瓢簞舟の「ちょっと頭に浮かぶ」

こちらでは小説をhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427846884378

読書メモ(洲之内徹)

2024-11-03 12:26:09 | 本の話
洲之内徹「気まぐれ美術館」(新潮社 昭和53年) 「芸術新潮」に連載されていたエッセイです。連載は昭和49年1月号から始まっていて、この本はその中の初めのほうの33回分であることが、あとがきに書いてあります。 これから書くのは洲之内徹のエッセイがどうこうってことじゃないんですよね。取り上げられている森田英二について。というか、森田英二に対する洲之内徹の考察に登場する言葉について。 森田英二は桜 . . . 本文を読む
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読書メモ(林望)

2024-10-27 11:28:49 | 本の話
林望「トッカータ 光と影の物語 日本画篇」(文藝春秋 2001年) 古今東西の名画のなかより任意に絵を選んで、その絵にインスピレーションを得た物語を書くという企画のもとに編まれた小説集。 「日本画篇」の冒頭は与謝蕪村「暗夜漁舟図」に材をとった「無用の人」って話。隠居した幕臣角本白鹿を通して町医者漆原禎幹を描く。 ま、語り手が白鹿ってだけで白鹿から禎幹がどう見えているって話でもなく、禎幹のこれま . . . 本文を読む
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まるで喜劇じゃないの

2024-10-20 12:50:23 | 随想
私たちは愚かなんでしょうか? ま、やってることを見渡してみればあんまり賢いとも言えないので、賢いんじゃなきゃ愚かだろってなことになりますわな。 じゃ、私たちは賢くなれるんだろうかってなことを考えるに、それは無理なんじゃないかしらと思っちゃいますねえ。だってちっとも変わらないじゃないですか、私たち。あとから、あとから絶えることなく問題は出てくる。社会が問題なく運営された時代なんてありゃしない。あーで . . . 本文を読む
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最悪な平和とまだマシな戦争 ※前項の続き

2024-10-13 06:34:31 | 随想
前項で長々と書きましたが二者択一的に整理すれば、 1 善悪混在する複雑怪奇な社会 2 悪を排除し善のみで構成される単調な社会 ってことで、映画の観客のように観るだけなら善悪混在してたほうがおもしろく、“美しい”だけなんて退屈だから邪悪も描けって野次を飛ばし、実際にその世界を生きるなら悪なんてのには関わり合いたくないから単調でも善だけでいこうよってことになるんですよ、あたくしは。 なんとも身勝手 . . . 本文を読む
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読書メモ(池田晶子)

2024-10-06 15:35:54 | 本の話
池田晶子「ロゴスに訊け」(角川書店 平成14年) 若いころ、池田晶子はよく読みました。今でも新刊が出ているなら読み続けていたでしょうね。2007年に亡くなっているので、もう新刊が出ることもありませんけど。享年47歳。そんなに早く亡くなるなんて思ってもみませんでした。 久しぶりに読み返しています。で、なかにこんなことが書いてある。 誤解を承知であえて言えば、私は、悪の偽物、たんなる偽悪者には嫌悪 . . . 本文を読む
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読書メモ(ニール・ドナルド・ウォルシュ)※前項の続きのようなもの

2024-09-29 14:12:07 | 本の話
ニール・ドナルド・ウォルシュ(著) 吉田利子(訳)「神との対話②」(サンマーク文庫 2002年) 著者が神と対話したという、その記録。 実際、神と対話したのかどうかなんて、あたくしにはどうでもいいことです。書いてる内容がおもしろいのかどうか、それだけ。おもしろいですよ、この本。 で、この本、どの箇所を取り上げてもおもしろいですが、ここしばらく「人間は変わらない」って話をしているので、今回はそんな . . . 本文を読む
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読書メモ(小松左京 その2)

2024-09-22 14:00:54 | 本の話
前回は進化は存在様式だってどこまででした。 あたくしは進化は存在様式だってのは言い過ぎだと思いますが、ともかく小説ではそう言ってまして、だから進化しようと躍起になってて、進化が滞ってる現状を「袋小路」と言ってるわけです。進化じゃなく変化するだけだと捉えていれば「袋小路」なんてないんですけどね。常になんらかの変化はあります。発展性のある変化はそうそう無くてもね。 で、その進化の鍵、ただ一つの可能 . . . 本文を読む
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読書メモ(小松左京)※前項の続きのようなもの

2024-09-15 11:32:49 | 本の話
小松左京「偉大なる存在」(集英社文庫 昭和58年) SF短編5作を収録。そのなかの「袋小路」について。 前回の川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」と設定として似ているかもしれません。行き詰まっている人類とそれを打開しようとしている人工知能。ま、よくある設定といえば設定なんでしょう。設定は似たようなものですが、描かれていることは違ってまして、「袋小路」は同じく小松左京「神への長い道」を思わせます . . . 本文を読む
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読書メモ(川上弘美 その3)

2024-09-08 12:49:22 | 本の話
人間は変われない。というか変化を嫌う。という話のつづき。 変化とは自分とは異なる存在の出現ともいえ、ならば変化を嫌うということは異なる存在を排除しようという動きである、とも言えるんじゃないかしら。 「自分と異なる存在を、あなたは受けいれられますか」 「わたしは受けいれるつもりですよ」 というやり取りが作中にありますが、この「受けいれるつもりですよ」と答えた人は異なる存在を目の当たりにしたとき、 . . . 本文を読む
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読書メモ(川上弘美 その2)

2024-09-01 10:24:27 | 本の話
前回は小説内の台詞だけを取り上げたので内容紹介はしませんでした。今回もある台詞だけを取り上げるんですが、その台詞が発せられる舞台装置の説明はあったほうがいいかと思い、内容紹介をしておきます。 裏表紙の紹介文にはこうあります。 遠い未来、衰退の危機を認めた人類は、「母」のもと、それぞれの集団どうしを隔離する生活を選ぶ。異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある人 . . . 本文を読む
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