしては大きな破綻はないと見ていいのではないだろうか ユニットの繋がりは悪くないように思う
高域が急激に落ちているのがちょっと気になるがスピーカーと測定場所との間に大きな楽器を置いているので今はあまり気にしないことに
オリジナルのネットワークでも計測してみたいがユニットへ接続し直すためにホーンを外したりしなければならず面倒なのでこれはいずれそのうち(^^;;


ALTEC Model 19 ネットワーク(オリジナル回路の考察)

2017-04-02 15:33:15 | Audio

ネットワークを替えてから何度か聴いてみたが効果は絶大
中高音のホーンらしい音圧が感じられるだけでなく 今まで38cmでこの程度?と全然物足りなかった低音も明らかに違ってこれならと思えるくらいシッカリ鳴っている ローパスフィルタのインダクタを直流抵抗の小さいものに替えればもっと締まった低音になるのではと期待が高まるが今は懐が寂しいのでしばらくお預け(T . T)

なので回路図や特性図を眺めて少し考えてみた
まずこれはModel 19のオリジナルネットワークの回路


HFは18dB/octLF は12dB/octのフィルターになっている またHFはVRでレベルコントロール LFはインダクタに並列に入れたVRでカットオフ周波数をコントロールしているようだ 中域をmaxにすると0.3mHのインダクタがショートされてローパスフィルタのインダクタンスは2.7mHとなり minでは8Ωが並列に入って0.3mHのインダクタが効いてくるという仕組みらしい 回路図ではこの低域のVRの1番端子側がmaxになっているがこれがなぜ?と悩んだが これは回路図の間違いで3番端子側maxが正しいと思う


ところでmodel 19のクロスオーバー周波数は1200Hzで 同じユニットとホーン811Bを使うA7-8の800Hzに比べかなり高く設定されている その理由としてドライバ802-8Gがタンジェリンフェイズプラグを採用して20kHzまでフラットに伸びたことを理由にする記事を散見する

下は416-8Bの周波数特製図(エレクトリ発行の「ALTECスピーカーユニット/エンクロージャー図面集」より)
1000Hzから盛り上がって2000Hzあたりにピークがある 

こちらはModel 19 のイコライジングの効果を示した図(別冊Stereo Sound「アルテック」より)
中域のコントロールで1000Hzから2000Hzあたりが大きく変化している

これらを見るとクロスオーヴァーを1200Hzと高くとったのは416-8Bの2000Hzあたりのピークを中域のコントロールに利用するためだったと考えられる ローパスフィルターのインダクタンスの増減でカットオフの周波数を高くすればこのピークで中域が強調され カットオフを低くすればピークが抑えられて中域が弱くなるという理屈ではないだろうか
これが正しいとすればリプレイスするネットワークはVRは使わないのだからにクロスオーヴァー1200Hzにこだわる必要はないということになる

ここまで書いてMFのコントロールの後にHFのバイパスフィルタへ分岐しているのはなぜ?と現物の回路を確認してみると非常にややこしいことになっていることが判明
なんとHFのコントロールのためのVR35Ωが回路図のR1の位置に、MFのVR8ΩがR3の位置に入っている 左右とも同じ接続 ネットにある写真でも確かめてみたが間違いではなさそう これはどういうことなんだろう???
訳が分からなくなって頭が混乱して来たので今日はこのへんでおしまい 


ALTEC Model 19 ネットワークの実験中

2017-03-23 21:37:01 | Audio

ALTEC Model 19はドライバー802-8G + 811Bホーン、ウーファー416-8BとALTECの定番ユニットを使ったスピーカーでA7の家庭版あるいはスタジオモニターという位置付け
若い頃に初めて買ったスピーカーがALTECの8インチのフルレンジユニット403Aを使っていたことからALTECはずっと気になる存在で 403Aの片側のヴォイスコイルが断線してからは409-8Eを手に入れて長い間手を替え品を替え試しながら使った
この辺りの経緯はこちら

一方でA7を知人のところで聴いて以来ALTECのホーンは長い間憧れの存在だったが自分には縁のないものと思っていた ところが数年前 要らないから引き取って欲しいというModel 19がわが家にやって来た

その後アンプの更新にエネルギーを注いでいたこともあってしばらくは憧れのホーンサウンドに満足していた ところがそのうちどうも物足りない ホーンらしい押し出し感というか音圧を感じられない気がしてきた近所に住む友人のオイロダインを聴くとどうしても聴き劣りしてしまうのも事実で ホーンらしい色気が薄く低音も頼りない マグネットの経年劣化で再着磁なんてことも考えないと満足できる音にはならないのかもなど悶々とする日々(笑)

ところでModel 19のネットワークN1201-8Aは2wayの高域と中域のレベルをそれぞれコントロールできるようになっている

今ひとつ魅力的な音が出ない原因としてこのネットワークも疑っていて 定番のコンデンサ交換もやってみたが効果なし(最近マルチテスターを買ったので外してあったオリジナルのコンデンサの容量を測ってみたが表示値を下回っているものは一つもなかった)

自分でネットワークを組むなんていう泥沼にはハマりたくない気持ちもあったが 面白そうな回路を見つて手持ちの部品でとりあえず組んでみることができそうと分かったら矢も盾もたまらず実験スタート(^^;;

参考にした回路はこれ Model 19 network と検索すると出てくる

共振回路によって高域のピークを平らにしてウーファーとの音圧の差を合わせているようだ
ただしユニットは同じだがホーンは511、ウーファーはショートホーンの816という設定なのでModel 19の条件とは異なっている


手持ちのコイルとコンデンサーの中から近い数値の組み合わせをいくつか試してみた
最初の組み合わせでは明らかに高域が強すぎチェンバロの倍音は突き刺さるようで笑ってしまうほどだったが感触は悪くなかった
3、4種類の組み合わせを試すうちに落ち着いてきてなかなかいい感じになった(と思う)
ローパスフィルター: 2.5mH/20μF
ハイパスフィルター: 0.85mH/6.8μF
共振回路: 1.3mH/4.7μF/15Ω

最初は強すぎたチェンバロの倍音も程よくなった Diana KrallはゾクッとするしCarmen McRaeの迫力は増したように思う
しばらくこれで聴いてみよう(^^)


レコードプレーヤー DP-3000 + DA-401

2017-01-25 07:32:50 | Audio

数年前知人のところから処分して欲しいと預かって来たプレーヤーは、一回り大きい木枠にコンクリートと粘土を詰めた中に埋まっていて、ちょっと動かすだけで腰が痛くなるくらい重い(^^;; 車庫の片隅に放置していたが邪魔になるし、かと言ってそのままでは捨てるに捨てられず、ターンテーブルとトーンアームはいいもののらしかったので枠を外して掘り出してみた。
フォノモーターはDENONのDP-3000、かつて一世を風靡した名機で、スイッチを入れると問題なく動いたのはラッキ〜(^^) 隙間と言う隙間に詰めた粘土が触れたアルミは表面が変色していたが、幸い内部まで腐食はしていなかった。


トーンアームDA-401の軸にガタがあったので分解するとベアリングが残念な状態。

どういう構造になっているかわからないので少しずつ針でつついているうちに片側が外れたので、もう片方もキズがつかないように真鍮線を曲げてたものを引っ掛けて外しパーツクリーナーで洗浄。

円錐のピボットが接触してベアリングの玉が回転するとややこしい回転の仕方になるはずで、いったいどうなっているんだろうと思ったら、玉はきれいにしても動く気配がない。どうも固定されているようだ。荷重もわずかだから動かなくても問題ないのだろう。手元にあるオイルの中で最も上質と思われるフルートのキーオイルを注して仮組み。

ところがあれこれやっているうちに内部に通っている極細のリードが1本切れてしまった(^^;; よく見るとその1本は軸の近くに半田付けしたアース線で半田付けのところで切れたものだったのでこれなら直ると安堵したのも束の間、被覆を剥こうとしてプチプチ切れてどんどん短くなってしまった(^^;; 以前Altecのドライバー802-8Gのヴォイスコイルのリード線を修理した時に使ったワイヤーの芯線を抜き出してつなぎ足して、他の4本のリード線とともに導通を確認(^^)


今はここまでで後は時間が出来た時のお楽しみ(^^)