湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

おでん=関東煮

2018-10-11 21:15:20 | 日記
『おでん』のことを
関西の年寄りは、『関東煮』もしくは『関東炊き』と言う。
昔、この料理は関東から伝わった料理だそうで
関西にしては、色は濃い目
関東の色合いを汲む料理だった。


のちの、『京風おでん』とは、また流れの違うものなのか、調べたことがない。


中部地方や東海地方では
『味噌おでん』と言うのが主流なのかー?


関西には、『味噌おでん』はまた、別物となるが、、。


うちの両親、特に母は
私のつくる『関東煮』が大好きだった。


2人が居た頃は
鍋いっぱいに具を入れて
吹きこぼれるほどに作っていた。

ちょうど、今ぐらいの時期。
半袖が、長袖になって
少しは肌寒くなってきた頃は
温かいものが、ただそれだけで、
ご馳走に思えてくるから
季節の移り変わりの初めの
ここぞと言う料理は
とても、とても喜んでもらえたものだ。


母は、昔から無邪気な人で
蠍座の昔気質の人だから
なかなか人を信用しない分
信頼した人には白い腹を見せて
子供みたいに無邪気な感性で
喜ぶときは、腹の底から喜ぶ。


その姿は可愛らしくて
ことのほか、晩御飯に『関東煮』などを
作っていると、それだけで上機嫌になるほどだった。


しばらく
そのことも忘れていたことになる。



毎週、宅配してもらっているコープのチラシをふと見た時
1ページの表紙に『おでん』の文字と写真


もう、季節はそんな温かいものが欲しくなる時期に来たんだね。


そう思った途端
自分の体が
風の音とともに
音速にもなったみたいに
フラッシュバックしたまま
母の居た時間に巻き戻ってしまった感覚


母が喜ぶ顔
喜ぶ声
いつも言う言葉

たった1ページのチラシの表紙で‥。


これからの季節
私はこうして
何を見ても
こうして、フラッシュバックが起きて
自分の体や気持ちが巻き戻ってしまう感覚を何度味わうことになるんだろう


嫌だとか
苦しいとかじゃない


ただ
もう、たくさん作らなくていいんだよね

ただ
無邪気に喜んでくれる人はいないんだよね


その事実と向き合う。



朝から
雨と晴天が1時間おきにやってきた日


どうしても泣けて
とんでもなく泣けて

上を向くと目尻から涙が垂れ
化粧を落としながら首もとに流れていく。


うつむけば
不思議なことに
涙は眼球から
悲しみを剥ぎ取るように
肌には少しも触れず
雨粒が土に最初に落ちるみたいに
ポタポタと
まあるい形のまま落ちていくんだ
それを見ながら泣いている不思議さ


チラシの表紙にある『おでん』で
泣ける女


日中の移り変わりの気圧の変化で
頭が痛いのか
泣きすぎて痛いのか
わからなくて


それについていけてない体と心
それぞれに離れた距離で
置いてけぼり食ってしまったから
必死で駆け足をして
慌てて追いつこうとしていた時間のようだった


だからか、目まぐるしく
頭痛がしてしまったのかもしれない。













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