市内大寺の馬頭観音を撮影した翌日、今度は矢那地区・矢那川ダムの畔にある馬頭観音像を見に行きました。この馬頭観音は本来はここではなくもう少し後方の巡礼道に立っていたのですが、平成5年(1993年)ダム建設のためにこの地に移設されました。
造られたのは寛政6年(1794年)で安山岩に彫られた物です。他の馬乗り馬頭観音のような三面八臂と違いお顔は一面で厳しい表情をしています。御手も6本あり体の前で馬頭印を組んでいました。
この馬頭観音像の左側面には「南 高蔵六丁」、右側面には「東 此方ちば寺道」と刻まれており、巡礼道に置かれた道しるべの役割もしていました。この道標が置かれていた地点から六丁先(約650m)に坂東三十三番観音霊場第三十番札所高倉観音・高蔵寺が在る事を指示していたのです。
また馬頭観音の横には鎌足を考える会とふるさとかるた会の連名で説明板が置かれていました。この後この道しるべに従いツレと高倉観音・高蔵寺に向かいました。車に乗ろうとすると茶色いネコが姿を表しました。近寄っても逃げないので、誰かに餌を貰っているようです。大きなシッポが可愛いネコでした。
馬頭観音から車で5~6分で高倉観音に着きました。馬頭観音の道しるべがあった頃の巡礼者はどの位の時間でこの高倉観音まで来たのでしょうか?車に乗りながらそんな事を考えてしまいました。この高倉観音高蔵寺は用明天皇の代(585~587年)徳義上人が建立したと伝えられる古刹で、真言宗豊山派の寺院です。
境内には大化改新後の650年7月に藤原鎌足が腰を下ろしたと言われる腰掛石があります。また鎌足が着換えた衣服をもっていた杖にかけた後、杖を忘れてしまいその杖が根付いて桜の花を咲かせたのが、この地に残る鎌足桜と言われています。
鎌足桜は遅咲きなのでまだ咲いていませんが、下の写真は2020年4月17日にここで撮影した鎌足桜です。山桜の一種と言われていますが、花の中央に緑の鎌のような雌しべがありとても珍しく美しい花です。