最近目にして、もはや数字が大きすぎてにわかにはピンとこなかったのが「135兆円」という規模。
まず、この数字がどの程度大きいかというと、トヨタの2008年度の年間売上高予想が「25兆円」。実際のところ、不況などの影響で約「20兆円」まで縮んでしまったわけだが、その約 5倍 ~ 6倍という規模が、米国のスマートグリッドの投資総額なのである。
とイントロダクションを書いたところで、数字の素性を明らかにしておくと、
・元々の試算は、米コンサルティング会社Brattle Group
・2010年から2030年までの合計の投資額。
・135兆円という資産は、1$ = 90円で日本円に換算した額。
・20年間で割ると、6.8兆円/年
になります。
それならば、ぐっと現実的な数字に近づいてきたという気もしますが、近年だとトヨタの経常利益が 1兆円超えで話題になりましたが、その経常利益を 7社分突っ込む感じ。NTTドコモの売上高 (こちらは利益ではなくて) が、4.4兆円程度なので、そう考えると、日本の携帯電話の売り上げをすべて電力網インフラ投資に回す (もちろん、端末代金も含めて) という規模。
東京電力の売上高もホームページでみてみると、2008年度が約6兆円。ということは、ちょうど、東京電力の売り上げ分を丸々投資に振り向けるというかなり無茶苦茶な整備計画なんだなあというのが分かったりする。もちろん、東京電力自体、この売り上げを得るための総資産額は 13.5兆円も持っていたりする訳なので、電力インフラ事業というのは、金のかかるものなのかもしれません。
ちなみに米国の状況は、というと、ご丁寧に PDFのレポートを掲載してくださっている人がおり、ここに「米国の主要な電力・ガス企業」というのが掲載されている。これをみると、最大の電力会社 Exelon は、東京電力の 1/3 の規模 (東京電力より小さい) とのこと。(ちなみに、文中には、1,800億ドルとありますが、これは、同社のホームページに行ってみましたが、18,925百万ドル という単位なので、約190億ドル = 1.7兆円 が正解なのではないかと。)
http://www.jif.org/column/pdf2009/200902-2.pdf
ただ、米国はその分、企業の数も多いので、実際に Fortune 1000 に登場する電力・ガス企業の売上を全部加えてみると、ざっと、年間売上は 30兆円ほどになります。ざっと日本の3倍といったところでしょうか。
それにしても、エネルギー市場の売上が 30兆円という市場に、そのうちの2割を超える年間 6.8兆円を投じようというのは、まさにすごい大計画ですねえ。エネルギー関係の会社が群がりたくなるのもわかります。が、その原資はやはり税金なのでしょうか。なんか余計なことが心配になりますね。
(関連記事)
・日経エレクトロニクス雑誌ブログ
スマートグリッド135兆円は本当か
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20091019/176542/
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