クラヴィコード徒然草ーLife with Clavichord

チェンバロ、クラヴィコード製作家 高橋靖志のブログ
製作にまつわるあれこれや猫との暮らし、趣味のオーディオについて

X MAGNANO INTERNATIONAL CLAVICHORD SYMPOSIUM

2011-01-21 09:41:55 | Information
今年の9月6日から10日まで、イタリアの小さな村Magnanoで開かれる第10回国際クラヴィコード・シンポジウム
参加申し込みの期限は2月28日です。
Brauchli氏から、忘れてないかい?のメールがきました。


忘れているワケじゃないのですが、まだ思案中。
興味深いテーマがならんでいるし、今回も参加したいのですが、諸事情を考えるとちょっと難しいかも…
昨年11月の展示会で、行きますよーというかたが何人かいらっしゃいましたので、今回も日本からの参加は確実。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モーツァルトのクラヴィコード Reise-klavichord

2011-01-12 12:06:00 | Instruments
モーツァルトが使ったクラヴィコードで現存している楽器は2台。そのうちの一台が Reiseklavier または Reiseklavichord と呼ばれる旅行用の小型の楽器。
ピアノ製作者としても有名な Johann Andreas Stein 1762年製作,ブダペストのハンガリー国立博物館蔵
写真の楽器は、そのコピーでAlfons Huber製作(筒井さん所有)


サイズは、990x350x110,音域はC-f3,54キー
約1mとコンパクトなサイズでありながら4オクターブ半の音域。したがって写真でもわかるように響板面積が極端に少ない。にもかかわらず、低音から高音までバランスよく鳴っているのは驚異的と言ってもいいかも。
コピー製作者の Huber はこの楽器のオリジナルの修復にも関わった人で、2001年のクラヴィコード・シンポジウムではこの楽器について詳細なレポートを発表している。


この楽器はサイズのわりに広い音域を持つ他にも、いくつもの興味深いスペックを持っている。
まずフレッティング・システム。基本は diatonically fretted だがいくつか変則的なところが。
最低音域 C-c unfretted は当然として、その次は
c-c♯, d, e♭, e
と e♭ が独立している。ここは普通は e♭-e とフレットになるところ。
それから最高音の1オクターブでは、
a2-b2-b2, c3-c♯3-d3, e♭3-e3-f3
と3組のtriple fret がある。

弦は、C-B は巻線。ただし巻線部分は単弦。
c-c1はブラス、d1-f3はスチールを使用。こちらは複弦。
3種類の弦しかも単弦と複弦と複雑な構成でありながら、音色的にはきれいにつながっているのが不思議なくらい。

下のグラフは、いくつかの楽器と弦の応力を比較したもの。比較のために、弦はすべてブラスとして計算。また Alfons Huber によると Stein のピッチは430Hzとのことだが、弦長の比較のために415Hzで計算。本来の430Hzにすると特に中高音部分で応力は若干高くなる。
(弦の応力=単位断面積あたりにかかる張力。弦長、周波数、弦の密度の3つの要素によって決まる。グラフ化することで弦の長さを視覚的に比較できる)

同じく高音部分にスチールを使っている Rackwitz と Schiedmyer に近い形だが、全体に弦長は短い。ブラス弦の楽器との比較では、やはり低音弦は相当短いが、中音域以上では長めになっている。

この楽器は、サイズが小さいだけでなく、音色や響きにネオテニー(幼形成熟)的なところが感じられる。モーツァルトにもネオテニーの要素があるように思うのだが、そう言う意味でも楽器と音楽とが合っているのかもしれない。




Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニューイヤーコンサート

2011-01-05 17:21:37 | Instruments
新年明けましておめでとうございます。
本年も、クラヴィコード徒然草をよろしくお願いいたします。

さて、タイトルのニューイヤーコンサートですが、
会場のあずみ野コンサートホールはとても響きのいいホールでした。


クラヴィコードの音が、離れても弱くならずにしっかり届いていました。
コンサートの様子は、館長の長谷川さんのブログをご覧下さい。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/azuminokurumi/51648845


筒井さんは、ホール恒例のカウントダウンコンサートの伴奏もあって、ずっと泊まり込み。地元の人とも顔なじみで、とってもアットホームな雰囲気。
長谷川さんご夫妻は奈良のご出身で、久しぶりの関西弁が懐かしいわたくしでした。


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする