クラヴィコード徒然草ーLife with Clavichord

チェンバロ、クラヴィコード製作家 高橋靖志のブログ
製作にまつわるあれこれや猫との暮らし、趣味のオーディオについて

音が出ました

2010-04-27 23:21:00 | Monk's clavichord

張弦のあとタンジェントを付けて高さと角度の調整。とりあえずのダンピングクロスを巻いてチューニング。初めて音が出てから1週間くらいになるが、音もいくぶんこなれて来た。
ダンパーレール(またはダンピングボード)のある楽器は初めてなので、厚み、弦やタンジェントとの間隔などで cut-and-try が必要。図面と写真にはダンパーレールはない。おそらく消失したのだろう。バス弦のヒッチピンの後ろに貼付けてある長方形の穴の明いたブロックによって、ダンパーレールがあったことがわかる。中高音のヒッチピンの位置が少し奥に寄っていることも、ダンパーレールを前提とすれば説明がつく。
今まで作って来たクラヴィコードでは、ダンピングクロスをきっちり巻くのが常だったが、今回はパラッと巻いて、裏にフェルトを貼ったダンパーレールが、タンジェントによって持ち上げられた弦を押さえるようにしてみるつもり。こうやって少し弦を抑えてやると、高音部分で少し弦に弾かれがちなところが鳴らしやすくなるようだ。
ダンピングクロスも、今まで使っていたスウェードテープでは少し硬すぎるように感じたので厚手のウール地を調達。近くの街の洋品店で見本を見て取り寄せてもらったのだが、ちょうどよさそうなものは生地としては高級の部類で、コートを仕立てたらいいものができそうなほど
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巻線

2010-04-19 08:39:05 | Monk's clavichord
コンパクトさが身上のクラヴィコードは、低音弦がかなり短縮されている。そのため最低音域ではかなり弦を太くしないとピッチ感のある音を得られない。5オクターブの楽器で0.7ミリ、4オクターブの楽器でも0.6ミリくらいが必要になる。それでもちょっと苦しいくらい。
そこで登場するのが巻線(wound string)。ピアノと違うのは、芯線はブラスで、銅線は密ではなく隙間をあけて巻かれるということ。昨年参加したクラヴィコード・シンポジウムで見た楽器は、ほとんど例外なく巻線が使われていた。15台ほどの様々なタイプの楽器のうち、巻線を使っていなかったのは、ルネサンスの楽器と私の楽器くらい。
そして、音響的にライプな教会が会場だったからか、巻線を使っていない私の楽器は、低音がこもったような音になってしまった(日本では、何回かのコンサートで特に低音が弱いと感じたことはなかったのだが…)。対して、あちらの楽器はどちらかと言うと低音に比重があるような鳴り方だった。
巻線について何人かの人に教えてもらって来たので、試してみたいと思っている。今回のショートオクターブの楽器は、Tournay 氏が弦のリストも送ってくれて、それによると最低音域の5本に巻線が使われている。弦を張り始める前に、いくつかの計算をしてみた。
最低音の C/E では、0.63ミリの真鍮線で弦の質量は2グラムほど、張力は3キロになる。そこに0.3ミリの芯線に0.3ミリの銅線を1センチあたり2から3回巻くと、質量は3から4グラム、張力は3から4キロ。弦の柔軟性を保ちつつ質量を増やして十分な張力を得るのに、巻線はかなり有効な方法ということがわかる。
あとは、音色や響きで判断するしかないし、好みの問題もある。
まだ巻線機が出来ていないので、とりあえず手持ちの弦を張った後、昨日ざっと調律をして音を出しみた。最低音域では、ヒッチピンからタンジェントまでの距離が十分に稼げていないこともあるのだろうが、ちょっと基音が弱いというか響きが硬い印象。弦のコンディションが落ち着くまで半月くらいかかるので、もう少し様子をみなければ。
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冷たいリゾット

2010-04-14 12:25:15 | Recipe
Magnano の報告の中で、冷たいリゾットを紹介したが、自分なりに作ってみてそれらしく出来たのでお約束のレシピの発表。
一番の問題は、日本ではリゾット用の米、それも冷たいリゾット用の品種の入手は難しいこと。不可能ではないとしても、米どころに住んでいて輸入米を買うのにはちょっと抵抗が…普段食べている米でなんとかそれらしく作ってみたい。
最初に試したのは、米をいちど茹でこぼしてから使うというやり方。そのまま煮ればおかゆのようにネバネバが結構出るが、一度お湯を捨てることで少しはサラッとできるのではという期待。結果は、多少の効果はあったかなという感じ。
それより、ちょっと固めに炊飯器で炊いた方が上手くいきそう。このところ玄米を食べているのだが、先日、炊きあがった玄米にオリーブオイルをまぶしてサラダに使ったら、もともと玄米ご飯は粘りがないので、さらっとしていてかなりいい線をいっていた。これなら、白米でもすし飯のように固めに炊いて使えばいけそう。リゾットは米を茹でるものという先入観があった。
オリーブオイルをまぶしたら、熱いうちにチーズを入れる。モツァレラとパルミジャーノなんかが入れば結構雰囲気が出る。モツァレラはイタリアでも南部のチーズという突っ込みはなし
あとは、さっと火をとおした薄切りのシイタケと湯通しをしたナメコ、一口大に切った生ハムを混ぜ、バジルとローズマリー、塩コショウで味をととのえて出来上がり。
できれば生ハムは、ハードタイプのクセの強いものの方がそれらしくなる。それと塩は岩塩を。
オリーブオイルが決め手のひとつなので、香りのいいものを探して試してみたいところ。
最初に作った時は、リゾットと言うよりも洋風ちらし寿司のようになってしまった一度に大量に作ったので、ご飯に水蒸気がこもって柔らかくなりすぎたのも原因。最初は2、3人分くらいにしておくのが無難。

追記: イタリアにはポルチーニと言う名物キノコがあるから、使えばさらにそれらしくなるかも(^ ^)

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