湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

空が空の色でありますように

2018-09-10 10:39:58 | ポエム
しばらく字を追いかけていると

一字一字が
水滴のついた紙の上に
乗っかって
浮かんでいってね


字の端っこのほうから
滲んで
ほどけていくように


それは、
字の外側から始まって


ほろほろと
滲んで
バラバラになろうとしてる

それでも
必死に手を繋いでいるように


最後には
それが
暗号なのかなんなのか


何次元かの世界を圧縮して
重ねて
ガラス板から
透かして
見てるみたいに
幾重にも
文字が重なっていくようなんだよ


白いページと光が屈折して
私の目を小刻みに刺していく


だから、そっと
目を閉じてみる


閉じた瞬間から
開ける瞬間まで


ほんの少しだけど
ほんの少しの怖さ


窓ガラスから
差し込む日差しがキラキラと
輝いていた日を思うよ


色んな色した
木漏れ日の小道を
色を探して歩いた日を思うよ


空が空の色でありますように


どんな青だって
どんな藍だって
受け止める気持ちは忘れてないよ


その文字から
想像できるだけの
頭の中の3Dワールドさえも
霞んだままじゃなく
クリアに見たいんだ







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ツルムラサキ

2018-09-09 16:10:10 | コラム
人の食べ物の好き嫌い
もしくは
食べず嫌いだとか

たんに肉類が好きだとか
野菜類が嫌いだとか‥


肉については
魚も含めて
限られた食材だと思う

調理法は色々あれど
肉類に関しては
一言で終わる

『わたし、鶏肉がダメなんですぅ』 って。


しかし
野菜類ともなれば
いったい
どのくらいの野菜の種類があるのやら

まして
その家庭、そこの母親達の調理の仕方や
生まれ育った土壌や
親の好き嫌いによって
数限りない野菜の中での
何割しかの
ヘビーローテーションとなってしまっていることでしょう


食卓に上がってこない野菜は
徹底的に出てこないのが
それを物語っていよう


野菜の数が限りなく
季節ごとに存在し
また、時代の流れにもより
野菜の食べ方が変わったりするもの


そこに調理人の好みと
冒険心の無さは致命的に
シンプルな野菜さえも
その選択を狭めていく


私とて同じだった


まさか
ここにきて
こんなにも好きになってしまった野菜が現れるなんて

全くの食わず嫌い
いや、その範疇にも入っていなかった

ふと手にしたとき
あまりのその新鮮に
思わず店の方に聞いていた


青臭みはどうか
ぬめりはあるのか


古くから伝わる野菜なのに
何故こういう形で私と出会ったのか


兼業農家の方々が持ち寄り
小遣い稼ぎに開いたような小さな店で見つけた

『ツルムラサキ』

さっと茹でて
少し甘みをつけた胡麻和えにする
歯ざわりがよく
噛み締めたときに
少しだけぬめりが出てくるが
嫌なぬめりではなく
むしろのどごしに良い

そして
青臭みは
ほうれん草よりないくせに
ほうれん草より栄養価が高いという


気に入れば
何度でも
何度でも
食べ続ける癖のある私

笑ってしまうぐらい
今日も『ツルムラサキ』



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ススキの香りのする道を歩きに行こう

2018-09-09 10:11:14 | ポエム
その部屋の小さな窓から
空は見えてますか?


自分の中から
湧き出る嵐のような痛みや切なさを
幾晩も超えて来たのでしょう?


空を見ることも忘れてしまうほど
きっと祈りながら
ひたすらに超えてきたのでしょう?


手に繋がれたものが
棘のないバラの蔓だとしたら
こんな憂いは吹き飛んでしまうはずなのにね


鎖にも似た重いものは
あなたには一番似合わないこと
私は知っているよ



軽やかに
また、あの小道を歩きましょう

まだ見ぬ、秘密の花園を
私に教えてくれると言った人


もうすぐ
秋の風が吹く
ススキの香りのする季節


逢いにいくよ
抱きしめにいくよ


今の涙は
知らん顔して
どこかに
置き忘れたままにしておいて


逢えた時に
私と一緒に探しにいこう
そして
私と一緒に泣こうね






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コントのように。

2018-09-06 21:08:59 | 日記
昨日の夕方の出来事


買い物をするため、
地元の小さなスーパーに到着
駐車場に車を止めた


先に
スーパーの脇に立っているクリーニング店に飛び込んだ。
スラックスを至急で出したかった。


先客は、品の良さそうな初老のおじさまが一人。

いやに、わたしを二度見する。

『感じ悪いなぁ、嫌だなぁ』と思いながら

しかし、クリーニングは、急を要する



しっかり順番待ちをして
クリーニングを出した。


数歩あるいて、
隣の建屋のスーパーに入ろうとした時


自分の足の違和感から
ふと、足元を見てみた





ひゃー
こんなことが、、、、、。


やってしまった

人生初の失態


そのすぐ後
笑いで崩れ落ちそうになる体を立て直し
よく考えてみた。

今の遂行事項は何か!

それは
いかに、気づかれず買い物を終わらせるかー。


人は足元まで見てやしない。
そうだ、そうなのだ!!


どこにそんな自信があるのだろうかと思ったが、自分で妙に納得した

しかし、
スーパーに入って
自分が目につくのは
人の履いているものである。


いやいや、人は気にしてなんかいない。
私が気にしているせいだと思い込もうとした。

だが、やっぱり帰ろうか?

しかし
必要な品物がある

ここまで来たからには
このまま買い物を終わらすしか手はない。


足元を見ないで
何食わぬ顔をして
商品を数点、カゴにいれ
レジに並んだ

あと少し
あと少しクリアすれば完全に
私は勝利する!

と、隣のレジに目をやれば
昔からの友人が私と同じタイミングでお金を払っていた

ここまできて、これはない

顔をうつむかせ、レジを終えて
友人がいる方向を背中にして袋に詰める

見えてないように左目は友人を捉え
先にスーパーから出て行くのを伺う

よしよし、友人は
スーパーの出口に差し掛かる

私は不審な動きなく
品物を入れた袋を持って出口に向かう

が、友人が何やら立ち止まり
出口に置かれた品物を見ている


おっと行けない
しばし、私もその辺の商品に目をやっているフリをした


また、友人は動き出した


スーパーから少し出た一番近い駐車場に
友人の車があった
やっと荷物を積み込んでいる


いまだ!


私は太陽が眩しい感じに
手のひらをおでこに当てて
光を遮るようにして小走りをして
自分の車にたどり着いた


ふと友人を見ると
こちらを見て、探しているような動き


いけない
ここまで来て、見つかれば
必ず彼女は、私に声をかけ近づいてくる!


慌てて下を向き
本来帰る方向ではない道へ車を出した


彼女も、私とは本来の帰り道は同じはずなのである


しかし、私は振り切った
やりきったのだ!


この靴で
誰にも気づかれず
買い物をやり遂げた!


人生、初の失態にかかわらず
やってみせた、ヨシっ!


そうして
上機嫌で帰宅したのであった。


そして
ハタッと気づいた



クリーニングで出会ったおじさんが
マジマジと見ていたのは、これだったかー。

あーぁ。










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ター坊とタカシ君

2018-09-05 20:49:47 | 日記
あの頃
私たちは
自転車さえあれば
どこにだって行けた

海にだって
川にだって

背中に買ってもらったばかりのギターを背負いながら
長い制服のスカートが
後ろの輪っかに引っかかってしまうんじゃないかなんて
気にしないでグングン漕いで行ってた


悪友と2人


なぜか悪友の大好きなター坊と
そのター坊の幼馴染との組み合わせが定番化した数年のころの話


そもそも
私は転校生だったから
最初、クラス違いのター坊は知らなかった


だけど悪友から聞かされていて
ター坊と廊下ですれ違ったけれど
1つ年上に見えるほど
大人っぽいター坊とは口をきいたことがなかった


悪友の幼稚園からの初恋の相手だなんて
聞かされていても
ふんふんとしか言えなかったし
私はそのター坊の幼馴染の
タカシ君のことが好きだったから


ター坊のことも
タカシ君繋がりの情報として
話を聞いていただけ。


少ししてから廊下を歩くター坊に
ふいに話しかけられて

『お前がね〜』って笑われた

なんなのよー、いきなり。
なんで私を知ってるのよ!

ブスっとした覚えがある


そのター坊の家に
大好きなタカシ君と悪友と私が
集まるようになるなんて

その時は思ってもみない展開だった



『かぐや姫とか、風とか聞くかー?』

そんな感じだった


ター坊とタカシ君は幼馴染だから
いつも入り浸っている離れの部屋に
私と悪友は優しいお母さんにご挨拶してから入っていった。


昔は、ター坊のおじいちゃんのお部屋だったようで
ター坊がエレキやら、ギターやら
アンプやらを持ち込んで部屋が狭くなったからって、
おじいちゃんが譲ってくれた離れの部屋だった。


庭があって
間ぶちは小さいけれど細長い作りの家、
その先に、チョコンと出っ張った部屋だった。

ター坊は、大きくなったら建築家になって、家を建て替えるんだって
アンプに繋がないままのエレキを
シャカシャカ鳴らしながら言ってた。


夢を語れるのは、ター坊だけだった
そして、実際に実現したのも
ター坊だけだった。


その時の他の3人は
何をしたらいいのかわからなかったけど、
その部屋にみんな集まれば
ひとときでも、歌を聞きながら
自分も夢を語れるような気になっていた。


BGMは、ター坊お気に入りの吉田拓郎のレコードばかり。
たしか、そのときのウンチクの長さときたら、ハイハイって感じで
どれだけ素晴らしいかと語られても
男らしい歌詞を理解できないほど
私はまだお子様だったのだろう
ター坊は、饒舌で
タカシ君は、寡黙だった


『風』と『かぐや姫』が
4人の共通言語のように
完コピに近いギターを弾いてもらって
喜んでいたことを覚えてる。


そして側には必ず
コーラとスプライトとポテトチップス


そうこうして、遊んでいても
時間は短くて
進学と言う道が立ちはだかってくる

あまり集まらなくなった次の年の
バレンタインデーの日

私は初めて買ったチョコを
タカシ君に渡すことを本人と約束して、
近くの公園で待ち合わせをしていた。


だけど
待っても、待っても
タカシ君は来なかった。


約束の時間は過ぎて
早い夕暮れになってしまった
寒いし、手が凍えるし
仕方なく
振られてしまったんだと家に帰ることにした。


話もできないまま数日がたった‥


じつは、バレンタインデーの日
タカシ君の家にター坊がずっといて
タカシ君は、家から離れることができなかったと告げられた。


タカシ君に遅めのバレンタインチョコを渡せたけれど
これといって返事はなかった


かく言う悪友も、ター坊にチョコをあげたらしい。
しかし、ハッキリ断れたと教えてもらったあと、私のことを聞かれたけれど
返事がないことで
これは、可もなく不可もなし
脈はないままだろうと。


それでもいいやとタカシ君に
当時クラスで回していたサイン帳を渡したら書いてくれた


タカシ君が書いた長い詩
そして 『So long』


最後に綴ってあった文字に
サヨナラを断定した



受験で学校に行かなくて良い日が続いたある日
ター坊とバッタリ、近所で会った。


ター坊が一言
『おまえら、付き合ってるんでしょ』

えっ、、と。



どうすることもできず
そのまま別々の高校に行き
誰か知らない女の子とタカシ君が
仲良くなったらしいと友達から聞かされた
確かめられず
好きでいることを諦めた。


知らぬまに
付き合って

知らぬまに
別れたような


数年後
タカシ君と大学受験場所で再会した。


話して歩いて
そして、バイバイして‥。


今から思えば
あの時


『あなたが好きです』って
言っていたら、
少しは今、変わっていたのかな


なんて‥


タカシ君の好きなひつじ雲が
今日は綺麗な空だったから


雲のひとかたまりに
なってしまうみたい
ため息と一緒に
思い出が
湧き出していた






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