瓢簞舟の「ちょっと頭に浮かぶ」

こちらでは小説をhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427846884378

読書メモ(中村天風)

2023-10-09 12:51:44 | 随想
中村天風「運命を拓く」(講談社文庫 1998年)

出版は最近ですが著者は明治9年の生まれ。昭和43年に亡くなっています。
本書の原典は昭和63年だそうです。

こんな註釈をつけなくても、中村天風をご存知の方はご存知でしょう。今回、ちょっと検索してみて知ったんですけど大谷翔平も読んでいるそうで案外人口に膾炙してる本らしい。

あたくしは10年ほど前に読みました。そのときは納得する部分あり、首をかしげる部分あり、という感想を持った記憶があります。どの部分に納得し、どの部分に首をかしげたのかまでは憶えていませんが。

で、今回。本を処分しようとするその前に軽く読み直してみよう、と。現在、半分ほど読んだところです。

10年前とは違って、今回は納得しながら読み進んでます。宇宙霊、なんて言葉も出てきますが、あたくしの言葉に翻訳して解釈すれば別に突拍子もないことを言っているでもなく納得できます。

人生は心一つの置きどころ。
心の思考が人生を創る。
なので、心を積極的に動かせ!

と、まあ、ざっくり言っちゃえばこういうことが書いてある。

これについて異論はありません。ポジティブシンキングを奨める風潮の世でもあり、馴染みある考え方です。ただ天風先生とあたくしは生きるスタンスが違うなあ、と感じます。スタンスというか人生に対する向き合い方の熱量といいますか。天風先生、熱いんですよ。本のタイトル(これはご自身がつけたものではないかもしれませんけど)「運命を拓く」でしょ? 拓こうとするから積極的に心を動かせ!ってなるわけですが、あたくし、拓こうっていう熱量ないもの。大谷翔平のほかに松岡修造も読んでいるって、あたくしが読んだ記事には書いてありましたけど、なるほど松岡修造かあ、って感じの内容ですよ。叱咤激励てんこ盛り。

熱量がないせいもありますが、あたくしは運命は拓くもんじゃなくて受け容れるもんだと思ってるせいでもある。だから当然積極的じゃない。かと言って消極的でもありません。ニュートラルですね。中立的に淡々と引き受ける。はい、了解しました、と粛々と熟(こな)していく。そんなスタンス。

そもそも運命に幸運も不運もないって考えてるようなところもありまして。だから拓くんじゃなくて受け容れるだけ。
ま、短期的っていいますか、ピンポイントで観れば運不運はありますよ。でも人生、ピンポイントってわけじゃありませんから。ピンポイントを繋いで繋いでラインにする。人生という線上に置かれた運不運を俯瞰してみれば、そこに幸運、不運の区別はない。禍福は糾える縄の如し。どっちでもあり、どっちでもない。

別の見方をすれば、人生というラインを引けただけで幸運と言っていいくらいです。と考えるなら運命とは幸運以外何ものでもありません。だったら、ありがたく受け容れるだけでしょう。

私は私の運命を生きる。それだけです。


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2 コメント

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「なにがあっても、ありがとう」 (はるのとり)
2023-10-09 14:55:57
瓢箪船さんの お話し 伺って …
こんなタイトルの本があったなと うかびました。
https://www.sankei.com/article/20200704-IW3J5YEWPNOW3CYBCW6QNXGV2Y/

わたし は 読んでいないのですけど。ね˘ ˘*ゝ

めっきり 寒いですねぇ。
御身体 御大切に。
お気を つけて。(´-`)*.。oO
Unknown (cdt63430)
2023-10-09 15:34:44
はるのとりさん、コメントありがとうございます

内容紹介を読みました。骨折したり詐欺にあったりしても、ありがとう、とは、とてもぼくには思えませんね。運命は幸運以外何ものでもないと書きましたけど(汗)

ぼくはこんな人生の達人にはなれそうもありません。

本当に寒くなってきました。
はるのとりさんも御身体、ご自愛ください

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